1. トップ
  2. 暮らし
  3. 災害時、ペットの避難どうする? 制度の現状と飼い主ができる備えとは

災害時、ペットの避難どうする? 制度の現状と飼い主ができる備えとは

  • 2026.5.8

災害のたびに避難所でのペット受け入れ拒否や、取り残されたペットの野生化などが問題になってきました。こうした状況を受け、環境省はペットとの避難行動に関するガイドラインを2026年5月に約8年ぶりに改定する予定です。飼い主がペットと一緒に避難所へ向かう「同行避難」のさらなる浸透を目指しています。そこで今回は、飼い主が知っておくべき同行避難の基本と、実際に犬や猫を飼っている人たちの防災対策をご紹介します。

ペットと一緒に過ごせるわけじゃない? そもそも「同行避難」とは

「もしもの時は、ペットと一緒に避難所へ」。そう考えている方は多く、あるアンケートでは、8割近くの人が「災害発生時、ペットと同行避難する」と回答しています。一方で、最寄りの指定避難所のペット受け入れ体制を把握している人は、約1割にとどまります。

では「同行避難」とは何を指すのでしょうか? 環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、次のように定義されています。

同行避難とは、ペットと共に移動を伴う避難行動を指し、避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない。

つまり、ペット同行避難が可能な避難所でも、ペットの居場所は飼い主のスペースとは別。同行避難者専用の部屋が用意されるケースもありますが、校庭や渡り廊下などの屋外や半屋外にケージを設置するなどの対応が取られることも少なくありません。

また、避難所でのペットの世話は飼い主の責任で行うのが原則です。ペットが原因となるトラブルが発生しないよう、まずは飼い主が責任を持ってペットを飼育・管理することが求められます。

しかし、混乱した状況下での管理は飼い主にとって大きな負担となることが想定されます。そのため埼玉県や長野県、東京都葛飾区・世田谷区・練馬区などでは、災害時に同行避難してきたペットの飼育・管理を手伝うボランティアを平時から募集しています。

<こちらの記事もよく読まれています!>→熊本地震10年 県民の1割が詰めかけた避難所では何が起きていたのか

<こちらの記事もよく読まれています!>→災害時に臨月だったら? 3.11に福島県で出産したママの実体験

飼い主がするべき備えとは?

では実際に、どのような準備をすればよいのでしょうか? 筆者も2024年まで15年間、猫を飼っていました。備えとして取り組んでいたのは、フードやペットシーツ、猫砂をローリングストックで切らさないようにすることと、リビングにペットキャリーを置いて日頃から慣れさせること。

十分な対策だったとは言えませんが、「かなり対策しているほう」と話すのは、ペット災害危機管理士の資格を持ち、ペット防災に関する記事も多数執筆している村田幸音さんです。

自身も14歳の柴犬と暮らす村田さんに、愛犬のためにどんな備えをしているのか聞いてみました。

ペットの日用品&フードはローリングストック

普段食べているフード、犬用エチケット袋(うんち袋)、ペットシーツなどは、やはりローリングストック。特に何日分と意識して購入しなくても、容量の大きいものを選べば十分な量を確保できます。

環境省の「一般飼い主向け 人とペットの災害対策ガイドライン」では、ペットフードと水は少なくとも5日分、できれば7日分以上の準備が推奨されています。

またドライフードだけでは水分が不足するので、ウェットフードやレトルトも用意しておくと安心です。村田さんは人間用の非常食に味付けなしの白がゆを入れているそう。飼い主とペットが一緒に食べられ、水分補給にもなる一石二鳥のアイデアです。

