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「100万円」で憧れの軽スポーツカーを買った50代男性→半年で維持費は約30万円も…それでも“手放したくない”ワケ

  • 2026.5.25

 

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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

現代の便利な車に慣れ、運転の楽しさを忘れていた50代の男性・Aさんが、あえて選んだのは若い頃に憧れたスズキの軽スポーツカー「カプチーノ」でした。すでに、18万kmを走った古い軽スポーツカーは、維持に手間がかかります。しかし、その不便さの中にこそ、現代の車にはない深い味わいがあったとAさんは語ります。

本記事では、手のかかる小さな相棒と新たなカーライフを楽しむ彼の物語を通じて、車との深い付き合い方をご紹介します。

運転が作業になっていた日々から、憧れの車との再会

多くの車好きの方にとって、毎日の車での通勤時間は仕事とプライベートを切り替える大切な息抜きになっているのではないでしょうか。

今回お話を伺った50代の男性・Aさんにとっても、片道1時間・往復2時間におよぶ車での通勤時間は大切なものでした。

しかし、高速道路の単調な直線が続く道を毎日走っていると、次第にACC(アダプティブクルーズコントロール)などの便利な運転支援機能ばかりを使うようになっていったそうです。

アクセルを踏み、ハンドルを切るといった、車を自分で操作する感覚が薄れていき、いつしか運転そのものが単なる移動作業のように感じられていったと彼は振り返ります。

そのように運転への情熱が冷めかけていたある夏の日、彼はネットで自宅近くの中古車販売店にスズキのカプチーノが売られているのを見つけます。

カプチーノといえば、彼がまだ20歳にもなっていない頃に販売されていた、かつて憧れた車です。

購入時の走行距離は約18万kmで、車両本体価格は100万円でした。マニュアル車でパワーステアリングもなく、現代の車と比べると極めて不便です。それでも、その不便さの中にこそ、毎日の通勤で失われていた「車を自分で運転する楽しさ」を取り戻す鍵があるのではないかと、彼の心は大きく動かされたとのことです。

便利さより不便さを選ぶ、2シーターという潔い決断

昔から乗りたかった車に心が大きく動かされたとはいえ、購入にあたっては現実的な維持費も考慮する必要がありました。趣味として車を持つ以上、できるだけ費用を抑えたいという思いから、普通車ではなく軽自動車が候補に挙がります。

スバルのヴィヴィオRX-RやスズキのラパンSSなども魅力的だったそうですが、最終的な決め手となったのは、座席が2つしかないという割り切った仕様でした。人を乗せるためでも荷物を運ぶためでもなく、純粋に自分が運転を楽しむためだけに存在する小さな空間に、強く惹かれたとAさんは言います。

購入前の試乗ではエンジンやミッションの調子が良いことを確認できましたが、一方でエアコンがよく効かないことも判明していました。古い車である以上、直すためにはそれなりの費用がかかるかもしれないという不安が頭をよぎったそうです。

それでも、納車までの約1か月間は、不安よりも「早く近所の山道を走ってみたい」という期待で胸がいっぱいだったと彼は教えてくれました。自分でギアを選び、アクセルを踏み込む日を心待ちにする時間は、Aさんにとって何にも代えがたい喜びだったようです。

所有して気づいた現実と、古い車にかかる手間ひま

心待ちにしていた納車を無事に迎え、走る喜びに浸ったのもつかの間、古い趣味車を維持していく現実が少しずつ見えてきたとAさんは語ります。

最初に手がかかると感じたのは、修理や点検を気軽にお願いできる場所が限られていることでした。ディーラーであっても古い車ということで対応が難しい場合があり、整備を任せられる工場を探すところから始める必要があったそうです。

また、部品の調達にも一苦労です。専用部品の中にはすでに廃盤になっているものも多く、部品センターに在庫がなく、取り寄せるのに日数がかかることもありました。

こうした部品の悩みに対しては、インターネット上で同じ車を大切にするオーナーたちの情報が頼りになったとのことです。例えば、市販のドアモールをルーフ結合部分のゴムの代用にするといった、カプチーノオーナーの情報に助けられながら、なんとか維持を続けています。

日常の扱いにおいても、青空駐車のため、雨が降った後はルーフまわりの雨水を拭き取り、雨漏りがないか確認する手間が欠かせません。外出先の駐車場では、車体が小さいため周囲から見えにくくならないよう、他の車とフロントの位置をそろえたり、ドアパンチを避けるために背の高い車の横には停めないようにしたりと、常に細やかな気遣いをしているとAさんは教えてくれました。

維持費は約30万円、それでも手放したくない理由

これほど日常的な気遣いや手間がかかるうえに、費用の面でも現実的な負担が生じているそうです。

購入後半年で迎えた車検におよそ10万円かかったほか、後輪ハブベアリングの交換に約6万円、エアコンの修理に約2万円、ブレーキ点灯スイッチの交換に約1.5万円が必要でした。税金や保険も含めると、ここまでの維持費はおよそ30万円にのぼります。

それでも、実際に車を走らせているときには、そうした苦労を忘れてしまうほどの喜びがあるとAさんは笑顔を見せます。たまに街で別のカプチーノと偶然すれ違ったとき、お互いに自然と笑顔になる特別な感覚は、この車に乗っているからこそ味わえるものです。

狭い運転席に収まり、自分の手足で一つひとつの操作を行う一体感は、まるで車と対話しているかのような気持ちにさせてくれるといいます。便利さや快適さでは現代の車にかないませんが、運転している時間そのものを心から楽しめることが、手放せない一番の理由のようです。

機嫌を見ながら付き合う、大切な相棒とのこれから

カプチーノを購入してからの日々を通じて、車は買って終わりではなく、そこからどう付き合っていくかが大切であると気づかされたとAさんは語ります。

特に古い趣味車の場合は、購入価格だけでなく、修理費や部品の調達、そして日々の扱い方までを含めて覚悟を持つ必要があるようです。以前は気に入ったものを買えば楽しめると思っていたそうですが、現在では状態を気にかけ、無理をさせずに付き合っていくことが長く楽しむ秘訣だと考えるようになったとのことです。

現在、Aさんのカプチーノの走行距離は約21万kmに達していますが、まだまだ元気に走ってくれています。この車は単なる移動手段ではなく、ときには話しかけるように機嫌を見ながら付き合う、相棒のような存在へと変わっていきました。

これからもオイル交換などの基本的なメンテナンスを欠かさず、小さな異音にも早めに気づけるよう心がけていくそうです。大事にしすぎて乗らなくなってしまうことは避け、手間をかけることも楽しみの一部として受け入れながら、Aさんはこれからも小さな相棒とともに走り続けることでしょう。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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