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『パートは指示通り動けばいい』が口癖だった俺→本社の評価表で呼ばれたのは別の名前

  • 2026.5.25
ハウコレ

俺はバイトリーダーとして年上のパートを下に見ていました。けれど本社の覆面調査で「接客態度が最も優れていたスタッフ」として呼ばれた名前は、自分のものではなかったのです。

パートに意見されたくなかった

学生時代からこの店で働き、新人の指導も任されてきた。年上のパートが何人もいる中で、店内の動きを一番わかっているのは自分だと思っていました。だから、年上のパートさんが朝礼で業務改善の提案を出してきたとき、頭の中で何かが反応しました。

仕切るのは俺だ、口を出してくるなと言わんばかりに「パートは指示通り動けばいい」。そう言い放っていました。その瞬間、会議室の空気が変わったのを感じましたが、それ以上深く考えませんでした。リーダーの俺が場を締めただけだ、と。

「指示通り動けばいい」と言い続けた俺

ある日のランチタイム、料理が冷めているというクレームに、彼女が自分の判断で温め直しと小さなドリンクサービスを提案していました。

本来なら俺に確認を取るべきだろう。お客様が帰ったあと、俺はすぐ彼女を呼びました。「パートのくせに勝手なことをするな」。彼女は何か言いたそうな様子でしたが、結局うつむいたまま厨房に戻っていきました。それでよかった。

指示系統を守らせるのがリーダーの役目だ、と本気で思っていたのです。 仕事終わりに更衣室で、後輩のアルバイトが「あの言い方は、ちょっときつくないですか」と小さく言ってきました。俺は「気にすんな」とだけ返しました。けれど、その夜なかなか寝つけず、自分の言い方ばかりが頭の中で繰り返し再生されていました。

覆面調査の結果が読み上げられた朝

2週間ほど経った朝礼で、店長が一枚の報告書を手にしていました。本社の覆面調査の結果です。リーダーである自分の名前が一番に呼ばれるとばかり思っていました。 店長は淡々と読み上げました。「『今回の調査で接客態度が最も優れていたスタッフは、ホール担当のパートさんでした。彼女の対応が、この店舗の評判を支えています』とのことです」。 俺の名前は、最後まで一度も呼ばれませんでした。手元のメモ帳に視線を落としたまま、ボールペンの先を意味もなく回していました。顔を上げる気にはなれませんでした。

そして...

あの朝礼から、自分の言葉と仕事を見直すようになりました。「指示通り動けばいい」と言い続けた相手こそが、俺がやれていなかったことをやっていたのです。

翌週、廊下ですれ違ったとき、彼女に声をかけました。「何か気づいたことがあったら、教えて」。短いひとことでしたが、自分の中ではずっと言えずにいた言葉でした。リーダーという肩書きは、上に立つことではなく、人の力を引き出すことだったのかもしれない。そう気づくのに、5年もかかってしまいました。これから少しずつ、取り戻していこうと思っています。

(20代男性・飲食店スタッフ)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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