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わずか1年で手放したのに…トヨタ車を2026年に再購入した男性→もらい事故で気づいた“本当の価値”

  • 2026.5.16
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

一度は期待外れだと感じた車に、なぜ再び惹かれたのでしょうか。そこには、予期せぬ出来事を通じて見えてきた、車に対する価値観の深い変化がありました。

車好きの男性が下した少し珍しい決断

皆さんは、車を買い替えるときにどのような基準で次の車を選びますか?

多くの場合、これまでとは違う新しい魅力を求めるのではないかと思います。今回お話を聞かせていただいたAさんは、まもなく50歳を迎える大の車好きです。これまで一度も車検を通したことがないほど短いサイクルで車を乗り継いできました。

そんなAさんが2024年に新車で購入したのが、トヨタのクラウンスポーツでした。しかし、その車は約1年という短い期間で手放されることになります。ここまでは車好きの方によくあるお話かもしれませんが、Aさんの選択が少し珍しいのは、2026年5月下旬に再びクラウンスポーツの70周年モデルが納車される予定であるという点です。短い期間で手放した車をもう一度迎え入れるまでに、一体どのような心境の変化があったのでしょうか。

試乗せずに注文を決めたほどの美しいフォルム

クラウンスポーツが発表される少し前、Aさんは2台続けて現行ハリアーを乗り継いでいました。そのようななかで、メディアを通じてクラウンスポーツの外観を目にし、その美しいデザインに強く惹きつけられたそうです。これまでの車にはない、特徴的なデイライトや、リア周りのくびれた流麗なラインなど、どの角度から見ても完璧だと感じたといいます。

ハリアーが納車されたばかりだったにもかかわらず、Aさんは長年付き合いのあるディーラーの担当者に、展示車が入ったらすぐに連絡が欲しいと伝えていました。そして半年後、ついに展示車が到着したという知らせを受けます。翌日の夜に実車を見に行ったAさんは、試乗できない状態であったにもかかわらず、その場でハリアーとの入れ替えを前提に注文を決めてしまいました。それほどまでに、クラウンスポーツの外観はAさんの心を強く掴んでいたようです。

名前に込められた期待と、納車後に感じたギャップ

Aさんがこれほどまでに惹かれた理由は、外観だけではありませんでした。Aさんの世代にとって、クラウンという名前は子どもの頃からの憧れを象徴する特別な響きを持っています。加えて、Aさんのお父様もかつてクラウンなどを何台も乗り継いでおり、高級車としての圧倒的な存在感を幼い頃から肌で感じていました。

さらに、今回はその名前にスポーツという言葉が添えられています。そのため、Aさんはクラウンらしい上質な乗り心地と、スポーツカーのような鋭い加速感の両方を自然と期待してしまっていたようです。

しかし、2024年7月に実際に納車されて走り始めると、その期待は少し違った形となって表れます。低速域では確かな上質さを感じるものの、ある程度速度が上がってからアクセルを踏み込んだときの加速感は、直前まで乗っていたハリアーと大きく変わらないように感じられました。内装についても、期待していたほどの圧倒的な特別感を得ることは難しかったといいます。外観が最高であっただけに、車名から無意識に膨らませていた高すぎる期待値との間に、少しだけ拍子抜けするようなギャップが生まれてしまったのかもしれません。

日常を支える便利な車と、走りの楽しさを教えてくれた車

外観には大満足していたものの、日々の生活の中である車の存在感が少しずつ大きくなっていきます。それは、クラウンスポーツとほぼ同時期に、大型犬や家族を乗せるために購入していたシエンタでした。Aさんにとって初めての小型車であり、スライドドア車でもありましたが、日常使いにおける利便性の高さは想像以上だったようです。

とくに冬場になると、その利便性はコスト面でも明確になりました。Aさんの住む地域ではスタッドレスタイヤが必須ですが、クラウンスポーツの大きなタイヤに比べて、シエンタの小さなタイヤのほうが維持費用を大きく抑えられます。そのため、冬はシエンタばかりに乗るようになり、クラウンスポーツの出番はさらに減っていきました。

