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ドラマ『オクニョ』悪役・文定大妃の先王殺しはウソか本当か

  • 2026.5.20

テレビ東京で放送中の韓国ドラマ『オクニョ 運命の女(ひと)』。5月19日放送の第33話では、すべての真相を知った国王・明宗(ミョンジョン)が、実母である文定(ムンジョン)大妃に「先王・仁宗(インジョン)を毒殺したのか」と詰め寄る緊迫のシーンが描かれた。

劇中、キム・ミスク演じる文定大妃は、明宗の激しい追及に対して「邪な奸臣たちのウソを信じるのか」と真っ向から否定する。しかし、果たしてその言葉は真実なのだろうか。今回はドラマの演出を超え、朝鮮王朝の歴史に刻まれた「史実」の視点から、この先王暗殺疑惑の真相に迫る。

イ・ミスク演じた文定大妃(写真=MBC『オクニョ』)
蜜月から一転、実子誕生で「最大の障害」となった先王・仁宗

朝鮮王朝第11代王・中宗(チュンジョン)の3番目の正室として、都である漢陽(ハニャン)の王宮で権力の頂点に君臨した文定大妃。実は彼女、元々は仁宗にとって「育ての母」というべき存在であった。

仁宗は、中宗の2番目の正室である章敬王后(チャンギョンワンフ)から生まれたが、章敬王后は病弱だったため出産後わずか6日でこの世を去ってしまう。そのため、新しく王妃として迎えられた文定大妃が母代わりとなり、幼い世子(世継ぎ)を育てたのである。

しかし、文定大妃に実子である慶源大君(キョンウォンテグン/後の第13代王・明宗)が誕生したことで、二人の関係は一変する。

わが子を国王に即位させたいという強い野望を抱く文定大妃にとって、すでに世子の座にある仁宗の存在は「最大の障害」となったのだ。これ以降、文定大妃が世子の命を執拗に狙っているという噂は、当時から宮廷内で公然の秘密として囁かれるようになる。

疑惑を呼んだ不可解な「餅」のエピソード

1544年に中宗が崩御し、仁宗が第12代王として即位すると、仁宗はその不自然な病状悪化が周囲を驚かせることとなる。そして、疑惑の決定打となったのが歴史上有名な「餅」を巡る逸話だ。

ある日、仁宗が文定大妃のもとを訪れた際、彼女から手ずから餅を勧められた。普段の冷徹な態度とは異なる不自然な好意に裏があると感じつつも、心優しい仁宗はその餅を口にしてしまう。ところが、この餅を食べた直後から仁宗の体調は急激に悪化し、激しい下痢や高熱に苦しむこととなった。

そして1545年7月1日、仁宗は即位からわずか8カ月という短さでこの世を去った。この急死により、文定大妃への毒殺の嫌疑は決定的なものとなったのである。

ドラマが代弁する、当時の人々による「正義の追及」

仁宗の崩御という悲願を果たした文定大妃は、実子である明宗を即位させ、自らは幼い王の後見人(垂簾聴政)として絶対的な権力を握ることに成功した。

『オクニョ』において、キム・ミスクが圧倒的な存在感で演じる文定大妃は、一族の栄華とわが子の即位のために、法も情愛も踏みにじった稀代の悪女として描かれている。
あるドラマ評論家は、本作の展開について次のように分析する。
「文定大妃が言い放った“邪な奸臣たちのウソを信じるのか”というセリフは、己の罪を隠蔽しようとする冷徹さを象徴している」と。
ドラマの緊迫した心理戦の背景には、数百年を経てもなお色褪せない、血塗られた歴史のミステリーが隠されている。

文=韓ドラLIFE編集部

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