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日本人“初”カンヌ最優秀女優賞「6月公開で1番楽しみ」「最高傑作」歴史的快挙を達成した“主演女優”が話題の新作映画

  • 2026.6.17

心を強く揺さぶられ、期待を大きく上回った、濱口竜介監督作『急に具合が悪くなる』。これまで濱口監督は、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンという“世界三大映画祭”のすべてで主要賞を受賞。『ドライブ・マイ・カー』では、アカデミー賞・国際長編映画賞に輝いた。今回の『急に具合が悪くなる』は、世界中の映画ファンが待望していた濱口監督の最新作で、第79回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門に選出された。現地では大絶賛され、主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が最優秀女優賞を共同受賞。岡本は、日本初の女優賞受賞者となった。

スクリーンに釘付けになる映画『急に具合が悪くなる』

またしても、歴史的快挙を成し遂げた濱口監督。本作の上映時間が3時間16分という長尺であることが、気になっている人もいるかもしれない。正直、筆者も試写を観る前、やや緊張した。ところが、大げさではなく、全く時間を忘れて、最後までずっとスクリーンに釘付けになった。

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(C) 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners
Synopsis 物語
パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理が演出するのは、自閉スペクトラム症の孫・智樹と行動を共にする俳優・清宮吾朗の一人芝居。真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる……。
出典:『急に具合が悪くなる』公式サイト

SNSには「6月公開で1番楽しみな映画」「公開日が待ち遠しい」といった期待のコメントが並んでいる。すでに試写会で観た人からは「濱口監督の集大成のような映画」「最高傑作だと思う」など、筆者と同じく、本作に心を奪われた人が多い模様だ。

美しくも説得力のある演出と、演技とは思えない自然な表現

本作は、“マリ”という同じ響きを持つ名前の2人の女性が、偶然のきっかけから出会い、関係を深めていく過程が描かれる。森崎真理(岡本多緒)は日本の演出家。マリー=ルー・フォンテーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)は、フランスの介護施設の施設長だ。マリー=ルーは早稲田大学で文化人類学を、真理はソルボンヌ大学で哲学を専攻。それぞれ、相手の国の言語が分かる2人は、日本語とフランス語を交えながら会話をしていく。

お互いのことを伝え合ううちに、興味の方向が一緒だと分かり、会話が尽きない2人。彼女たちは夜を徹して、自分たちが置かれている状況や、現状を打破するためにできることを突き詰めていく。とても知的で、建設的な2人の対話は、自分にとっては少し難しい内容かもしれないが、食い入るように見つめ、聞き入ってしまった。それくらい、マリー=ルーと真理が瞬く間に魂で結ばれ、通じ合っていく様子が、何の違和感もなく心に響いたのだと思う。それは、濱口監督ならではの、美しくも説得力のある演出と、岡本とエフィラの、演技とは思えない自然な表現によるものではないだろうか。カンヌでの最優秀女優賞受賞には、心から納得できる。

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(C) 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

原作は、がんを患いつつ生き抜いていく哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねてきた人類学者が交わした、20通の往復書簡からなる同名書籍。濱口監督は、原作に流れるエッセンスを掬い上げながら、フィクションとしての映画を完成させるために試行錯誤を繰り広げた。着想から5年の月日をかけ、フランス発祥の介護の技法をテーマの1つとして取り入れた濱口監督。介護施設の運用において悩みを抱えるマリー=ルーと、進行がんの闘病中である真理の物語を結び付け、唯一無二の感動作を作り上げた。

かけがえのない体験を与えてくれる濱口竜介監督

濱口監督の初の海外ロケ作品となった『急に具合が悪くなる』は、全体の9割をフランスで撮影したという。マリー=ルー役のエフィラは、『ベネデッタ』などで知られるフランスの人気俳優。彼女の、濱口組の撮影についての感想が印象的だ。

「濱口監督はテイクの合間に起きていること、カメラに映らないところで人と人の間に流れているものこそが重要であり、それが最終的に映像にも現れるのだと理解していたように、私は感じました。俳優もスタッフも含めて、彼は私たち全員に、全身で味わうようなかけがえのない体験を与えてくれました。それは、人を変えてしまうほどのものでした」

本作は、筆者も含め、観客にも“かけがえのない体験”を与えてくれると思う。

長塚京三と黒崎煌代も共演

岡本は、パリコレなどで活躍してきたトップモデル業を経て、ハリウッド映画『ウルヴァリン:SAMURAI』でスクリーンデビュー。そのPRの際、筆者は彼女にインタビューしたのだが、非常に美しく生き生きとしていて、今後の俳優としての岡本の活動が楽しみになったのを覚えている。それ以降、大好きなドラマ『ハンニバル』や『ウエストワールド』、映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』などでの活躍も眩しかった。

映画『急に具合が悪くなる』と岡本は、出会うべくして出会ったのだと思わずにはいられない。真理役は、彼女以外には考えられない。そう思えるくらい、岡本は役を演じているのではなく、真理そのものに見える。

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日本人キャストとして、長塚京三と黒崎煌代も参加している。長塚の劇中の演劇シーンは圧巻で、海外の観客が彼の名演を観ると思うと誇らしさが込み上げてくる。黒崎は、自閉スペクトラム症という難役に挑んでいるが、彼も演じている感が全くない。NHK連続テレビ小説(朝ドラ)『ブギウギ』で初めて黒崎を知った際、すごい若手俳優が出てきたなと思ったが、『急に具合が悪くなる』での彼は非常に素晴らしい。今回、黒崎煌代という俳優が、世界に広く知れ渡ることになるのが、とてもうれしい。

6月19日より公開される、映画『急に具合が悪くなる』。生涯忘れられない“かけがえのない体験”を、ぜひ映画館で味わってもらえたら何よりだ。


※制作の裏側についてはプレス資料・公式サイトより引用

『急に具合が悪くなる』2026年6月19日(金)公開
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代 ほか
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
監督・脚本:濱口竜介
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/soudain/
(C) 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners

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ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X:@KumikoShimizuWP

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