特に猫は災害時のストレスで食欲が落ちることも多いそうです。そのため、食欲がない時でも口にできるお気に入りのフードやおやつを見つけておくことが大切とのことでした。

オムツは日常的に使用していなくてもいざという時に使えるよう、普段からお出かけや旅先のホテル滞在時などに使って慣れさせているといいます。

ケージにもなるキャリーリュックを普段から使用

ペット用のキャリーバッグにはさまざまな種類がありますが、村田さんは広げるとケージになるキャリーバッグを用意しています。おすすめは両手が空くリュックタイプ。

特に猫の場合、避難先でキャリーからケージへ移動するときに脱走するケースが多いとか。キャリーとケージを兼ねたものなら、その心配がありません。

その他に避難バッグに入れているもの

・迷子チラシ

ペットの写真・特徴・飼い主の連絡先を印刷したチラシを用意しておきましょう。避難所での掲示にも使えます。スマホに写真があっても印刷環境がなければ役に立たないので、事前の準備が肝心です。

災害時に限らず首輪と迷子札(犬の場合は鑑札と予防注射済票も)、マイクロチップも装着しておくと、はぐれた時に飼い主のもとへ戻りやすくなります。

・予備のリード&ハーネス

避難時はリードやハーネスが汚れたり破損したりすることがあります。予備を1セット用意しておきましょう。普段使い慣れているものが理想ですが、かさばる場合は別のものでも構いません。時々使ってペットと飼い主の両方が慣れておくと安心です。

猫にもハーネスがあると脱走防止になります。こちらも普段から少しずつ慣らして使えるように練習しておきましょう。またストレスで痩せてしまう場合も多いので、ハーネスはサイズ調整ができるものを選ぶといいそうです。

そして避難バッグは持ち運びやすさを重視し、あえて人間用とペット用をまとめて1つのバッグに用意するのがポイントです。

避難経路を歩いてみる

「全飼い主さんにやってほしい!」と村田さんが強調していたのが、避難所までのルートをお散歩コースとして実際に歩いてみること。まず自治体のサイトなどで、自宅最寄りのペット受け入れ可の避難所を確認しましょう。そのうえで、複数のルートを想定しておくことも大切です。災害時は通行止めやがれきで、普段の道が使えないこともあるからです。

避難所が遠い場合は、一度に全行程を歩かなくても大丈夫。一度目は途中まで歩く、二度目はルート上にある公園まで車で出かけてからその先を歩くなど、無理なく楽しく行ける工夫をしてみましょう。

とにかく「知っている道」であることが大切だと村田さんは言います。歩き慣れた道ならいざという時ペットも飼い主も落ち着いて避難できますね。

ペットのことをいちばんよく知っているのは飼い主

ペットの性格や好み、体質などはさまざま。わが家のペットに何が必要で、どんな避難生活がベストかを考えられるのは、飼い主だけです。

在宅避難ができなかった場合、同じ避難所で過ごすのか、預け先を事前に決めておくのか、キャンプ用品を活用して屋外で飼い主も一緒に過ごすのか。できるだけ多くの選択肢を想定しておくと慌てずに済みます。

ペット防災に関する通信講座や資格取得を通じて、知識を深めておくのもひとつの方法です。

いざという時、大切なペットを守れるようにできることから始めてみましょう。

<こちらの記事もよく読まれています!>→災害時の「お金と法律」(第4回 大災害時の本人確認~運転免許証やマイナンバーカードがなくても大丈夫

<こちらの記事もよく読まれています!>→2026年夏から運用開始の「防災気象情報」とは? 津波フラッグも紹介

<取材協力>
村田幸音(むらたさちね)氏
フリーライター・イラストレーター
愛玩動物救命士、ペット災害危機管理士などの資格を活かし、ペット関連の記事を多数執筆。自身も14歳になる愛犬のために、自宅でできるさまざまな防災対策を行っている。
https://note.com/sachinemurata/n/n6695cc33d1fd

<執筆者プロフィル>
那須 あさみ
フリーランスライター。幼児、小学生、中学生の4児の母。さまざまな年齢の子どもと一緒に家庭で備えられる防災を模索中。

元記事で読む
の記事をもっとみる