1. トップ
  2. スポーツ
  3. 飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目

  • 2026.6.18

今月スポットを当てる3選手に共通するのは、圧倒的な飛距離。しかし、そのパワーの源泉はまったく異なる。

新時代の“パワフルさ”を体現する3選手のスイングから、飛ばしの本質を紐解く。

〝遅く見えて速い〞効率伝達スイング

アドレス~バックスイング

やや左足体重で、グリップはストロンググリップ。この構えはフェースをあまり返さず、ボールを横から叩いていくスイングの選手によく見られるアドレスです。

バックスイングでは両腕が真っすぐ伸びていて、スイングアークがとても大きい。手や腕に頼らず、胸を回転させていることを意味します。かなり筋肉質な体をしていますが、柔軟性が高くアスリートらしいフィジカルです。

バックスイング~トップ

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:手首のコックが浅い(左)Point:驚異的な肩の可動域(右)

トップに到達する直前、一般的にこのタイミングではヒジ、手首が曲がってほとんどトップの形になっているもの。しかし、彼の場合は肩の可動域が尋常ではないので、ここでもまだヒジや手首を曲げる必要がありません。

トップでは左の肩甲骨が出っ張って見えていて、これは肩がとても深く回っている証拠。これほどの肩の可動域をもっている選手は、女子選手を含めてもナップだけでしょう。

切り返し~インパクト

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:足元の動きがとても静か(右)

切り返しでは骨盤がすでにターゲット方向に向かって開き、ヒジがやや曲がってシャフトが自分の体に近い空間を通っています。このとき、全体的にはなかなかヘッドが動き出さないので「ゆったり振っているように見えるのに大きな飛距離が出る」という現象が発生するのです。

インパクトでは、切り返しでは曲がっていたヒジや手首の角度が伸び、ヘッドスピードが強烈に加速。骨盤の向きはさほど変化していないので、下半身の運動量が減って、上半身、腕、クラブと末端に向かって効率よく力が伝わっています。

フォロースルー

最近のパワーヒッターのなかでは、足元の動きがとても静かです。地面反力を最大限に活かそうとして、インパクト後に小さくジャンプするような選手が飛ばし屋には多いですが、ナップの場合は左右どちらの足も穏やかに動いている。

クラブと手の関係性を見ると、前腕が完全にターンしていてクラブの運動量が最大限に大きくなっています。これもまた、ムダなく力がクラブに伝わっていることのあらわれ。ナップはそのスイングのスムーズさが印象的ですが、それを支えているのは「力を伝達する技術」の高さなのです。

神ワザPoint

加速力を温存し、最後に一気にヘッドを加速させるスタイル。これができるのは、彼がもつ驚異的な柔軟性のおかげです。切り返しで背中や肩にハリが出ながらクラブが動き出すのが普通ですが、ナップの場合はトップがさらに深い位置まで入っていきます。まさに彼にしかできない「神ワザ」です。

腕を使わずボディターンでブッ叩くスイング

アドレス~バックスイング

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:極端なハンドファーストとストロンググリップ(左)

飛ぶ鳥を落とす勢いでその存在感を示しているゴタラップですが、最近のPGAツアーの選手のなかでもとくに個性的なスイングの持ち主です。かなりハンドファーストに構えて、グリップは強烈なストロンググリップ。ボールを「ブッ叩く準備」という表現がしっくりきます。

バックスイングでは、下半身を大きくターンしていくタイプです。また、そのスピードも速いため、この時点でシャフトがしなっている。これもまた、飛ばし屋に見られる特徴です。

バックスイング~トップ

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:バックスイングで体をねじらずボディターン(左)

左腕が地面と平行になったタイミングでは骨盤が大きく回っていますが、お腹の部分はさほどねじられていません。腰と胸板をねじらずに「回れ右」でバックスイングをしているイメージです。

肩や背中が固めなのか、トップでは手首やヒジを曲げてバックスイングの深さを確保している。また、左カカトがすでに上がっており、ダウンスイングで踏み込む準備がこの時点ではじまっています。

切り返し~インパクト

左のカカトが地面につき、下半身がターゲット方向へ向きはじめます。バックスイングでは一枚岩で動いていた体が、切り返し以降では下半身が先行。左腕のヒジがターゲットの方向を完全に向いていますので、肩の関節は「内旋位」にある状態です。通常はフェースが右を向きやすいですが、キツめのストロンググリップがそれを相殺しています。

インパクトでもややハンドファーストの形で当たっているので、ロフト角が減って打ち出し角度は低くなることが予想されます。ここでもやはり左ヒジはターゲット方向を向いているため、腕のローテーションはほぼありません。

フォロースルー

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:打ったあとにスタンスが狭くなる(左)

インパクトからフォローにかけての注目ポイントは、スタンス幅の変化。足で地面を“互い違い”の方向へ強く蹴っているため、アドレス時よりも打ったあとのほうがスタンス幅が狭くなっています。つまり、左足はターゲット方向へ、右足は後方へ蹴っているので股が閉じていく。

