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「これ早く片付けて」普段は命令口調なのに若い看護師には腰が低い男性医師→詰所に流れた異様な空気の正体

  • 2026.5.20

同じ詰所で違う声色を使い分ける医師

看護師としてこの病院に勤めて、もう20年を超える。

50代の私を含めたベテラン勢は、現場の動きも先生たちの癖も、だいたい呑み込んだうえで日々を回している。

気になり始めたのは、3年ほど前から外来に入った中堅の男性医師の振る舞いだった。私たちベテランに何か頼むときの言葉が、いつも短い。

「これ早く片付けて」

「次の患者さん、すぐ呼んで」

顎で指す仕草も含めて、ほとんど命令口調だ。

返事をする間もなく次の指示が飛んでくる日もある。それくらいは現場ではよくある話、と最初は受け流していた。

違和感が芽生えたのは、新人の女性看護師が配属された春からだった。

詰所で同じ医師が、20代の彼女に話しかけるときだけ声色が変わる。

「お忙しいところ恐縮ですが、これ、お願いできますか」

同じ依頼を、同じ詰所で、まるで別人のように丁寧に伝える。

その隣で、私には「これ早く片付けて」だ。

並んだ瞬間の落差に、思わず手が止まった。

気づいてしまった視線と空気の正体

2年目の女性看護師にも同じ調子だった。カルテを覗き込むような距離の近さも、ベテラン勢にはない。

「髪、切った?似合ってるよ」

診察と診察の合間に、声のトーンを落としてそう言う。

本人は和やかな雑談のつもりらしい。けれど詰所に居合わせた私たちは、誰も顔を上げられなかった。

(怖いから、おばさん相手には強く出ているのか)

(それとも、若い子に好かれたいから、あんなに腰を低くしているのか)

ぐるぐる考えた結論は、どちらでもないかもしれない、というものだった。

私たちには態度の差を見せても文句が出ないと踏まれている。若い看護師には、相手の中で別の感情がはっきり動いている。

その温度差そのものが、ぞわっとする。

新人の彼女が、白衣の袖をそっと引いて私の後ろに立つ日が増えた。詰所に医師の足音が近づくたびに、彼女の表情がこわばる。

声をかけられない理由は、たぶん私たちと同じだ。

業務上の指示は変わらない。患者さんに不利益が出ているわけでもない。

でも、毎日のように同じ詰所でこの空気を吸い続けるのは、想像以上に疲れる。

休憩室で同年代の主任とお茶を飲みながら、つい愚痴がこぼれた。

主任も、似たような違和感を別の医師相手にずっと抱えていたという。

命令口調と猫なで声の往復のあいだで、ベテランも新人も等しくすり減っていく。

タメ口で扱われる日々より、その温度差を毎日見せつけられる方が、私はずっとぞっとした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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