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「最近ライトが暗い気がして…」整備士の警告を先送りした数時間後→夜道で20代男性を襲った“予期せぬ事態”

  • 2026.5.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「最近、なんとなくライトが暗い気がする」。そんな小さな違和感を、“まだ走れるから大丈夫”と後回しにしていませんか?

実はその症状、バッテリーではなく“発電そのもの”が弱っているサインかもしれません。今回は、発電不良を先送りしたことで、夜間走行中にエンジン停止へ至ってしまった実例をもとに、「ライトが暗い」の裏に隠れた危険性について解説します。

今回の事例は、徐々に暗くなる症状が出やすい「ハロゲンランプ搭載車」のケースです。LEDヘッドライト車の場合は、電圧低下で少しずつ暗くなるよりも、充電警告灯(バッテリーマーク)が先に点灯したり、限界で突然消灯するケースが一般的です。

「最近ライトが暗い気がするんです」来店時に見つかった異常

ある日、20代男性のお客さまが、オイル交換のため国産ミニワゴン車で来店されました。

「最近、ライトが少し暗い気がするんですよね。気のせいかもしれないんですけど」

車両はハロゲンヘッドライト仕様。確かに点灯状態を見ると、以前よりわずかに光量が落ちている印象がありました。そこで電圧を測定してみると、結果は明らかでした。アイドリング時だけでなく、さらに回転数を上げた状態でも、発電電圧が基準値を下回っていたのです。原因はオルタネーターの発電能力低下でした。

オルタネーターは、エンジンの回転を利用して電気を作る部品です。走行中のヘッドライト、エアコン、ナビ、燃料ポンプ、点火装置など、多くの電装品はこの発電によって動いています。整備士として、すぐに状況を説明しました。

「発電がかなり弱っています。このままだと、バッテリーの電気を消費するだけの状態になります」

するとお客さまは少し驚いた様子で、

「でも、エンジンは普通にかかってますよ?」

と返されました。確かに、この段階ではまだ始動できていました。しかし、それは“残っているバッテリーの電気で動いているだけ”に過ぎません。

「今、部品を交換すれば、走行不能になる事態を防げます」

そうお伝えしましたが、お客さまは少し悩んだあと、

「もうすぐ車検なんで、その時まとめてお願いします」

と、修理を先送りする判断をされました。

発電しない車は“充電されないスマホ”と同じ

それから数時間後、そのお客さまから再び連絡が入りました。

「夜走ってたら、急にライトが暗くなって。そのままエンジン止まりました」

車両はレッカー搬送。確認すると、バッテリー電圧はほぼ空の状態でした。

原因は、やはり発電不良の進行です。オルタネーターの発電量がさらに低下し、走行中の電力をほとんどバッテリーだけでまかなう状態になっていました。ヘッドライト、エアコン、ナビ、ワイパーなど、夜間走行では消費電力が増えます。つまり、“使う一方”だったのです。

これは、充電器につながっていないスマートフォンを使い続けるようなものです。最初は普通に使えていても、やがて電池は尽きます。車も同じです。発電不足になると、最終的には燃料ポンプや点火装置を動かす電力すら維持できなくなり、エンジン停止に至ります。しかも今回は夜間でした。ライトが突然消灯し、視界が急激に悪化。そのまま走行不能になったことで、大きな事故につながっていても不思議ではありませんでした。

「車検までもつ」は危険な判断基準

今回のケースで怖いのは、「異変には気づいていた」という点です。

ライトが暗い。以前よりセルの回りが弱い。アイドリング時に電装品が不安定。充電警告灯が点灯していなくても、こうした症状は、発電異常の典型的なサインです。

特にハロゲンランプ車では、発電電圧の低下によってライトが徐々に暗くなることがあります。一方でLEDヘッドライト車では、電圧低下が起きても明るさ変化が出にくく、先に充電警告灯が点灯するケースも少なくありません。

つまり、「なんとなく使えているから大丈夫」という判断は危険なのです。また、発電不良を放置したまま走行すると、灯火類の機能低下によって保安基準を満たさず、道路交通法上の整備不良に該当する可能性もあります。もちろん、車検まで問題なくもつケースもあります。しかし、それは結果論でしかありません。現場では、「昨日までは普通だったのに、今日突然止まった」というケースを何度も見てきました。車は“完全に壊れてから修理する”より、“壊れる前に対処する”ほうが結果的に安く、安全です。

「ライトが少し暗いだけ」

その違和感こそが、車からの重要な警告だったのかもしれません。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り約8年間整備に従事し、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。 年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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