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「ハズレがない放送枠」「名作ぞろい」TVerで“全話総合1位”の快挙も達成…!【テレ朝・火曜9時枠】

  • 2026.7.1
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井上真央(C)SANKEI

テレビ朝日・火曜9時枠で放送された『リボーン 〜最後のヒーロー〜』はTVerで全話総合1位を獲得するなど、最後まで大きな盛り上がりを見せた。SNS上でも「ハズレがない放送枠」「名作ぞろい」と言われるこの枠。振り返れば『ちょっとだけエスパー』『再会〜Silent Truth〜』『リボーン 〜最後のヒーロー〜』はいずれもジャンルは異なりながら、“誰かを救うために何を選ぶか”を描いてきた。次作『クロスロード 〜救命救急の約束〜』への期待が高まる今、直近3作を振り返りたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

『ちょっとだけエスパー』世界を救う前に、目の前の誰かを救う

火曜9時枠の流れを語るうえで、最初にピックアップしたいのが『ちょっとだけエスパー』だ。主演は大泉洋、脚本は野木亜紀子。人生のどん底にいた47歳の男・文太が、謎に包まれた企業ノナマーレに採用され、“ちょっとだけエスパー”として世界を救う任務に巻き込まれていく完全オリジナルドラマである。

文太に与えられた能力は、触れている間だけ相手の心の声が聞こえるというもの。いわゆる最強ヒーローの力ではない。便利そうで不便で、強力そうでどこか地味。仲間たちの能力も同じく限定的で、タイトル通り“ちょっとだけ”の力しか持たない。

しかし、この“ちょっとだけ”こそが本作の肝だった。文太たちは大きな理想を掲げて世界を救うのではない。目の前で傷ついている人、道を外れそうな人、取り返しのつかない悲劇へ向かっている人のそばで、不器用に踏みとどまろうとする。だからこそ、突飛な設定にもかかわらず、物語はいつも人間くさかった。

序盤はコミカルな日常劇として始まりながら、中盤以降は未来・タイムパラドックス・バタフライエフェクトをめぐるSFサスペンスへと一気に展開する。一見意味不明だった任務が、未来の大きな悲劇を回避するための分岐点だったと分かっていく構成には、野木脚本らしい緻密さがあった。

さらに、宮﨑あおい演じる四季との“仮初めの夫婦”の切なさも忘れがたい。「人を愛してはならない」という不条理なルールのなか、文太が四季への想いを深めていく。その恋は、世界を救う任務と同じくらい切実だった。『ちょっとだけエスパー』は、ヒーロードラマであり、人生の敗者復活戦であり、究極の純愛でもあった。

『再会〜Silent Truth〜』初恋+未解決事件

続く『再会〜Silent Truth〜』は、竹内涼真と井上真央が織りなす、愛とサスペンスの物語だった。過去の出来事に縛られながら真実を追う主人公が、かつて心を通わせた初恋の相手と再会する。その再会の裏には、未解決事件、そして幼馴染同士で覆い隠してきた重い秘密が横たわっていた。

この作品の魅力は、サスペンス特有の緊張感と、初恋の痛みが絶妙に絡み合っていた点にある。誰が味方で、誰が嘘をついているのか。真実に近づくほど、登場人物たちは過去の傷をえぐられていく。しかし、そのなかで描かれる恋は、単なるロマンスではなかった。時間を超えても消えなかった思いが、真実を暴くための衝動にも、誰かを救おうとする力にもなっていた。

脚本の構成も見事だった。第1話の何気ない会話や日常の場面に、後半で意味を持つ伏線が自然に滑り込んでいる。万季子(井上真央)の息子をめぐるスーパーでのやり取りなど、一見すると小さな場面が、後に捜査線や人物関係を動かす鍵になっていく。視聴者に“見落としていたものが、実は重要だった”と思わせるつくりが、物語への没入感を高めていた。

『再会』が描いた“救い”は、すべてが丸く収まることではない。傷ついたままでも、真実を知り、思いを言葉にし、自分の人生をもう一度引き受けること。その静かな救済が、作品の芯にあった。

『リボーン 〜最後のヒーロー〜』再生の果てに、誰かの未来を残す

そして、火曜9時枠の勢いを決定づけたのが『リボーン 〜最後のヒーロー〜』だ。主演は高橋一生。巨大IT企業の冷酷な社長・根尾光誠が何者かに突き落とされ、目覚めると14年前の世界で、かつて自分が潰した商店街の青年・野本英人の肉体に転生していた、というオリジナル転生ミステリーである。

序盤は、未来の記憶を武器にした爽快な人生逆転劇として楽しめた。経済の動向、ヒット商品、災害の歴史。未来を知る光誠が、その知識を使って潰れかけた商店街を救い、自分を階段の上から突き落とした犯人の手がかりを追っていく。

しかし物語が進むにつれ、歴史を変えることの代償が迫ってくる。救ったはずの未来が、別の誰かの運命を歪めるかもしれない。そこに、本作の苦みがあった。

最大の見どころは、高橋一生の圧倒的な演技力。冷酷な社長・光誠と、商店街の青年・英人。さらに終盤で明かされる魂の入れ替わりによって、彼は“光誠を演じる英人”という複雑な人物像まで演じ分けることになる。2人の高橋一生が向き合う長尺の対話シーンは、映像技術以上に、俳優の身体と声が別人を生み出す凄みで成立していた。

『リボーン』の“救い”は、自分が助かることではない。自分が消えても、誰かの未来を残すこと。その大きな余韻が、TVerでの盛り上がりにもつながったのだろう。

『ちょっとだけエスパー』は、どん底の人間が“ちょっとだけの力”で目の前の誰かを救う物語だった。『再会〜Silent Truth〜』は、嘘と過去に縛られた人々が、真実によってようやく前へ進む物語だった。『リボーン 〜最後のヒーロー〜』は、人生をやり直す者が、自分ではなく誰かの未来を残す物語だった。

ジャンルは違う。ヒーローもの、ラブサスペンス、転生ミステリー。けれど共通しているのは、“不条理な運命において、大切な人を救うために何を選ぶのか”という問いである。

次に控える『クロスロード 〜救命救急の約束〜』は、救命医、救急隊員、警察官という異なる立場の人々が、命の最前線で交差する物語だ。ここまで積み重ねてきた“救い”のドラマの流れを、今度は医療と現場の物語としてどう受け継いでいくのだろうか。


出典:『ちょっとだけエスパー』テレビ朝日
出典:『再会〜Silent Truth〜』テレビ朝日
典:『リボーン 〜最後のヒーロー〜』テレビ朝日
出典:『クロスロード 〜救命救急の約束〜』テレビ朝日

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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