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『箱の中の羊』の是枝裕和監督、綾瀬はるか、千鳥・大悟らがカンヌへ!レッドカーペットから公式上映、会見までをレポート

  • 2026.5.21

是枝裕和監督最新作『箱の中の羊』(5月29日公開)が第79回カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」に正式出品され、是枝監督、主演の綾瀬はるか、大悟(千鳥)、桒木里夢が、カンヌでのレッドカーペットセレモニーや公式上映、フォトコール、記者会見に参加した。その模様を一挙、お届けする。

【写真を見る】綾瀬はるかのデコルテが美しいドレス姿に観客は目がくぎ付け!

【写真を見る】綾瀬はるかのデコルテが美しいドレス姿に観客は目がくぎ付け! [c]KazukoWAKAYAMA
【写真を見る】綾瀬はるかのデコルテが美しいドレス姿に観客は目がくぎ付け! [c]KazukoWAKAYAMA

カンヌ国際映画祭で数々の受賞歴を誇る是枝監督。『そして父になる』(13)で審査員賞、『万引き家族』(18)では最高賞であるパルムドール受賞に輝き、『ベイビー・ブローカー』(22)ではエキュメニカル審査員賞、主演のソン・ガンホに韓国人俳優として初の最優秀男優賞をもたらした。前作『怪物』(23)ではクィア・パルム賞のほか、タッグを組んだ脚本家の坂元裕二が脚本賞を受賞し、大きな話題となった。最新作『箱の中の羊』の舞台は、“少し先の未来”。息子を亡くした夫婦がヒューマノイドを迎え入れ、再び家族としての時間が動き出すSFヒューマンドラマだ。

レッドカーペットを歩いた『箱の中の羊』チーム [c]KazukoWAKAYAMA
レッドカーペットを歩いた『箱の中の羊』チーム [c]KazukoWAKAYAMA

5月16日は、レッドカーペットセレモニーと公式上映の日。先に到着したのは、慣れ親しんだカンヌに戻ってきた是枝監督と、この日10歳の誕生日を迎えた、黒いタキシード姿の桒木だ。続いてグッチのタキシードとキッズラブゲイトの靴でキリっとキメ、胸にショーメのブローチを輝かせた大悟が登場。ひと際注目を集めたのは、デコルテの美しさが際立つバレンシアガの黒のドレスとシューズ、カルティエのジュエリーをつけた綾瀬だ。『海街diary』(15)以来2度目のカンヌコンペティション部門のレッドカーペット参加となった。

カメラの前で、リクエストに応じ笑顔で手を振る一行。大悟は終始、おどけた満面の笑みでユーモラスに、全力で応え、世界から集まったメディアを魅了した。シアターへの階段では、先日の完成披露試写会での「綾瀬さんをエスコートしてみせる」という宣言を見事回収する形で、綾瀬をスマートにエスコートする姿もあった。

綾瀬はるかが大悟を優しくエスコート [c]KazukoWAKAYAMA
綾瀬はるかが大悟を優しくエスコート [c]KazukoWAKAYAMA

公式上映の会場では、大きな拍手で迎えられたあと、上映が開始。涙を流す観客の姿も多い一方で、大悟のセリフには客席から何度も笑い声が上がる。上映後には、2300人もの観客を収容する会場からは9分にもわたる熱狂的なスタンディングオベーションが続き、是枝監督や綾瀬たちも感激しきりの様子。会場にはケイト・ブランシェットの姿が見られたほか、ホールジー、ジェームズ・フランコらも惜しみない拍手を送り続けていた。

9分間のスタンディングオベーションを浴びた [c]KazukoWAKAYAMA
9分間のスタンディングオベーションを浴びた [c]KazukoWAKAYAMA

スタンディングオベーションのあと、是枝監督は感慨深げに会場をゆっくり見渡しながら、「こんなにたくさんの拍手を本当にありがとうございました。作品を一緒に作ったスタッフと、キャストと一緒にまたこの場に戻ってくることができて本当に幸せです」と、感無量の様子だった。

本作を鑑賞した海外プレスからは、「美しさと巧みさが響き合い、心を深く揺さぶった」「象徴的でとても深いけれど、同時にすごく、シンプルで直接的」「とても現代的なテーマ」、「心温まる感動的な作品」「彼女(綾瀬)はとてもゴージャスで美しい。彼女の演技はとても繊細。あの眼差しの非常に繊細なニュアンスがすばらしい」「彼(大悟)が作品に動きを与えた。彼の演技は美しかった」など、鑑賞後の興奮冷めやらぬコメントも寄せられた。

