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「恋愛だけでなく、いろいろな形で結ばれる家族の形があっていい」子どもを望まない女性を主人公にした理由【著者インタビュー】

  • 2026.5.9

【漫画】本編を読む

2匹の猫と暮らす40歳独身の安達珠子。ある日インフルエンザで倒れたことをきっかけに「自分にもしものことがあったら飼い猫たちはどうなるのか?」という不安に駆られ、婚活を決意する。しかし性欲がなく、子どもも欲しくない珠子を理解してくれる人はなかなか現れない。そんな中、保護猫施設のボランティアを一緒にしている男性・篠田雅が同じことを考えていることを知り、勢いでプロポーズしてしまう珠子。意外なことに雅からの返事はOK。猫好き同士の交際0日婚が始まるが……。

自身も猫を飼っているマンガ家・たけみゆき氏が友人から聞いた話を基に描いたという『ねこ婚 猫のための交際ゼロ日婚』(KADOKAWA)。猫マンガとしての魅力がたっぷりなのはもちろん、「猫のため」という利害から始まる恋愛抜きの結婚生活を描くことで、これまでの家族の形にしばられず、誰かと一緒に生きることの魅力を描いた作品だ。

たけさんにマンガのことから結婚生活を維持する秘訣、猫を飼う覚悟など、さまざまなお話を伺った。

――主人公の珠子は性欲がなく、子どもを望まない女性として描かれていました。この設定にした理由はありますか?

たけみゆきさん(以下、たけ):本作は猫がきっかけで男女が結婚するお話なので猫がテーマではありますが、家族愛もテーマになっている作品なんです。私はいわゆる男女の愛情で結ばれた二人から成り立つ家族だけではなく、いろいろな形で結ばれる家族の形があっていいと思っています。そのひとつとして、恋愛感情ではなく信頼関係で成り立つ家族愛もあるよねというところを伝えたくて、この設定になりました。性的マイノリティについて描くというよりは、猫と暮らすみたいに人間同士もお互いを尊重しながらひとつ屋根の下で暮らしていく。そんなニュアンスが伝わればいいなと思って描きました。

――確かに、最初はタイトルを読んで猫のお話かなと思っていたのですが、夫婦とは、一緒に暮らすとはという、人と共に暮らすことを考えさせられる物語でもありますよね。作中で珠子が夫となる雅に「アセクシャル…? でしたっけ?」と聞かれて「カテゴライズされると違和感が…」と返すシーンも印象的でした。

たけ:私の知人には、男性同士で暮らしているカップルも何組かいて、いわゆる「性的マイノリティ」と呼ばれる人は身の回りに普通にいるなという実感がありました。ただその名称って性的指向や自認によってさまざまなグラデーションがあるんですよね。自分のあり方に呼称がつくことで自分の心が整理できる側面もあると思うので名称自体をいらないとは思わないのですが、外から改めてカテゴライズするのはまた違うのかなと思うんです。あくまで私の考えなので、なかなか説明するのが難しいのですが……。

――お酒が好き、チョコレートが好きといった、個人の嗜好と変わらない話というか……。

たけ:まさにそうです。それくらいの感じでいいのになと思ったからこそ、明確にカテゴライズしていないと言いますか……。こうした考え方には、世代の違いもあるのかもしれませんね。今はさまざまなセクシュアリティを表す言葉がありますが、珠子は私と同じく「自分を呼称する明確な言葉がない時代」を生きてきたので。「性的指向という要素だけでカテゴライズすることに違和感を持つんじゃないかな?」くらいの気持ちから生まれたセリフでした。カテゴライズすることで縛られる場合もあると思います。でも、自分を表す言葉があることで安心する方もいらっしゃると思うんです。もちろん、どちらが正しい・間違いというのはないのではないかなとも思います。

取材・文=原智香

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