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子どもを産めない自分は「女の幸せ」の道から外れたのか? 世間の「当たり前」に悩まされながらも前向きに生きる女性たちを描いたヒューマンドラマ【書評】

  • 2026.5.17

【漫画】本編を読む

女であることとは、女の幸せとは。『Untitled Flowers ~卵を産まないわたしたち~』(ISAKA/KADOKAWA)は、そんな正解のない問いを抱いて生きる子どもを産めない女性を中心に、偏見の目に悩むトランスジェンダー女性、そして幼くして親を亡くした少女の3人を描いた物語だ。

子どもを産めない体と診断された35歳の美和は、祖父母が遺した古い一軒家で、友人のトランスジェンダー女性・茜(本名:あきら)と一緒に暮らしている。女性として結婚や出産を当たり前と思っていた未来を失い、どこか立ち止まったままの日々を送っていた。そんななか、従姉妹・詩織の訃報をきっかけに、残された詩織の幼い娘・杏を引き取ることになる。

第2巻では、ふたりの暮らしに杏が加わって1カ月後が描かれる。美和は育児というものに四苦八苦しながらも、杏との距離は少しずつ縮まり、3人の暮らしはゆっくりとかたちを持ちはじめていく。

しかし杏と家族になるという選択は、美和と茜を社会の厳しい視線にさらすことにもなる。保育園などの公的な場所での茜の葛藤は特に印象的だ。「大切な人が傷つくのが嫌」という思いから長い髪を隠し、あえて男性の姿で外に出る姿には、茜の個性と世間の「当たり前」との間に大きな溝が見える。

そして美和の母親が突然訪ねてくるエピソードは2巻の大きな山場だ。「あの方とはどういう関係なの?」と茜との関係を問いただす言葉には、母親の思う「普通」とはかけ離れた生活をする娘への戸惑いが含まれている。名前の付けられないふたりの関係。「Untitled Flowers」という作品名を象徴する場面だろう。

たとえ人からどんな目で見られようとも、「自分らしく」生きることの大切さを肯定してくれる本作に、背中を押される人は多いはずだ。

文=ゆくり

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