そのような生活が続く中、以前から興味を持っていた輸入車のディーラーへ足を運ぶ機会がありました。そこで試乗した車は、軽量な車体とターボエンジンの組み合わせによるゴーカートのような走りが非常に楽しいものでした。Aさんがクラウンスポーツに求めていた分かりやすい走りの楽しさがそこにあったため、良い条件で買い取ってもらえることになったクラウンスポーツを手放し、その輸入車へと乗り換える決断をします。実用的なシエンタと、走りが楽しい車という2台体制で、順調なカーライフが続くと思われました。

予期せぬ出来事が教えてくれた、車に求める本当の価値

そのまま楽しい日々が続くはずでしたが、2025年末に予期せぬ出来事が起こります。近所をシエンタで走っていた際、もらい事故に遭ってしまったのです。相手方の過失が大きい事故であり、幸いにも大事には至りませんでしたが、Aさんにとっては人生で初めての経験でした。

すぐに同じ車を新車で注文しようとしましたが、当時は受注が停止されており、手配できたとしても納期は半年以上先になる状況でした。手元に残った走りの楽しい車だけでは、大型犬はもちろん、人を乗せることにも不便が生じます。この予期せぬトラブルをきっかけに、Aさんは改めて自分たちの生活を支える車について深く考え直すことになりました。

シエンタは非常に便利で使い勝手の良い車でした。しかし、事故を経験したことで、車の大きさや耐久性に対する不安が少しだけ頭をよぎるようになったそうです。また、万が一の際の安全性をより意識するようになり、車格からくる守られている感覚の大切さに気がつきました。

かつてハリアーやクラウンスポーツに乗っていたときには意識しなかった安心感を求めている自分に気づいたことは、Aさんの車選びに対する価値観を大きく変えるきっかけになったようです。便利さや運転の楽しさだけでなく、車そのものの存在感や安心感もまた、車が持つ大切な価値であると気づかされたのです。

なぜ再びクラウンスポーツを選んだのか

生活の足としてのメインカーを再び探すことになったAさんは、実用性を重視してクラウンエステートも候補に入れました。しかし、最終的に選んだのは、一度手放したはずのクラウンスポーツでした。

その決定的な理由は、やはり国産車のなかでも群を抜いて美しいと感じる外観の魅力でした。一度目の所有時には、走りの刺激や内装の特別感に物足りなさを覚えました。しかし、実用性に特化した車や、走りの楽しさに全振りした車を経験し、さらに事故をきっかけに安全性への意識が高まった後で、久しぶりに試乗してみると、以前とはまったく違う景色が見えてきたそうです。

久しぶりにハンドルを握ったクラウンスポーツは、刺激的な加速や圧倒的な小回りがあるわけではありません。ですが、そこには車格からくる落ち着きと、ゆったりと乗れる快適性、そして何より守られているという深い安心感がありました。Aさんはこのとき初めて、クラウンスポーツはスポーツカーのように飛ばすための車ではなく、街中を余裕をもって流すときに最も魅力が輝く車なのだと深く理解できたようです。

街を流す喜びに気づかせてくれた一台

2026年5月下旬、Aさんのもとに2台目となるクラウンスポーツがやってきます。不思議なことに、1回目に購入したときよりも、今回の納車を待つ今のほうが気持ちが高ぶっているそうです。その理由はきっと、名前に縛られた過度な期待ではなく、この車が持つ本当の性格と魅力を心から理解したうえで選んでいるからでしょう。

Aさんにとってクラウンスポーツは、スポーツカーのような強い刺激を与えてくれる存在ではありませんでした。けれど、街をゆったりと流すとき、乗るたびにその美しい外観で気分を高めてくれ、同時に大きな安心感で包み込んでくれる大切な一台だったのです。一度手放して他の車を経験し、予期せぬ出来事を乗り越えたからこそ、Aさんはその真の価値にたどり着くことができたのかもしれません。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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