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国民的アイドルであることを隠しウソをつく父と、家族のためそのウソを信じるフリをし続けてきた娘。しかしあるきっかけからその均衡が揺らぎはじめる!【書評】

  • 2026.6.17

【漫画】本編を読む

『真田芽依はアイドルの嘘を信じてる』(蘭子/双葉社)は、国民的アイドルであることを隠している父親を持つ女子大生が、その「嘘」とどう向き合うのかを描いた、少しひねくれていて愛おしいファミリーラブコメだ。

主人公で大学生の真田芽依は、圧倒的な美貌ゆえに周囲から注目を集め続けてきた。スカウトも絶えず、芸能界に入れば成功は約束されているような存在でありながら、彼女は強く拒絶していた。その理由は、父親の瀬名レオンが国民的アイドルでありながら、家庭では自分の仕事はUMA研究員であるという嘘をつき続けているからだ。実は芽依は7歳のころからそれが嘘であることに気づいている。しかし大学生になった今まで信じているフリをしているのは、大切な家庭の平穏を守るためだった。

タイトルにある「嘘を信じてる」という言葉は、決して無知や盲信ということではなく「真実を知ったうえで選び取った強い決意」を意味し、その決意のなかで、嘘と本音、虚構と現実の間で揺れ動く心情を色鮮やかに描き出している。

そして物語は、父の新人マネージャー・加納の登場によって動き出す。外の世界からやってきた存在が、これまで芽依によって保たれてきた均衡を揺らしていく展開が巧みだ。閉じられていた親子関係に少しずつ風が入り込むことで芽依の感情も変化していく。「父親」と「アイドル」の間で、どう心の整理をすればよいか戸惑う芽依の姿は、クールでありながらもどこか不器用で、徐々に滲み出てくる人間らしい部分が健気ですらある。

嘘をつかないことや、嘘を暴くことだけが正しさではない。ときに人は、誰かのために、あるいは自分のために嘘を選択する。芽依が父を「信じる」ことで守り続けたものは、この先どう形を変えていくのか。今後の展開に目が離せない。

文=シャルル・ダ・カール

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