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孫が歯ブラシをくわえたまま転倒→その場で泣き出し、夜間の救急に電話したところ…伝えられた“正しい確認の手順”

  • 2026.7.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。子どもの歯磨き中に起こる口のけがは、少なくありません。

小さな子どもが歯ブラシを持つ姿は、ほほえましいものです。けれども、口にくわえたまま歩いたり、振り向いたりした瞬間に、転倒して口の奥を突いてしまうことがあります。

この記事では、孫のけがを前に「血が少ないから様子を見よう」と迷った祖母の体験を紹介します。

Aさんに起きたこと

Aさんは、2歳の孫を預かっていた60代の女性です。夕食後、孫が洗面所で子ども用の歯ブラシを持ち、「自分でやる」と言っていました。

目を離したのは、ほんの数秒でした。孫は歯ブラシをくわえたまま廊下へ出ようとしてつまずき、その場で泣き出しました。

Aさんが口の中を見ると、奥のほうに少し赤い場所がありました。出血は多くなく、孫も抱っこすると泣き止んだため、「救急へ行くほどではないのかも」と迷ったそうです。

ただ、転んだときに歯ブラシの先が喉の奥へ向いたことが気になりました。戻った母親が確認すると、先端は折れておらず、呼吸や声も普段と大きく変わりません。水も少し飲める状態でした。それでも母親は夜間の救急相談に電話し、歯ブラシをくわえたまま転んだこと、出血の量、歯ブラシの破損がないことを順番に伝えました。

相談では、呼吸が苦しい、飲み込めない、出血が増える、ぐったりするなどの変化があればすぐ連絡し、なければ翌朝に歯医者で確認する流れになりました。

翌朝、歯医者で診てもらうと、上あごの奥に小さな傷があるものの、歯のぐらつきや歯ブラシの破片は見つかりませんでした。数日は硬いものや刺激の強い食べ物を避け、出血、発熱、飲み込みにくさが出ないかを家庭で見る経過観察となったそうです。

Aさんはそのとき、「泣き止んだから終わり」ではなく、何で、どの方向に、どこを突いたのかを伝えることが大事なのだと感じたそうです。

血の量だけでは分かりにくい

口の中は出血しやすい場所ですが、短時間で血が止まることもあります。反対に、表面の傷が小さく見えても、歯ブラシの向きによって奥まで力が加わることは珍しくありません。

日本小児科学会の資料でも、口のけがでは唇、頬の内側、歯、歯茎、舌、喉、口蓋(上あごの内側)を丁寧に観察する必要があるとされています。歯ブラシの一部が折れて粘膜の下に残ると、入り口が閉じて傷が小さく見えることもあります。

特に、喉の奥を突いた、歯ブラシが刺さったまま、呼吸や声の様子がいつもと違う、飲み込みにくそうにしている場合は、家庭だけで判断しないことが重要です。

家でまず見るところ

まず確認したいのは、歯ブラシが元の形のままかどうかです。先端や毛の部分が欠けているときは、体の中に残っていないか確認が必要になる場合があります。

次に見るのは、傷の場所です。前歯の近くなのか、頬の内側なのか、喉に近い奥なのかで、相談先の判断が変わります。子どもが口を開けられない、よだれが増える、首を痛がる、声がかすれるといった変化も記録しておきましょう。

刺さったままの歯ブラシや棒状の物は、無理に抜かず、救急へつなげます。抜くことで出血や傷の状態が変わることがあるためです。

歯磨き中は座らせて見守る

歯ブラシ事故は、家庭の不注意だけで片づけられる話ではありません。子どもは動きながら歯磨きをしたがり、転び方も大人の予想どおりにはなりません。

歯磨き中は床に座らせる、歩かせない、仕上げ用歯ブラシを子どもに持たせない、喉突き防止カバーのある歯ブラシを選ぶなど、できる準備は多くあります。

血が少ないことは、けがが浅いことの証明にはなりません。歯ブラシで口を突いたときは、何が、どの向きで、どこに当たったのかを確認し、迷う場合は早めに相談しましょう。


参考:
子どもの歯磨き中の喉突き事故などに気を付けましょう(消費者庁)
1~2歳から増える歯ブラシの突き刺し事故を防ぐには(こども家庭庁CDR)
口腔内・咽頭外傷(日本小児科学会) 

執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
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