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飲むこと以外は何も決めずに出発! 『ワカコ酒』の新久千映が描く、日本各地の酒と肴、そして人との出会いに酔いしれる大人のひとり旅!【書評】

  • 2026.5.19

【漫画】本編を読む

『女ひとり 日本をゆっくり飲んでみたよ』(新久千映/KADOKAWA)は、日本各地を旅しながら、その土地の酒と肴、風景、そして人との出会いを楽しんだ旅の様子を描いたコミックエッセイ。ドラマ化もされた『ワカコ酒』で「ひとり飲み」の魅力を描いてきた新久千映氏が、本作では居酒屋を飛び出し、全国を巡る旅そのものを肴にしてみせる。読むとどこかへ行きたくなる一冊だ。

作品タイトルの「女ひとり」という言葉の通り、本作もおひとり様の自由と楽しさが描かれる。「飲むことだけ」と決めた旅は、誰に気を使うでもなく自分のペースで歩き、疲れたら休み、気になった店にふらりと入るというもの。飲みたい酒を飲み、食べたいものを食べる。その身軽さが、ひとり旅最大の贅沢だと気づかされる。

旅先で描かれる食の魅力もたまらない。北は秋田、南は鹿児島と、土地ごとの名物料理、地酒、素朴な居酒屋の一皿、観光地の外れで偶然出会う名店の数々は、SNSにあふれる「映えグルメ」ではなくその土地に根づいたものだ。ガイドブックとは異なる「日常に近い旅」の温度を感じられるだろう。

さらに、地元の人とのふれあいも心地よい。ひとり旅といっても、孤立しているわけではなく、各地で名店へと誘う水先案内人との出会いや、店主との何気ない会話、隣の客との一瞬の交流など、深く踏み込むことのない関係だからこその温かみを感じるのだ。

新久氏らしいユーモアも健在だ。旅の道中、店選び、ちょっとしたハプニングを笑いに変えてしまう軽快な筆致が期待を裏切らないだろう。

日々の忙しさに追われていると、準備が必要な旅は一大イベントだ。だが本作は、もっと気軽で、もっと自由でいいのだと教えてくれる。次の休日、ふらりと知らない街へ出かけたくなる一冊だ。

文=ダカラサ

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