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綾瀬はるか&妻夫木聡、初対面から20年超 夫婦役での共演で改めて気づいたお互いの魅力

  • 2026.4.17
(左から)綾瀬はるか、妻夫木聡 クランクイン! 写真:高野広美 width=
(左から)綾瀬はるか、妻夫木聡 クランクイン! 写真:高野広美

奇跡のような実話を映画化した『人はなぜラブレターを書くのか』で、夫婦役として共演を果たした綾瀬はるかと妻夫木聡。“生きること”に真摯に向き合い、まぶしいほどの希望の物語をスクリーンに刻んだ。綾瀬が17歳の頃から共演を重ねてきたという2人だが、長い時間を知るからこそ、妻夫木は「いい意味で、まったく変わっていない」と綾瀬に穏やかな笑顔を傾ける。40代に突入した彼らが語った初対面の思い出や、今の仕事の向き合い方、お互いへの感謝――。息の合ったやりとりから、本作でさらに更新された信頼が伝わってきた。

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◆脚本を読んで涙、完成作を観て涙… 本作に心を揺さぶられた理由

2000年3月8日に発生した地下鉄脱線事故により亡くなった、当時高校生だった富久信介さん。時を経た2020年、信介さんと同じ時間、同じ車両で通学し、彼に密かな想いを寄せていたという女性から1通のラブレターが信介さんのご家族の元に届いたという実話に惹かれ、石井裕也監督がメガホンを取って映画化した本作。想いを寄せた相手に24年の時を経てラブレターを書く主人公のナズナ役を、綾瀬。不器用ながらもナズナを気に掛ける夫、良一役を妻夫木が演じた。

――石井監督は、富久信介さん、そして信介さんの父親の気持ち、どちらも身近に感じられるものであり、「自分の人生とつながっていく感覚さえあった」とコメントされています。お二人が自分の人生と身近に感じたことや、脚本に込められた想いに共鳴したことがあれば教えてください。

綾瀬:脚本を読んで、登場人物のみんなが“誰かのことを想っている”という、人を想う気持ちの美しさに感動して、涙が止まらなくて。完成作を観た時も、ものすごく泣いてしまいました。誰かが誰かを想い、その気持ちを受け取った人がいて、そしてまたその想いを受け継ぎながら夢や希望を叶えていく人がいる。悲しいけれど、温かい気持ちになれるような作品だと感じています。

妻夫木:僕は子どもがいる身なので、富久さんのお父さんの気持ちにもグッとくるものがありました。もちろん死というのは何かが失われることだけれど、人の想いは決して消えない。信介さんの存在によって、生かされている人もいる。悲しみの先に希望を見出せるように、信介さんが僕らを導いてくれるような気がしました。

――綾瀬さんは、本作で石井監督と初タッグが実現しました。役について、石井監督とお話して印象的だったことはありますか?

綾瀬:ナズナはふわっとしていて、どこかつかみどころのない人なんですね。娘の舞を車で送り届けた時に、ナズナは「着きましたよーん」と言うんですが、この「よーん」という部分をどうやって口にするかという時に、石井監督から「綾瀬さんは、こういう感じは得意なんじゃないか」と言われました(笑)。

――「おかしなこってすよ(おかしなことですよ)」という一言など、ナズナはコミカルでかわいらしい言い回しをする女性です。

綾瀬:そうなんです。そういったセリフをいかに自然に言えるかというお話をしている時に、石井監督が「綾瀬さんは、こういう感じは得意なんじゃないか」と(笑)。そして「神々しくあってほしい」というお話もありました。ナズナには常に「信介さんの分も」という気持ちがあり、「ありがたい」と思いながら日々を懸命に過ごしている女性。生きていることは決して当たり前ではないという達観した佇まいや、みんなへの大きな愛を持っているカッコいい女性だなと思いました。

