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「誰とも繋がれていない、何も生み出せていない…」育児の孤独感から生まれる黒い闇【著者インタビュー】

  • 2026.5.1
 『いってらっしゃいのその後で』より
『いってらっしゃいのその後で』より

【漫画】本編を読む

「家族が好き。でも私を忘れずにいたい」

子どもを持ち、日々に追われるなかで、ふとそんな気持ちを抱いたことはないだろうか? 漫画家・ツルリンゴスターさんによるエッセイ漫画『いってらっしゃいのその後で』(KADOKAWA)の帯に添えられたこの言葉は、多くの共感を集めている。夫と3人の子どもたちとの暮らしを描きながら、“個”としての自分と向き合う姿や、子どもたちをそれぞれひとりの人間として尊重し、5人でよりよく生きていこうとする日々が丁寧に描かれている。

本作と続編である『いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編』(同)について、ツルリンゴスターさんにインタビュー。流れていく日々のなかで大切にしていることや、迷いながら向き合ってきた思いについて話を聞いた。

――『いってらっしゃいのその後で』の「育児の孤独感」というお話では、心の闇を具現化したものが現れます。

ツルリンゴスターさん(以下、ツルリンゴスター):だいぶ軽く描きましたが、あの孤独感は今でも思い出すと苦しいです。誰とも繋がれていない、毎日必死でやっているのに何も生み出せていないまま1日が終わる……あの感じが忘れられないですね。あれは私が社会の中で繋がりが消えてしまうところにいる人たちのことを勉強するきっかけにもなった実体験だし、多くの方に共感してもらえたお話でもあります。

――どんな時に闇は出現するんですか?

ツルリンゴスター:夫婦間の育児・家事の分担で、明らかに自分の方が大きいときです。それは自分のしていることが誰にも認識されず、無償だし忙しくて助けを求めることもできないという点で、社会で弱い立場にある人たちの辛さにつながる気持ちなんじゃないかと感じます。

――どうやって解決しますか?

ツルリンゴスター:私の場合はもう夫と3時間でも5時間でも話し合いをすることでしか、根本の解決には至らないです。ただ応急処置的に元気になる方法は自分の中でたくさん持っていて。ストレッチしたり、いいお香を焚いたり、サブスクで映画を観たり。一旦ほったらかしにして元気がなくなった自分になって、「今ならいけるかな」というときに応急処置をします。

――「繋がりが消えてしまうところにいる人たちのことを勉強するきっかけにもなった」とおっしゃっていましたが、どんなことを勉強しましたか?

ツルリンゴスター:それまで私は社会の中でマイノリティとされている人たちが置かれている状況についてちゃんと考えられていなくて。自分が苦しいのは自分のせい、私が選択を間違えたからだと思っていたんです。でもそうではなくて社会の構造の溝に落ちたんだ、ということがその時読んだフェミニズムの本に書いてあって。そこで自分の気持ちを言語化してもらって道が開けました。私の作品『君の心に火がついて』を描こうと思ったのもこの体験が入り口です。

取材・文=原智香

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