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映画の中で「善人」に描かれるが「死亡率が高い職業」が明らかに

  • 2026.5.15
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

映画の世界には、やたらと危険な目に遭う職業があります。

警察官、兵士、スパイ、宇宙飛行士などを思い浮かべる人は多いでしょう。

しかし、意外にも映画の中で高い死亡率を示していたのは、岩石や火山、地層を調べる「地質学者」だったようです。

スウェーデン・ヨーテボリ大学(University of Gothenburg)の研究チームは、1919年から2023年までに公開されたアメリカ・イギリス映画のうち、地質学者が登場する長編映画141本を分析。

その結果、映画に登場する地質学者の85%は善良な人物として描かれている一方で、約3分の1が作中で死亡していることが明らかになったのです。

地質学者は映画の中で「いい人」なのに、こんなにも死にやすいのでしょうか。

研究の詳細は2026年4月8日付で学術誌『Geology Today』に掲載されています。

目次

  • 映画の地質学者は、かなりの確率で「善人」だった
  • 反対に死亡率が高く、約3分の1が作中で命を落とす

映画の地質学者は、かなりの確率で「善人」だった

この研究の始まりは、4人の研究者によるコーヒー休憩中の雑談でした。

「地質学者が登場する映画って、何本くらい思い出せるだろう?」

最初は軽い話題でしたが、研究者たちはすぐに10本ほどの作品を挙げることができました。

そこで彼らは、このテーマを本格的に調べることに。

映画データベースなどを用いて、地質学者が登場するアメリカ映画・イギリス映画を体系的に探しました。

対象になったのは、映画館で上映された長編映画です。

その結果、1919年から2023年までの141本のアメリカ・イギリス映画に、合計202人の地質学者が登場していることが分かりました。

興味深いのは、その人物像です。

映画に登場する地質学者のうち、172人、つまり85%は善人、あるいは少なくとも明確な悪人ではない人物として描かれていました。

これは、映画の中で「狂った科学者」や「世界征服を企む研究者」として描かれがちな物理学者や化学者とは、かなり異なるイメージです。

地質学者は、研究室にこもる人物というより、火山、洞窟、砂漠、地下空間、未知の島などに足を運び、現場で状況を読み解く専門家として登場します。

物語の中では、彼らの知識が災害の予測や謎の解明に役立ちます。

つまり地質学者は、映画にとって「危険な場所に自然に入り込める、説明役兼案内人」として非常に便利な存在なのです。

反対に死亡率が高く、約3分の1が作中で命を落とす

善人として描かれやすい一方で、映画の地質学者は非常に危険な運命をたどります。

研究によると、登場した地質学者202人のうち69人が作中で死亡していました。

割合にすると約34%です。

つまり、映画に登場する地質学者は、3人に1人ほどの確率で生き残れない計算になります。

死因として最も多いのは殺人でした。

次に、火山、クレーター、ラハールなどの地質現象による死、さらに宇宙人や地球外存在による死が続きます。

地質学者は、映画の中で「地球の危険な現場」に呼ばれがちな職業です。

そのため、噴火、地震、隕石、地下空間、謎の鉱物、未知の生命体など、物語を盛り上げる危険と接触しやすくなります。

調査対象となった映画には、たとえば『ダンテズ・ピーク』『ボルケーノ』『アルマゲドン』『オーシャンズ13』などが含まれます。

特に『ダンテズ・ピーク』は、1本の映画に7人もの地質学者が登場する作品であり、研究者たちのお気に入りでもあります。

また、地質学者が登場する映画は、ジャンルとしては冒険映画、ドラマ、アクション、SFに多く見られました。

いずれも、主人公たちが日常から離れ、危険な場所へ向かうジャンルです。

一方で、ミュージカルやアニメーション、ニュース映画、歴史映画では、地質学者の登場は少なめでした。

この研究では、映画における地質学者像の偏りも明らかになっています。

女性の地質学者は全体の11%にとどまり、非白人の地質学者はさらに少数でした。

近年は女性地質学者の割合が増えつつあるものの、映画の中の地質学者像は、まだ現実の多様性を十分に反映しているとは言えません。

それでも全体として見ると、地質学者は映画の中でかなり好意的に描かれています。

彼らは悪の科学者ではなく、危険を前にして知識を使い、人々を助けようとする存在です。

ただし、その善良さは必ずしも生存を保証してくれません。

映画の世界では、地質学者は「いい人」だからこそ危険な現場に向かい、そこで命を落とすことも多いのです。

今回の研究は、映画に登場する地質学者をまじめに数え、分類し、分析したユニークなものです。

その結果、地質学者は映画の中で善人として描かれやすい一方、死亡率がかなり高い職業として扱われていることが分かりました。

地層を読み、火山を見つめ、地下の異変を察知する地質学者は、物語を動かすにはうってつけの存在です。

しかし映画の中でその専門知識を発揮するには、しばしば命がけの現場に足を踏み入れなければならないようです。

参考文献

Geologists in films are good guys but often die
https://www.gu.se/en/news/geologists-in-films-are-good-guys-but-often-die

元論文

Geologists on the silver screen—the sequel
https://doi.org/10.1111/gto.70014

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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