――妻夫木さんは、石井監督とのタッグを重ねています。本作の完成報告会では、石井監督が「最も信頼できる俳優」だと妻夫木さんについて語っていました。

妻夫木:石井監督は喜怒哀楽をはっきりと言葉で表現できるような演出をする方ではなく、役や作品を通して「人間が生きているって、こういうことだよね」というところまでを表現してくれる監督です。そんな石井監督から頼っていただけることは、とてもうれしいことです。初めてご一緒してから10年以上の月日が経ちましたが、会うたびに石井監督を通して自分自身を知ることもあれば、石井監督に新しい自分を見せたいという想いも湧いてくる。石井監督がいい鏡となり、自分を見ているようなところもあります。

◆初対面の思い出を告白!


――綾瀬さんと妻夫木さんは、『ザ・マジックアワー』以来18年ぶりの共演にして、夫婦役を演じられました。お二人の初対面はいつだったのでしょうか。

綾瀬:『ザ・マジックアワー』以来なんだ! あの作品には、今回、信介さんのお父様を演じている佐藤浩市さんも出られていました。私たちの初対面は、オムニバス映画『Jam Films』の中の一編『JUSTICE』(2002年公開)だったと思います。

妻夫木:そうだよね。あの頃の綾瀬は、まだ10代だったよね。

綾瀬:17歳だったと思います。

妻夫木:デビューしてすぐくらいのことだよね。『ブラックジャックによろしく』など、僕が20代、綾瀬が10代から20代前半の頃は結構共演が多かったんです。彼女はいい意味で、初めて会った頃とまったく変わっていません。当時から、誰に対しても変わらずに接する誠実な人です。人伝に聞いた話だと、高倉健さんに対してもまったく変わらなかったらしくて(笑)。そういった一面も、ナズナ役にはこの人しかいないだろうと思わされるところです。

――夫婦役として対峙して、綾瀬さんの魅力を改めて感じたのはどのようなところでしょうか。

妻夫木:綾瀬はもともと幸せなオーラを持っている方で、見ているだけで誰もが温かな気持ちになれるような人。ナズナは自分の想いをなかなか言葉にできない人でありつつ、心の中にたくさんの葛藤を抱えている女性です。綾瀬の持っているオーラがあるからこそ、ナズナの繊細な感情表現をきちんと作品に映し出すことができたんだと思います。

――今日のインタビュー部屋でも、綾瀬さんがいらっしゃるとパッと明るい雰囲気になったように思います。

妻夫木:よく「天然」という言葉で片付けられることがありますが、それとはまた違うような気がするんですよね。「天真爛漫」という言葉が似合うかもしれません。

綾瀬:うふふ。すばらしいコメントですね。

妻夫木:やっぱり「天然」にしておきましょうか!(笑)

綾瀬:私は初めて妻夫木さんにお会いした時に、ものすごくさわやかな笑顔をお持ちの方だなと思いました。それから共演を重ねる中で、チャーミングでかわいらしいお顔立ちをしているのに、中身がすごく熱い方なんだなと気づいて。見た目と中身のギャップがある、九州男児!という感じがします。私は“情けない役”というのがとても好きなんですが、妻夫木さんはそういった役を嫌味なく演じられる方でいつもすごいなと思っています。今回の良一は、ちょっと生真面目なところもあって。でもナズナと良一がきちんと向き合うようになってからは、かわいらしい一面も見えてきます。

――良一がナズナを抱きしめるシーンには、深い愛があふれていました。

妻夫木:台本には、「不器用に抱きしめる」ということしか書いてありませんでした。現場に行ってみるとなかなか狭く、抱きつきづらい場所で…(苦笑)。話の流れに沿って撮影が行われたこともあり、気持ちを乗せて思い切り演じることができました。

綾瀬:ナズナが、それまで秘めていた想いを吐露する大事な場面です。前日からリハーサルを行い、石井監督と「ナズナの心のひだをどこまで出すのか」と話し合いをしていました。テイクを重ねていく中で、泣きすぎて、鼻も詰まるし、自分でもよくわからないくらいエネルギーを使っていたのですが、最後に良一がガッと抱きしめてくれることで「頑張ったな!」と声をかけられているような気がして。自分とナズナの想いがリンクしたようで、すごくうれしくなりました。

◆役者として、人として――語り合った「40代の過ごし方」


――ナズナと良一の娘、舞を演じた西川愛莉さんのお芝居や輝くような存在感も、この映画は希望を描いた作品だと感じさせてくれます。現場で西川さんの奮闘を目にされて、10代のご自身を思い出したことや、刺激を受けたことはありますか?