フィギュアスケートのジャンプで足を閉じて空中に高く上がるように、体の中心に向かって地面を蹴って軸を細くすることで、回転スピードを上げているのです。彼のスイングは、ストロンググリップでフェースローテーションの必要性をゼロにした代わりに、地面を蹴る力で強烈にボディターンをするスイングといえます。

神ワザPoint

ゴタラップの強烈なボディターンは、両足をバランスよく蹴る力からきています。どちらか一方が強すぎることがないので、体の軸がブレたり傾いたりしません。大柄な体をしていますが、とても卓越したバランス感覚をもち合わせていることが彼のパワフルなスイングを支えています。

今月スポットを当てる3選手に共通するのは、圧倒的な飛距離。しかし、そのパワーの源泉はまったく異なる。

新時代の“パワフルさ”を体現する3選手のスイングから、飛ばしの本質を紐解く。

可動域でタメて反力で飛ばすパワースイング

アドレス~バックスイング

どこから押されても微動だにしなそうなガッシリとした構え。体重はほんの少しだけ左足寄りで、グリップはかなりストロング。大型ヘッドの特性を活かし、フェースローテーションをしないで打とうとする選手によく見られる形です。

全身を同時に動かしてテークバックするタイプで、ヘッドを引きずりながら振り上げるような動作はありません。体をあまり左右へ振らず、真ん中で回転していく動き出しです。

バックスイング~トップ

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:腕を長くしたまま体幹を大きく使っている(左)

左腕が地面と平行になったときに、腕とシャフトの角度が90度になっています。このときのポイントは、両腕を長く使い、体から手元が非常に遠いこと。

胸や肩の柔軟性がないと、ヒジを曲げるなどで回転不足を補いますが、ポットギーターの場合は関節を曲げてラクをせず、手元を遠く保って体幹部分を強くねじっています。

トップでは、これだけバックスイングが深くても骨盤がスエーせず、股関節や胸、肩の可動域が大きいことがわかります。

ダウンスイング~インパクト

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:切り返しで骨盤が左へスライドする(左)

ダウンスイングでは「バンプ」といって、骨盤がターゲット方向へスライドする動きが見られます。この動作によって素早く左足に体重を乗せる、そして写真のように胴体が先行することで、手元を体から遠ざけるダウンスイングが可能になります。

「手元が体に近いとよい」といわれることがありますが、手先の力でこれを行なうと、クラブヘッドは早い段階でリリースされるので、インパクトに向かってのスピードが落ちてしまいます。

フォロースルー

飛距離アップの秘けつを解説!飛ばしのプロの下半身に注目
Point:地面反力を強く使って両カカトが浮いている(左)

前腕のローテーションが少ないので、フェースの開閉も少ない。ストロンググリップの選手は最初から球のつかまりが担保されているため、フェースローテーションが少ない傾向があります。

左ヒザは伸び切っていて、左カカトがわずかに浮いているため、地面に強い力をかけていることがわかる。この地面反力が、インパクトからフォローにかけてヘッドスピードをさらに加速させ、大きな飛距離へとつながっています。

神ワザPoint

ポットギーターのスイングはとにかくアークが大きいです。ガッチリとした体格からは想像しがたいほどの柔軟性をもっているからこそできることで、アマチュアがマネしたらスイング軸が動いてしまうでしょう。

さらにこの2枚の写真からもわかるように、地面反力をタイミングよく利用することでヘッドのリリースを促進し、クラブスピードをかせいでいます。

いかがでしたか? 活躍している男子プロのスイングをぜひ取り入れてみてくださいね。

レッスン=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/1987年生まれ、神奈川県出身。〝アッキー〟の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。

ジェイク・ナップ
Jake Knapp
●1994年生まれ、アメリカ出身。180cm、73kg。 UCLA大学出身で2016年プロ転向。2024年「メキシコ・オープン」でツアー初優勝。2025年シーズンは平均飛距離約319ヤードで、トップ10入りを複数回記録。

クリストファー・ゴタラップ
Christopher Gotterup
●1999年生まれ、アメリカ出身。193cm、95kg。オクラホマ大学で腕を磨き、2022年からPGAツアーに参戦。2024年に初優勝、2025年には「スコティッシュオープン」を制するなどツアー通算4勝を記録。強烈な飛距離とパワフルなスイングが武器。

アルドリッチ・ポットギーター
Aldrich Potgieter
●2004年生まれ、南アフリカ出身。185cm、90kg。2022年に全英アマチュア選手権を史上最年少で制覇したのち、大学を経ず2023年にプロ転向。圧倒的な飛距離でPGAツアーでも存在感を高めている新世代のパワーヒッター。

写真=田辺JJ安啓
※選手の成績やデータは4月11日現在

元記事で読む
の記事をもっとみる