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「ヘッドギアを着けた涙のヘディングゴール」頭蓋骨骨折で生命の危機を経験…奇跡の復活FWが話題に

  • 2026.6.12

開催国の一つであるメキシコは11日、エスタディオ・アステカで行われたFIFAワールドカップ開幕戦で南アフリカと対戦し、2-0で勝利した。その2点目を決めたのが、35歳のFWラウール・ヒメネスだった。

ファーのスペースへ走り込んだヒメネスは、クロスに反応してヘディングシュート。ボールがネットを揺らし、スタジアムは大歓声に包まれた。感情を抑えきれなかったヒメネスは雄叫びを上げ、涙を浮かべながらゴールを喜んだ。

母国開催のワールドカップで英雄となった彼は、数年前に深刻な怪我を経験したことで知られており、
サッカー選手のキャリアどころか生命にも関わる事態に直面していた。それが改めて『Daily Mail』や『abc』などのメディアで話題になっている。

事故が起こったのは2020年11月のこと。当時ウォルヴァーハンプトンに所属していたヒメネスは、プレミアリーグのアーセナル戦で深刻な負傷を負ってしまう。

試合開始からわずか5分というタイミングで、アーセナルのブラジル代表DFダヴィド・ルイスと頭部同士で激突。それによってヒメネスはピッチ上で意識を失い、酸素吸入を受けたのちに担架で運び出された。

搬送先の病院でなんとか意識を取り戻したヒメネスは、頭蓋骨を骨折し、脳内に出血もあったことを知らされたという。骨折の影響で脳が圧迫されており、緊急の開頭手術が必要な状態だった。後に、医師から「ここにいられるのは奇跡のようなものだと伝えられた」とヒメネスは明かしている。

衝突の瞬間はもちろん、試合開始直後の記憶もないという。覚えているのは、ロッカールームに荷物を置き、ウォーミングアップをしていたところまでだったとも。

選手生命どころか、その後の人生に影響が残ることも危惧された。それでも彼は、1年も経たないうちにピッチへ戻った。そしてプレミアリーグで再びゴールを決め、選手としてのキャリアを再びスタートさせた。

復帰後、側頭部に細い傷跡が残っているヒメネスは、黒いヘッドガードを着用するようになった。本人は「できることならヘッドガードを着けずにプレーしたい」とも語っていたが、キャリアを続けるために必要なものとなった。

また、彼は今年3月に大きな悲しみも経験していた。最大の支えだった父、ラウール・ヒメネス・ベガさんが62歳という若さで亡くなっていたのだ。その直後、フラムでゴールを決めた際にもヒメネスは涙を流していた。

メキシコを率いているハビエル・アギーレ監督は、試合後の記者会見で以下のように話していたという。

「ヒメネスは個人的にも難しい状況を抱えていた。それがさらなるモチベーションになったのかもしれないね。そして彼はゴールまで決めた。彼にとって完璧な一日だったはずだよ」

頭部への恐怖を乗り越えた選手が、母国で開催されるワールドカップの開幕戦でヘディングゴールを決める。メキシコにとって、そしてラウール・ヒメネスにとって、これ以上ないほど象徴的な瞬間だったともいえるだろう。

筆者:石井彰(編集部)
画像提供:Getty Images

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