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【千葉県・香取市】源泉100%の黒湯で“つるすべ”肌に! 漆黒の美肌湯が湧く「カーニバルヒルズ」

  • 2026.5.19
湯船では濃いコーヒー色に見える黒湯。

千葉県の温泉をよく知っている某紙の記者さんから「スゴイ温泉があるよ!」と教えてもらったのが、香取市の「天然温泉リゾート 美人の湯 カーニバルヒルズ」だった。

何がスゴイって、「墨汁みたいな黒さがスゴイ」と言うのだ。どんな施設か気になって訪ねてみた。


20cm下も見えない、鏡面のような黒湯

黒湯をボトリングした源泉のペットボトル。

「お土産に」といただいた源泉入りのペットボトルを見て、思わず声が出た。まるで墨汁を入れたみたいに真っ黒だ。時間が経つほど黒さが増すのか、それとも最初から成分が濃いのか……。

首都圏で「黒湯」と呼ばれる温泉は、東京都の蒲田をはじめ、神奈川県の川崎、横浜、鎌倉、千葉の津田沼、養老渓谷、亀山湖など、東京湾岸から千葉中央部の地層に多く湧く。北海道・十勝川の温泉は「モール温泉」とうたっている。

たとえるなら「コーラやコーヒーの色」。少し薄いところだと「紅茶みたい」といわれることもある。太古の植物由来の腐植質(フミン酸など)が地下水に溶け込んだもので、総じて、肌をしっとりすべすべにしてくれる「美肌の湯」として親しまれている。

まるで鏡面のようなお湯。

カーニバルヒルズの源泉は、これまで出会った黒湯の中でも群を抜いて黒かった。コーヒーをさらに煮詰めたような、まさに“漆黒”という言葉がぴったりの温泉だ。腐植質の含有量は、温泉水1L当たり約340mg。「モール温泉」をうたう北海道・十勝川温泉などのモール系温泉が数mg~数十mgというから、その10~100倍にもなる計算だ。

実際に湯船に入ってみると、20~30cm下はもう見えないほど不透明。湯面には壁のポスターが反射して映っていたが、浸かった瞬間、自分の顔の造形がくっきり映り込んでいて驚いた。

泉質はナトリウム−炭酸水素塩泉。肌をなでると、つるつるとした感触がある。

人の温もりに満ちた、ローカル温浴施設

地元密着のローカルな日帰り入浴施設。

カーニバルヒルズがオープンしたのは2006年。チェーン系の温浴施設は洗練されている反面、どこか似通ってしまいがち。しかし、ここは建物自体は年季が入っているものの、スタッフが積み重ねてきた手作りの温かさが館内の空気をやわらかくしている。

オーナーをはじめ、地元のおばちゃんたちが明るく働き、訪れる人に気さくに声をかけてくれる。館内には健康や美容に良さそうな化粧品、黒酢、地元の野菜、そして生活感あふれる雑貨など、ジャンルを超えた商品も並んでいる。

ローカルの温浴施設ならではの距離感がなんとも心地よくて、「また来よう」と思わせてくれる。

夢のお告げで見つけた、不思議な黒湯源泉

カーニバルヒルズの源泉は、実はこの場所ではなく、隣の匝瑳(そうさ)市にある。社長の浅野由加さんの自宅の敷地から湧いているのだという。

温泉の開湯伝説には「夢のお告げで見つかった」という話がつきものだが、ここも例外ではない。浅野さんが「夢で見て」掘り当てたというのだから驚きだ。

匝瑳市といえば温泉のイメージがほとんどない地域。山間にある自宅の庭から、こんこんと湧き出す黒湯を、タンクローリーでカーニバルヒルズまで運んでいるという。

「運び湯」と聞くと、「循環することで個性の薄い温泉になりがち」という先入観がある。しかし、ここの黒湯はそのイメージを良い意味で裏切ってくれた。湯船に身を沈めた瞬間、肌にまとわりつくようなとろみと、黒さに圧倒される。むしろ、運び湯とは思えないほどの個性とパワフルさを秘めていた。

そして、お湯と同じくらい個性的なのが浅野社長の人生だ。東京の商売人の家に育ち、新卒で入社したのは芸能プロダクション。橋田壽賀子や家田荘子さんが所属する事務所で、シナリオライターや脚本家を目指していたという。

