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「ディオール」クルーズコレクションでピーター・フィリップスが魅せた“クリスタルアイライン”とは

  • 2026.5.19
Courtesy of Dior

「ディオール」とハリウッドは、いつの時代も密接な関係だった。2026年のアカデミー賞授賞式でローズ・バーンがまとったガウンを挙げるまでもなく、古くは1955年にクリスチャン・ディオール本人が衣装デザイン賞にノミネートされた歴史がそれを物語っている。

クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンが手がける初のクルーズコレクションは、その絆をより強固なものへと昇華させた。ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)を舞台に、夕暮れの中で開催されたショー。メイクアップ クリエイティブ&イメージ ディレクターのピーター・フィリップスは、このロケーションから直接的なインスピレーションを得て、銀幕の美学を現代に呼び起こした。

「オールドスクールなハリウッド。どこか『ツイン・ピークス』やデヴィッド・リンチ、あるいはアルフレッド・ヒッチコックのような雰囲気を感じたんです」とピーターは語る。

彼はハリウッドメイクの王道であるウィング・アイラインに、独創的なツイストを加えた。「銀幕の女神たちが住む魔法の街だからこそ、クリスタルのアイライナーを施したんです」。一部のモデルに採用されたこのルックは、虹色に輝くピーチトーンのジュエルを、上まつげのラインに沿って一粒ずつていねいに接着したもの。肌になじむ温かみがありながらも、透明感を失わない絶妙な発色が、モデルたちの表情を神秘的に彩った。

今回のショーは美しい服のプレゼンテーションにとどまらない、ひとつのパフォーマンスアートのようだった。シャーベットオレンジの軽やかなガウンやコットンキャンディピンクのドレス、さらには「Dior」やbuzzの文字を象ったフェザーのヘッドピース。一方で、シルバーチェーンをあしらったダメージデニムなど、ジョナサンらしいエッジの効いたピースも目を引く。

会場にはヴィンテージカーが配置され、俳優たちが小道具として演出を盛り上げた。黒のキャデラックのミラーでメイクを直す女性や、ピンクのコンバーチブルに寄りかかり、古びた新聞を眺める男性。まるで映画のワンシーンのような静謐な時間が流れていた。

ジョナサン・アンダーソンは、今回のコレクションでメゾンの遺産へのオマージュを捧げている。「クリスチャン・ディオールは、観客の目を覚まさせるためにコレクションの途中に必ず『赤のドレス』を差し込んでいた。その手法を自分なりに試してみたかったんです」

フィリップスによるクリスタル・アイライナーは、まさにこのレッドドレスの役割を果たしていた。ショーの随所で不意に現れる宝石を散りばめた瞳は、観客に鮮烈な刺激を与え、最後までその心を捉えて離さなかった。

一方で、ほかのモデルたちは素肌の質感を活かした“ノーメイクアップ・メイク”で登場した。“ディオール フォーエヴァー フルイド スキン グロウ”を極めて薄くなじませて肌本来の美しさを引き出し、仕上げに“ディオール バックステージ ロージー グロウ”の新作、ピンク ライラックやベリーで内側から上気したような血色感をプラス。

ヘアスタイリストのグイド・パラウは、無造作なビーチウェーブで西海岸らしい抜け感を演出。さらに、ネイリストのアマ・クアジーは、ジョン・ガリアーノ時代のアイコニックな“ニュースペーパープリント”をネイルに再現した。このプリントはバッグにも採用されており、メゾンの歴史を繋ぐ象徴的なアクセントとなっている。

セット、衣装、メイク、そのすべてが映画の世界から抜け出したような、完璧な一夜。ディオールが提示したのは、過去へのノスタルジーを抱きつつ、未来へと向かう新しいエレガンスの形だった。

■使用色
<ベース>ディオール フォーエヴァー フルイド スキン グロウ 2N、<チーク>バックステージ ロージー グロウ スティック 831ウルトラピンク、<リップ>ディオール アディクト リップ マキシマイザー 001 ピンク/以上パルファン・クリスチャン・ディオール

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