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「何をしているんだろう」ゴミ捨て場で監視する住人。だが、退去者続出で大家が一喝した結果

  • 2026.6.14

初めてのゴミ出し

一人暮らしを始めたばかりの春だった。住んでいたマンションは、玄関を出てすぐ目の前がゴミ収集スペースになっていた。

曜日ごとの分別を覚えたばかりで、出し終えてもなんとなく緊張していた。

その朝、袋を置いて戻ろうとすると、同じくゴミを出しに来た女性がいた。

自分と同じ二十代くらい。なのに私が立ち去ったあともその場を離れず、出された袋を一つずつ確かめている。

(何をしているんだろう)

不思議に思っていると、後ろから別の住人がそっと声をかけてきた。

「あの方、ゴミ出しには厳しいから気をつけてね」

「そうなんですか」

「前にね、いつもより少し遅れた時間に出した人がいて。そうしたら、持って帰って次回にしてくださいって」

監視の朝

注意された人は、その場で口論になったらしい。

けれど話は本当だった。

彼女は決まった時間にあらわれ、収集スペースの前に立つ。少しでも違う袋を見つけると、出した相手を呼び止めた。

ある朝は、出勤前らしい男性が早足で袋を置いた瞬間だった。

「ちょっと。今日、その種類じゃないですよね」

「え、でも急いでて」

「持って帰って次回にして」

「次回って、燃えるゴミ来週でしょう」

「規則は規則です」

男性は舌打ちして袋を抱え直し、足早に部屋へ戻っていった。次は自分かと、ただ怖かった。

大家さんが動いた

そんな日々が続くうち、マンションから人が一人、また一人と出ていく。

退去の理由は、近所の立ち話で伝わってきた。

「またひと部屋空くんですって」

「やっぱり、あの監視がねえ」

ある朝、収集スペースに大家さんが立っていた。

彼女が袋を検めはじめたところへ、まっすぐ歩み寄っていく。

「ちょっといいですか。あなた、毎朝ここで他の人のゴミを確認していますよね」

「ルールを守らない人がいるので」

「それは私が見ます。次にほかの方の袋を開けたら、その時は契約の話をさせてもらいます」

声を荒らげるでもない、けれど逃げ場のない言い方だった。

彼女は何か言い返しかけて、口を開いたまま動きを止める。

「私は、ただ……」

その先は続かなかった。袋を持つ手を下ろし、目を伏せて、そそくさと自分の部屋へ戻っていく。

遠巻きに見ていた住人たちの間に、安堵のささやきが広がった。

「やっと言ってくれたわね」

翌朝、収集スペースに彼女の姿はなかった。

その次の朝も、また次の朝も。決まった時間に立っていた人影は、もう消えていた。

私はいつものように袋を置く。背中に張りついていた視線は、どこにもない。

「おはようございます」

通りかかった住人と、ごく普通に挨拶を交わす。初めて、誰にも見張られずに迎えるゴミ出しの朝だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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