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電子ビームが生む宇宙建設の革新! システム計画研究所「月面インフラ構築に資する要素技術」

  • 2026.4.27

記事ポイント

  • 月面の砂状土壌「レゴリス」を電子ビームで溶融・凝固させ、着陸パッドや走行路を月上で直接建設する技術開発が始動
  • ISP(株式会社システム計画研究所)が月面ロボット運用に特化したメッシュネットワーク通信技術「I-SoUMeN」を担当
  • 東北大学・吉田和哉 特任教授を代表者とする産学連携5社チームが2026年3月30日に交付決定

地球から月へ資材を輸送するコストは現在の技術では極めて高く、月面拠点の実現を阻む大きな課題となっています。

この課題に対応するため、月面に広く存在するレゴリスを現地で構造材料に変える新技術の確立を目指すプロジェクトが、2026年3月30日に国の交付決定を受けて始動しました。

 

システム計画研究所「月面インフラ構築に資する要素技術」

本プロジェクトで開発する月面移動作業ロボットの計画図。月面上で施工作業を行う多機能型ロボットのデザインイメージ

 

  • 事業名:宇宙戦略基金事業・探査等(第二期)技術開発テーマ「月面インフラ構築に資する要素技術」
  • 課題名:電子ビームレゴリス凝固技術及び月面移動作業ロボットシステムの開発
  • 交付決定日:2026年3月30日
  • 代表機関:国立大学法人東北大学(研究代表者:吉田和哉 特任教授)
  • ISP担当:月面ロボット運用を支える通信技術(Mesh Network「I-SoUMeN」活用)
  • 連携機関:株式会社システム計画研究所、株式会社 Space Quarters、白山工業株式会社、株式会社JAOPS、アステリアART 合同会社

月面の表層に広く堆積するレゴリスを電子ビームで溶融・凝固させ、着陸パッドや走行路などの構造物を月上で直接形成する——そのような月面インフラ建設技術の確立を目指すプロジェクトが始動しました。

宇宙・通信・AIを中心にソフトウェア開発を手がける東京都渋谷区のシステム計画研究所(以下ISP)が、国立大学法人東北大学を代表機関とする産学連携5社チームの連携機関として参画します。

プロジェクトを率いるのは、民間月探査コンテスト「Google Lunar XPRIZE(グーグル・ルナ・エックスプライズ)」で日本唯一の参加チーム「HAKUTO」を技術面で牽引した東北大学 吉田和哉 特任教授です。

文部科学省が推進するムーンショット型研究開発プロジェクト目標3ではプロジェクトマネージャーを務め、2025年夏の大阪・関西万博では自律型月面ロボット「MoonBot(ムーンボット)」の動態展示も実現させます。

ISPが担うのは、月面という通信環境が極めて厳しい条件下でロボットを安全かつ効率的に動かすための通信技術です。

通信遅延・帯域制約・途絶リスクという月面特有の条件を考慮し、自社のメッシュネットワーク「I-SoUMeN」を活用しながら、ロボット制御を含むシステム全体の設計・検証を担います。

 

電子ビームレゴリス凝固技術と月面移動作業ロボットの開発

 

月面の地表を覆うレゴリスは、岩石が長年にわたり宇宙線や微小隕石の衝突で砕かれた灰色の細粒素材で、月全体に豊富に分布しています。

本プロジェクトでは、この素材に電子ビームを照射して高温で溶融・凝固させることで、地球から建材を持ち込まずに着陸パッドや探査車の走行路を月上で直接形成できる技術の実証を目指します。

施工を担う多機能な月面移動作業ロボットの開発も並行して進められ、実際の月面環境に近い条件での施工技術の実証に取り組みます。

 

ISPが担う通信技術「I-SoUMeN」の役割

 

月と地球の距離は最大で約38万キロメートルに及び、通信の往復遅延が最大約2.6秒に達するため、地上からのリアルタイム遠隔操作には高い制約が伴います。

ISPは自社のメッシュネットワーク「I-SoUMeN」を活用し、通信が途絶した際にも施工作業を継続できる冗長性の高い通信構成と、ロボット制御を含むシステム全体を見通した設計・検証に取り組みます。

将来的には、宇宙戦略基金事業・探査等(第二期)の別テーマで採択されたispaceの高精度着陸機への搭載も視野に入れた月面実証モデルの開発が進められます。

 

産学連携による実施体制

 

本プロジェクトは東北大学を代表機関とし、ISPのほか Space Quarters、白山工業、JAOPS、アステリアART が連携機関として参画する体制で実施されます。

ロボット機構、材料、施工技術の各領域を他機関が担いながら、ISPが通信・システム技術の側からシステム全体の実現性向上に貢献します。

月面への資材輸送コストという根本課題に、現地のレゴリスを建材に変える発想で挑む本プロジェクトは、将来の月面拠点建設技術の基盤となる取り組みです。

電子ビーム施工技術と高度な通信技術が連携することで、人類が月面に本格的な拠点を構える技術体系の確立が着実に進んでいます。

システム計画研究所の宇宙戦略基金事業・第二期参画の紹介でした。

 

よくある質問

 

Q. 研究代表者・吉田和哉 特任教授が牽引した「Google Lunar XPRIZE」とはどのようなコンテストですか

 

A. 米国Xプライズ財団がGoogle社を冠スポンサーとして2007年から2018年にかけて実施した、民間による世界初の月面無人探査を競う国際コンテストです。

世界各国から34チームが参加登録し、日本からはHAKUTOが唯一のチームとして参加し、2015年1月に月面移動サブシステム中間賞を受賞しました。

 

Q. 本プロジェクトと連携が視野に入れられている高精度着陸技術テーマの採択はいつ公表されましたか

 

A. 宇宙戦略基金事業・探査等(第二期)の技術開発テーマ「月極域における高精度着陸技術」においてispaceの提案が採択されたことは、2026年1月16日に公表されました。

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