4人でフォトセッション [c]KazukoWAKAYAMA
4人でフォトセッション [c]KazukoWAKAYAMA

翌日の5月17日には是枝監督、綾瀬、大悟、桒木に加え、音楽を担当した坂東祐大がフォトコールに出席した。最初の5ショットの撮影を終え、坂東はさがり、4人での撮影がスタート。「コレ・エダー!」「ハルカサーン!」「ダイゴサーン!」「リム!」と前後に並ぶ、大勢のマスコミ陣からの目線とポーズを求める呼び声に、4人は笑顔で答えた。

フォトコール後には、公式会見が実施。会見では是枝監督に、子どもを失くした悲しみという普遍的なテーマと、現代的なテーマである人工知能を結びつけたきっかけについての質問が。是枝監督は「AIについて僕は本当に詳しくないんです。ただ、いろいろなところで議論されている話を聞きながら、一番大事なのはおそらく、技術が進歩してもなお残る最も人間らしいものはなんだろうか、それを観た方が観終わったあとに辿っていけるような、そんな物語を書きたいと思ったのがスタートでした」と答えた。

笑顔で手をふる綾瀬はるか [c]KazukoWAKAYAMA
笑顔で手をふる綾瀬はるか [c]KazukoWAKAYAMA

『海街diary』に続き、是枝作品に参加した感想を求められた綾瀬は「監督は以前も本当に穏やかな方でしたが、今回はさらに穏やかで、現場は本当にずっと優しい空気感が漂っていました。そのなかにも緊張感はあるのですが、自然にお芝居に入って行けるような空気感。監督自身が現場で作られる空気感をとても大切にして撮影に入られているのだなと改めて感じました」と信頼感を口にした。

台本が流動的に変更された点についても綾瀬は「日々進化していく監督に驚きました。撮影して疲れているだろうに、寝ないで編集して、その集中力とエネルギーがすごいと撮影期間常に感じていました。ピリピリすることもあると思うのですが、いつも穏やかなのがすごいと思いましたし、人の領域を超えているんじゃないかと思いました」と心から是枝監督をリスペクトしていた。

桒木里夢がご機嫌にこのポーズ! [c]KazukoWAKAYAMA
桒木里夢がご機嫌にこのポーズ! [c]KazukoWAKAYAMA

また、桒木は是枝監督の演出を受けた感想を問われると「『自分通りでやって』『こういうしゃべり方じゃなくていいよ』と言ってくれて、あまり指示を出さない人でした」と素直な感想を述べ、会場を温かい笑いに包んだ。

アワーレガシーのダークブラウンのスーツでキメた大悟 [c]KazukoWAKAYAMA
アワーレガシーのダークブラウンのスーツでキメた大悟 [c]KazukoWAKAYAMA

演技を称えられたあとで、父親役へのアプローチについて尋ねられた大悟は、「正直あまり考えてやらず、目の前の里夢が可愛ければ『可愛いな』と思って見ていたし、この子がロボットなんだと思って、そんなに深く考えずにやったというか。『可愛いけど、ロボットなんや』と。そんなに複雑なことを僕はしていなくて、そのまま目の前で起こったことに素直に反応していただけなので、いい感じに思っていただいてありがとうございます」と感謝を示していた。

「いまの日本社会で“AI絶賛”という空気感がありますが、なにか危機感があってこの物語を思いついたのですか?」と問われた是枝監督は「僕自身はいまだに原稿は手書きで、PCも1本指で打つような人間なので、今回の撮影も、フィルムで撮っています。やはり効率だけを追いかけた時に、クリエイティブというのは均質化していく、皆同じものになりかねないなという危機感があるので…といったら嘘になりますが。単純に僕は指を動かさないと発想が出てこないんです。それすらも思い込みなのかもしれないですが、身体性へのある種の信頼があります」とコメントした。

音楽を担当した坂東祐大もフォトコールと記者会見に参加 [c]KazukoWAKAYAMA
音楽を担当した坂東祐大もフォトコールと記者会見に参加 [c]KazukoWAKAYAMA

さらに「今回映画を作りながら、建築家の西沢立衛さんの本を読んでいたら、建築家は模型を手放さず、自分の手で形作った模型というものが一番建築という世界を把握するために重要だと考える人たちが多いと知り、すごくシンパシーを感じました。手作業を無駄ととらえず、人間がふんばっていくということが映画作りにおいても大事なのかなと。効率化は労働時間を短くするためには必要な部分ですが、その場その瞬間にしか生まれない奇跡もあると思っていて、そういう瞬間を求めて映画を作っています。人間の営みとして」と映画作りへの想いを語った。

現在もカンヌ映画祭は開催中で、授賞式はフランス現地時間5月23日に行われる。

文/山崎伸子

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