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二人で選んだオリーブを隅に追いやった彼。気持ちが離れたのかと悩んだ私が、後から知った本当の理由

  • 2026.6.16
ハウコレ

洗濯物を抱えてベランダに出ると、手すり際に置いていたはずのオリーブの鉢が見当たりませんでした。視線を巡らせると、それは壁際の隅にぽつんと移されていたのです。二人で選んだ、私たちにとって特別な鉢でした。このごろ会話が減っていた彼との距離が、その光景に重なって見えました。

隅に追いやられた鉢

同棲を始めるとき、二人で何軒もお店を回って、ようやく見つけたのがそのオリーブでした。日当たりのいい手すり際が定位置で、彼も私も、出かける前にそっと葉を見るのが習慣になっていたのです。それなのに今、鉢はエアコンの室外機の横、陽もろくに届かない隅へ追いやられていました。よく見ると葉のふちが茶色く乾き、何枚か落ちてしまっています。世話を彼に任せきりにしていた自分にも気づいて、後ろめたさが込み上げました。それでも、大切なはずの鉢をこんな場所に移した彼の気持ちが、どうしてもわかりませんでした。

そっけない返事

仕事から帰ってパソコンに向かう彼の背中に、私は思いきって尋ねました。「あのオリーブ、どうして隅に動かしたの?」。彼は画面から目を離さないまま、「ああ、あっちのほうがいいと思って」とだけ返しました。それ以上の説明はありません。私はそのまま部屋に戻り、洗い物を片づけるふりをしました。あっちのほうがいい。その言葉が、まるで私との関係そのものを言われているようで、その後もずっと頭から離れませんでした。

ベランダにいた彼の背中

数日後、ふと窓の外に目をやると、彼がベランダの隅にしゃがみ込んでいました。オリーブの鉢に水をやり、茶色くなった葉を一枚ずつ確かめるように指でなぞっています。私が見ているとは気づいていない様子でした。その手つきは、面倒なものを押しやった人のものではありませんでした。よく見ると、枝の先に小さな新しい芽がひとつ、顔を出していたのです。彼は冷たいわけではないのかもしれない。そう思う一方で、それならどうして何も話してくれないのだろうと、新しい問いが残りました。

そして...

その後、彼にベランダへ呼ばれました。隣に並ぶと、彼は芽を指さしてこう言いました。「前の場所だと、葉っぱが焼けてたんだ。こっちのほうが元気になると思って」。彼なりに、二人の鉢を守ろうとしていたのだと、ようやくわかりました。彼は気持ちを言葉にするのが得意ではなくて、私はそれを察するのが苦手だったのだと思います。これからは、隅に置かれた小さな変化にも、お互いにちゃんと声をかけていきたい。新しい芽に水をやりながら、そんなふうに思えたのです。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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