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「行きたくない」と廊下まで聞こえた朝、私は孫のために電車に2時間乗って合格祈願に行ってきた

  • 2026.5.28
ハウコレ

私は60代の主婦で、孫娘の成長を楽しみにしている祖母です。孫は今年中学3年生になり、受験勉強でなかなか会えない月もあるようになっていました。あの土曜日、玄関から聞こえてしまった小さなひとことに、私は少し動揺していたと思います。

聞こえてしまったひとこと

その朝、私は早起きをして電車に乗りました。学問の神様で有名な天神さまに、孫の合格祈願をしに行くためです。乗り換えを含めて片道2時間。境内で手を合わせ、合格祈願の御守りを1つ授かって、お昼前に家に戻りました。帰宅して台所で支度を始めたところで、玄関のインターホンが鳴りました。私は手を拭いて「鍵開いてるよ」と返事をしてから、廊下へ向かいました。歩いている途中で、孫の小さな声が耳に届いてしまったのです。 「おばあちゃんの家なんか行きたくない」聞き間違いだったらと思いました。けれど、孫の声は確かに、玄関から廊下を伝って私のところまで届いていたのです。

気づかないふりで出迎えた

しかし私はそのまま玄関へ行き「来てくれてありがとうね。ご飯、たくさん作ったから食べてね」と出迎えました。動揺を見せないように、笑顔の作り方を間違えないように、気をつけました。孫は私と目を合わせず、靴を脱いでリビングへ入っていきました。食卓では、用意した料理を孫がほとんど食べないのが見えていました。孫が前回「美味しい」と言ってくれた卵焼きも、ほとんど手をつけずに残されていました。「アルバム見る?」と声をかけても、孫は「いや、いい」とだけ返して、スマホの画面を見つめていました。それでも私は、笑顔を崩しませんでした。崩したら、息子夫婦に心配をかけてしまうから。

渡すかどうか迷った御守り

実は神社からの帰りの電車で、私は何度も「渡そうか、やめようか」と迷っていました。受験生の孫に余計なプレッシャーをかけてはいけない、と。けれど、社殿の前で手を合わせた時間が、自分のなかでとても大事に感じられたのです。それでも玄関であの声を聞いてから、また迷いが戻ってきました。「行きたくない」と思っている子に、私の御守りなんて重荷でしかないのかもしれない、と。それでも帰り際、玄関で私は紙袋から御守りを取り出して、メモを添えて手渡しました。「これ、お土産。家で開けてね」。孫は何も言わずに受け取って、うなずいてくれました。それだけで、私は十分でした。

そして...

見送ったあと、台所に戻って洗い物をしながら、御守りに添えたメモのことを思い出しました。「むりしすぎないでね。おばあちゃんも、毎日応援しています」。書いてはみたものの、孫がそれを開けるかどうか分からない、と思っていました。翌日の夜、息子の妻から電話がありました。「お義母さん、ありがとうございました。あのお守り、娘がずっと握りしめていて」。受話器を持ったまま、私はうなずくのに少し時間がかかりました。 来月もまた、電車に乗って参拝へ行こうと思います。孫が「行きたくない」と思っても、来てくれるたびに、私は何かを用意し続けたい。それだけが、私にできることだから。

(60代女性・主婦)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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