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汝、経理を敵に回すことなかれ!? 類まれな記憶力と不正な領収書を武器に、ブラック企業で横行する悪行を裁く!【書評】

  • 2026.4.15

【漫画】本編を読む

『その領収書じゃ、バレますよ ゴミ社員の成敗も、経理の仕事です』(nev:漫画、なつ:原案/KADOKAWA)は、経理という“裏方”の視点から会社の理不尽や不正を鋭く暴く職場ドラマだ。

県内随一の楽器店に中途採用された主人公・岡野彩音は、ショールームの華やかさとは裏腹に、セクハラやパワハラが常態化するブラックな職場に直面するところから物語は始まる。職場で新人いじめや理不尽な要求に悩む彩音を助けるのが、経理部の柳瀬律だ。猫背でぼそぼそと話す地味な男だが、彼は一度見た数字を瞬時に記憶する「カメラアイ」という特殊能力の持ち主。そして経理のプロとして、社員の不正や曖昧な書類を次々と見抜いていく。領収書ひとつに潜む違和感も見逃さず、理不尽やごまかしを暴く姿はとても痛快だ。

本作が新鮮に感じるのは、社内の矛盾と戦う人間ドラマを「経理」という業務の目線から描いているところだ。新人いじめ、横暴な上司の契約の横取り、社内不倫、挙げ句の果てに経費の不正使用といった、現実の社会でも起こりうる職場トラブルを、彩音はただ被害者でいるのではなく、柳瀬や仲間たちと協力して立ち向かっていく。経理という数字の裏付けを通して、鮮やかに不正を暴く過程も心地良い。

また、経理という職種が持つ意味も本作の重要なテーマだ。領収書や申請書類は、組織の透明性と健全性を守る鍵でもあることも伝えてくる。柳瀬の視点はミスや粗を探すのではなく「曖昧さに潜む問題」を鋭く抉り出す武器であり、彼の能力と空気を読まない正論は、会社の体質改善につながっていく。

「経理といえば数字だから……」と苦手意識があっても全く問題ない。キャラクターのテンポの良い掛け合いや展開が爽快で、それだけでも十分に楽しめる。職場で理不尽な場面に遭遇し疲れたビジネスパーソンや、会社の不正にモヤモヤした経験がある人にとって、「不正を暴く痛快さ」を疑似体験できる作品だ。

文=甲斐ハヤト

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