その後、結婚を機に千葉へ移り住み、温泉施設の運営へとたどり着いた。その経験を生かして、館内では「魔女エリザベスの九星気学」(30分3,000円)という占いサービスまで提供している。

さらに、カイロプラクティック、スポーツマッサージ、ヘアカット、BBQテラス、オートキャンプ場……。多彩なサービスが併設されているのも、地元密着の施設ならではの魅力だ。ペットが入れる黒湯まである。

食事処のテーブルに座って天井を眺めると、天使のオブジェが目に入った。「オーナーは天使グッズがお好きなのかしら……?」と思ったが、理由を聞いてすぐに腑に落ちた。

「ここはかつて、『銀座レカン』のパーティルームだった建物なのよ」と浅野さん。

なるほど。天使たちは、バブルの名残だったのか。

レストランの天井に天使のオブジェが。

100%源泉かけ流し! 月数回だけの「源泉デー」が狙い目

ここを教えてくれた人がこう言っていた。

「『源泉デー』が一番いいんだよ。あの黒さは、本当に別格だから」

カーニバルヒルズでは、月に4回ほど、不定期で「源泉デー」が設けられている。この日は100%源泉かけ流し。水で薄めていない、さらに濃い黒湯を堪能できる特別な日だ。

光を吸い込むような深い黒。手を沈めると、指先がすぐに見えなくなる。つるりとした感触のあとに、まとわりつくような肌触り。露天風呂には、黒湯でよく見かける白い泡が浮かんでいる。

2、3分浸かっているだけで体の芯までしっかり温まる。全身の血の巡りがぐっと良くなっていくのがわかるほどだ。体温が0.5℃上がるだけでも免疫力は高まると言われている。こんなお湯が家の近くにあったなら、きっと定期的に通ってしまうだろう。温熱効果は、想像以上にパワフルだ。

湯上がりは、手作りの味がうれしい館内食堂へ

あんかけ焼きそば。

湯上がりに立ち寄った、温泉施設内にある食堂「食彩工房 レストラン さわ」では、おばちゃんたちが手際よく料理を作っていた。メニューはどれも庶民派で、しっかり食べたい人にはたまらないラインナップ。定食、釜飯、そば・うどん、ラーメン、ピザまでとにかく種類が豊富だ。

「看板メニューはあんかけ焼きそばですよ」と教えてもらい、迷わず注文。手作り餃子もセットにしてみた。

チェーンの温浴施設ではどうしても“冷凍食品っぽいメニュー”になりがちだけど、個店だから手作り感のあるメニュー構成である。しかもボリュームたっぷりで、価格は抑えめ。お得感がある。湯の良さだけでなく、こうした“人の温度感”もいい。

御神体はさつまいも!? 温泉帰りに寄りたい「芋神社」

さつまいもを祀る「芋神社」。

温泉の帰りに立ち寄ったのが、さつまいもの産地、香取市ならではのユニークな神社だ。その名も「芋神社」! なんと御神体は幻のさつまいもと呼ばれている希少品種「紅小町」である。

道の駅の前、さつまいも畑が広がる広大な敷地に赤い鳥居。その先に、さつまいものオブジェ(御神体)が鎮座している。

千葉県はさつまいもの収穫量が全国3位。香取市は、成田市、多古町と並んでさつまいもの産地として有名なのだ。

シーズンには「道の駅くりもと 紅小町の郷」の直売所でさつまいもを買って帰るだけでなく、いも掘りの収穫体験ができる「ふれあい農園」が併設されている。

11月には、一晩かけて焼いた籾殻(すくも)の山にさつまいもを入れ、約2時間かけてじっくりと焼き上げる、「栗源のふるさといも祭」というイベントも開かれる。

このお祭りでは「日本一の焼きいも広場」と銘打ち、1.2トンの焼きいもを無料配布するほか、巨大セイロで蒸した0.8トンのさつまいもも振る舞われる。これほどの規模の焼きいもイベントは、全国的に見てもめったにない。

土地の恵みを味わいつつ、植物の記憶が宿る黒湯に浸かれば、この地の暮らしがより身近に感じられることだろう。

天然温泉リゾート 美人の湯 カーニバルヒルズ

所在地 千葉県香取市沢13−15
電話番号 0478-70-5400
営業時間 9:30~22:00(21:00最終入館)
料金 1,100円(タオル・館内着なし)、1,800円(タオル・館内着あり)、平日850円(平日応援フェア)

野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家

「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
https://zero-tabi.com/

文・撮影=野添ちかこ

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