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『退職金2,000万』を受け取った50代男性→1,000万を妻名義の口座に振り込むが…翌年、税務署から届いた“1通の通知”に絶句。

  • 2026.7.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。
親しい人の夢を応援したいって思ったことはありますか?
応援の仕方は人それぞれだと思います。Uさん(仮名)は妻の夢のために、資金援助をすることにしました。
しかし、それが後悔を招くとは夢にも思いませんでした。

夢の実現と後悔

Uさんは51歳で長年勤めた大手予備校講師の仕事を辞めることを決意しました。老後の資金の準備もできており、退職金も2,000万円もらえることから生活資金の心配がなかったからです。

なにより、妻の「ロカボ専門のパン屋をやりたい!」という夢を応援したい気持ちが、退職を後押ししました。

「開業資金のやりくりが大変!」と妻から聞いていたUさんは、退職金2,000万円のうち1,000万円を妻のパン屋開店のために無償で渡すことにしたそうです。1,000万円はすぐ妻名義の口座に。そして、妻はその資金で事業用店舗を購入し、名義も妻としました。

「これで、いよいよ夢が叶う」と、ひと安心のはずだったのですが…。

翌年、税務署から「お尋ね」の文書が届いたのです。内容を確認したUさんは困惑しました。

「贈与税の申告が必要かも?」

不安になったUさんは、慌てて税理士を訪ねることにしたのです。

「退職金を渡して贈与税?」

「退職金の一部を奥様へ無償で渡し、さらに奥様名義で店舗を購入されたとなると、これは原則として贈与税の対象(課税対象)になります」

「退職金なのに、妻に渡しただけで贈与税がかかるのですか?」

納得がいかなかったUさんに税理士は続けます。

「退職金であっても、ご主人名義の財産を奥様に無償で移転した場合は、贈与と判断される可能性があるからですね」

今回妻へ1,000万円を無償で渡しており、その資金で妻名義の店舗を取得していたことから、税務上は「贈与」とみなされると説明を受けました。

Uさんは思わず顔を曇らせました。

予期せぬ税負担

贈与税の計算式は次のとおりです。

『基礎控除後の課税価格×税率ー控除額』

Uさんのケースでは、一般税率で計算すると、基礎控除110万円、税率40%、控除額125万円が適用されます。

計算式に当てはめると『基礎控除後の価格890万円×40%ー125万円』です。

結果、贈与税の金額は231万円になります。

※税率は贈与者と受贈者の年齢や関係性及び課税価格によって変わります。

231万円という税額を聞いたUさんは、思わずつぶやきました。

「もっと慎重に行動すればよかった…」

「もし、その1,000万円を奥様への『貸付』という形にして適切な金利での返済契約(金銭消費貸借契約)を結ぶか、あるいは店舗の所有名義を資金を出したUさん名義(または出資比率に応じた共有名義)にしていれば、このような贈与税はかからずに済んだのです」と税理士は言います。

夫婦間でも贈与税に注意

予期せぬ税金を支払うことにはなりましたが、夫婦のパン屋は好評のようです。

「税金の負担は重かったですけど、おいしいと言ってもらえることがなにより幸せです」と、Uさん夫婦は嬉しそうに語ってくれました。

「夫婦間のことだから大丈夫」と思い込んで高額な資金移動をすると、予期せぬ税負担となる可能性があります。後悔しないために、「税金面はどうなるのか」を事前に想定しておくべきではないでしょうか。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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