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井の頭自然文化園で3頭の赤ちゃんが繋ぐ未来 アムールヤマネコの命と「ツシマヤマネコ」保全への挑戦

  • 2026.6.17
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井の頭自然文化園で誕生し、飼育員の手によってすくすくと成長している3頭のアムールヤマネコの赤ちゃん。赤ちゃんたちの母ネコ「ミレ」は、これが3回目の出産で子育て上手のベテランママでしたが、残念ながら今回の出産直後に亡くなってしまいました。飼育展示係長の藤岡紘(こう)さんに、赤ちゃんたちの一般公開の時期や、井の頭自然文化園が担う「命を繋ぐ」重要な使命について聞きました。

3頭一緒に育つことの大切さ

生まれてすぐに母ネコのミレが亡くなったため、人工哺育で育てられている赤ちゃんたちですが、将来のことを考えると人に慣れすぎないことも重要です。

藤岡さん:「今回はとりあえず生かさなければいけなかったので、距離を置くことはこれまでは考えていませんでした。また、もし赤ちゃんが1頭だった場合は自分のことを人間だと思ってしまうので気をつける必要がありますが、今回は哺乳の時間以外は3頭で一緒にいるので、ネコの社会性はそこで身につけられます。大きくなって展示場に出せば、自然に人との距離は自分から取っていくと思います」

きょうだいでじゃれ合いながら、ヤマネコ同士の社会性をしっかり学んでいる3頭。気になる一般公開の時期については、もうしばらく先になりそうです。

藤岡さん:「ワクチンを打ったうえで、自力でちゃんと餌を食べられるかなど、いくつか条件があるので展示はしばらく先になってしまうのではないかと思います。現在のいわゆる〝赤ちゃん〟という見た目ではなくなってしまっているかもしれませんが、いつか展示場に出る日が来ると思いますのでそれまで待っていただければ」

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アムールヤマネコ=(画像提供:東京動物園協会)

アムールヤマネコが繋ぐ、ツシマヤマネコの命のバトン

実は、井の頭自然文化園がアムールヤマネコの飼育や繁殖に力を入れているのには、理由があります。それは、長崎県の対馬のみに生息する絶滅危惧種「ツシマヤマネコ」の保全です。

藤岡さん:「アムールヤマネコを飼っている理由として、絶滅危惧種であるツシマヤマネコの保全事業が大きく関係しているんです。ツシマヤマネコは対馬にすむアムールヤマネコの『地域個体群』です。今回の人工哺育の技術が応用できれば、絶滅危惧種であるツシマヤマネコにも活用できるのではないかということで研究しています。いずれツシマヤマネコで繁殖がなされるとき、今回の技術が役に立つと思います」

お母さんヤマネコ「ミレ」が命がけで遺してくれた3つの命。そして、寝る間を惜しんでミルクの穴の大きさを調整し、懸命に彼らを育て上げた飼育員さんたちの努力と経験。

これらは、絶滅の危機に瀕するツシマヤマネコを未来へ残すためにも、かけがえのない希望の光となっています。井の頭自然文化園ではヤマネコの人工繁殖(人工授精)にも取り組んでいます。力強く育つ3頭のアムールヤマネコの赤ちゃんの未来、そして井の頭自然文化園の取り組みをこれからも応援していきたいと思います。

ライターコメント

アムールヤマネコの命を繋ぐ取り組みが、絶滅危惧種ツシマヤマネコの保全に直結しているという話に、動物園が担う役割の大きさを実感しました。井の頭自然文化園では2002年にもアムールヤマネコの人工哺育に挑んだ記録があるそうですが、当時は生後間もなく亡くなってしまったそうです。それほど一筋縄ではいかないからこそ、今回の3頭がすくすく育っていると聞いて胸が熱くなりました。一般公開のころにはもう少し大きくなっているかもしれませんが、飼育員さんの愛情が詰まった元気な3頭に会える日が楽しみです。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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