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来期の“深夜ドラマ”出演も決定した俳優の存在感 “予想を裏切る”役どころで際立った奥行きある演技【月10ドラマ】

  • 2026.6.29
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月10ドラマ『銀河の一票』第8話より(C)カンテレ・フジテレビ

残り1話となった『銀河の一票』だが、政治という難しい題材を扱いながらも連続ドラマとしてとても見応えがあった。

※以下本文には放送内容が含まれます。

本作は、東京都知事選挙を舞台にした政治ドラマだ。
与党・民政党幹事長の父親・星野鷹臣(坂東彌十郎)の娘・星野茉莉(黒木華)は、父の秘書を務めながら、いつか都知事となって東京モデルから国政を変えたいと考えていた。
しかし、父の罪を告発する謎めいた手紙の裏を取ろうと動いていたところ、突然、父親に秘書を解雇され、家から追い出されてしまう。
路頭に迷う茉莉は、偶然知り合ったスナックのママ・月岡あかり(野呂佳代)の人柄に魅力を感じ、彼女に都知事になってもらい、自分を副知事として指名してもらうことで、政治の世界に復帰しようと考える。

政治のエンタメ化に対するドラマの側からの返答

本作が始まった時は、都知事選に立候補した様々な候補者たちがしのぎを削る姿を面白おかしく描く政治ドラマになるのかと思っていた。
イメージしていたのは2024年の東京都知事選挙の熱狂。
日本では、あの都知事選から政治のエンタメ化が加熱しており、アイドルを応援する推し活のように政治家を支持する有権者たちの熱狂が、政治を動かす時代となっている。

あの盛り上がりを体験した後だと、都知事選がドラマになるのは必然だったと言えるが、『銀河の一票』は、現実の政治の熱狂に対しては距離を取っており、まずはポスターの貼り方や演説の仕方といった選挙の内幕や、生活困窮者への支援制度の仕組み等をわかりやすく伝える物語として作られている。

何より強く打ち出されているのが、困っている人の声に耳を傾け、対話を重ねるというスタンスで、茉莉とあかりが一人ひとりの悩みと丁寧に向き合う姿自体が、現在の政治に対する鋭い批評となっている。

魅力的な出演俳優たち

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月10ドラマ『銀河の一票』第8話より(C)カンテレ・フジテレビ

第4話から、チームあかりに加わり、都知事選を戦う仲間が次々と登場する。

星野鷹臣の元秘書で「選挙の天才」と呼ばれているガラさんこと五十嵐隼人(岩谷健司)。
2年前にガラさんと市長選に挑み、無所属の新人ながら当選した元西多摩市長の「ぶっとばし蛍」こと雲井蛍(シシド・カフカ)。
暴露系YouTuber・ブライトブラインドとして活動する白樺透(渡邊圭祐)。
そして、茉莉を裏から支援する政治部の記者・雨宮楓(三浦透子)。

異なる立場の人々が仲間として次々と加わり、チームあかりとして都知事選に挑んでいく展開は、文化祭のようで実に楽しい。

何より出演俳優がとても魅力的だ。

野呂佳代を月岡あかりという大きな役に抜擢したことが話題になった『銀河の一票』だが、他の俳優の抜擢も見事である。

例えば、あかりの選挙カーのウグイス嬢を担当するレジェンド声優・白鳥光留を演じた日髙のり子もまた実際のレジェンド声優で、役と本人の重なる部分がとても多い。

白鳥の悩みが描かれた第8話は、生成AIによって声優の声が無断使用される中、声そのものを直接保護する法律がないという「声の権利」について描かれたエピソードだった。

生成AIに無断使用された声の朗読を聞いた白鳥が、ショックで声を出せなくなる姿は、声優の日髙が演じたことで説得力が増しており、これまで劇中で描いてきた困っている当事者の声を政治に反映させるという本作の方針ともしっかり合致していた。

また、AIに仕事を奪われる人間の苦しみを描きながらも、本作はAIを排除すべき悪とは描いておらず、使い方次第で人々の役に立つというプラスの側面も、劇中では繰り返し描かれている。

その象徴が都知事選に出馬したAI企業の社長・風間藍生だが、演じているのが人気声優の梶裕貴というのも面白い起用である。

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月10ドラマ『銀河の一票』第6話より(C)カンテレ・フジテレビ

渡邊圭祐が演じるブライトブラインドもハマり役だった。
渡邊は、刑事ドラマ『MIU404』で特派員RECというスキャンダルを報じる過激な動画配信者を演じていたが、今回も同じような役柄だったため、茉莉とあかりの秘密を暴く敵役となるのかと思っていた。

だが、第6話で描かれた彼の過去と、動画配信者としての信念は特派員RECとは異なるもので、彼が仲間に加わることも含めて予想外の展開だった。
軽薄で過激な動画配信者として振る舞う一方で、節々で繊細な表情を見せるブライトブラインドを渡邊は好演しており、こんなに奥行きのある芝居ができるのかと驚いた。
すでに次クールの深夜ドラマ『夫を殺したはずなのに』の出演も決まっており、これからの活躍が楽しみである。

このように、俳優の名演を楽しむドラマとしても素晴らしい『銀河の一票』だが、実はもう一人、切り札と言える存在がいる。
それは、幹事長政策秘書・雫石誠。演じている山口馬木也は、舞台や時代劇の出演が多いベテラン俳優だが、2024年に話題になったSF時代劇映画『侍タイムスリッパー』で映画初主演を果たしたことで大きな脚光を浴びた。

第1話から圧倒的な存在感を示していた雫石だが、最終回直前になっても本心が見えないところがあり、鷹臣に対する告発の手紙も、現時点では彼が送ったように見える。

雫石は、都知事選に出馬する政治家・日山流星(松下洸平)と茉莉の父・鷹臣と並ぶ本作のラスボスと言える茉莉たちの宿敵だが、悪人に見える人にも、それぞれの事情と信念があるということを繰り返し描いてきた『銀河の一票』だけに、この3人の真意も想像を超える意外なものかもしれない。

政治ドラマとしては、誰が都知事に当選するのかが、最終回で一番気になるところだが、この3人の本心を『銀河の一票』が、どう描くのかが一番楽しみである。


カンテレ・フジテレビ系 月10ドラマ『銀河の一票』毎週月曜よる10時放送

ライター:成馬零一
76 年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に 『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレ ビドラマを更新する 6 人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』 (PLANETS)がある。

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