妻夫木:西川さんのお芝居が、僕が一番「やりたい」と思っているお芝居なんだと思います。知識を得ていく中ではテクニックも生まれていくものですが、そうすると「カメラのアングルがこうだから、こう見せよう」など余計な欲が出てきたりもします。西川さんにはまったくそういったものがなく、純粋な想いから生まれたお芝居を見せてくれました。子どもを持つ身として思ったことでもあるんですが、理屈では親が子どもを育てるものですが、実際は子どもが親にしてくれるんだなと感じるんです。今回は西川さんが演じる舞を通して、僕自身も良一にしてもらったような気もしています。

綾瀬:西川さんのお芝居が、本当に素晴らしいんですよね。舞の視点を感じられることで、この映画がさらに美しいものになっていると思います。西川さんは、石井監督からの言葉もしっかりと受け止めたり、ドシっとしている感じがあって。私は今でもそんなにドシっとできないので…(苦笑)。

――綾瀬さんが10代の頃は、お芝居に対してどのように向き合っていましたか?

綾瀬:今よりも、10代の頃の方が緊張しなかったような気がします。ある先輩に「泣くシーンの前って、緊張するんですよね」と話したところ、「大人になっちゃったんだね」と言われたことがあって。大人になると「できるかな」「ここまで表現したいな」という欲が出てくるからこそ、緊張してしまう部分もあるのかなと思います。

――40代、俳優というお仕事にどのように臨んでいきたいと感じていますか。

妻夫木:10代、20代は無知であり、無敵。だから緊張せずに、なんでもできるんですよね。大人になるにつれて「うまくなりたい」「強くなりたい」と思うと同時に怖さも知っていくので、それに立ち向かうためには自信をつけるしかないけれど、その自信が過信に変わってしまう恐れもある。そんな中、今は弱い自分も認められるほうがいいのかなと思っていて。思えば完璧な人間なんていないし、弱い自分を認め、それが滲み出ることで表現の幅も膨らんでいくような気がしています。石井監督作品のように一層、深い心情、深い表現と向き合っていきたいです。

綾瀬:演技に対しては固定概念を持たずに、いろいろなことに対して新鮮に臨めるよう、どんどん削ぎ落としていくことが大事だなと感じています。またこれからは、もっと人を幸せにできるように成長していきたいなと思っていて。お仕事でもそれ以外でも、アドバイスを求められることも増えました。そういった時に、その人の背中をそっと押してあげられるような人になりたいなと感じています。

――まさに本作は、誰かのくれた強さや優しさが、未来へと繋がっていく物語です。そういった作品で夫婦役として共演を果たし、お互いに宛てたラブレターを書くとしたらどのような言葉を綴りたいですか?

綾瀬:妻夫木さんと一緒だったからこそナズナを演じられて、一緒だったからこそできたシーンばかりです。最初はぶつかるところの多いナズナと良一ですが、本当にいい家族で、いい夫婦だなと思いました。妻夫木さんには「ありがとう」という感謝の言葉を伝えたいです。

妻夫木:僕も「ありがとう」という言葉に尽きます。綾瀬さんの演じるナズナがいたからこそ、いろいろな感情を引き出されました。「ありがとう」、そしてずっと思っているのは「そのままでいてください」ということ。その2つの言葉を送りたいです。

(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

映画『人はなぜラブレターを書くのか』は、4月17日公開。

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