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たった“2話”で心をつかむ構成力「脚本が天才すぎる」「20代とは思えない」NHK夜ドラで脚光を浴びる“若手脚本家”

  • 2026.7.3
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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第5週目(C)NHK

2026年6月1日よりNHK総合「夜ドラ」枠で放送中の『ミッドナイトタクシー』は、東京の深夜の街を舞台にしたヒューマンストーリーである。タクシードライバー・象子(古川琴音)が乗客たちとの対話を通じて、人々の心の奥にしまい込まれた本音や記憶を浮かび上がらせていく。第19〜20話では、路上で倒れていた初老の女性・ちひろ(筒井真理子)との出会いをきっかけに、過去の記憶と未完の感情がゆっくりと解き明かされていくエピソードが描かれた。

※【ご注意ください】本記事はネタバレを含みます。

深夜の東京で出会う“迷い”の女性

夜の街を走っていた象子は、路肩に行き倒れていた女性・ちひろを見つけタクシーに乗せる。どこか混乱した様子のちひろは、象子のことを「ミチ」と呼び、高校時代の同級生と勘違いをしていた。

彼女が握りしめていた1枚の地図を頼りに目的地へ向かう車内で、ちひろは高校時代の記憶を少しずつ語り始める。喫茶店で働くようになった理由。そして、クリームソーダを見るたびに思い出す「ミチ」という存在。そこには、友情という言葉では表せない、長い時間を経ても消えずに残り続けた感情の余韻が、静かに漂っていた。

すれ違った青春と、言葉にできなかった感情

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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第5週目(C)NHK

目的地に到着すると、そこには結婚式を思わせる光景が広がっていた。思い描いていた場所とは異なる現実に、ちひろは静かに立ち尽くす。「私、結婚するの。明日。だから最後にミチさんに会いに来たのに」と告げるちひろの言葉とともに、彼女の抑えていた想いがあふれ出す。

やがて息子である紀之(武田航平)が現れ、ちひろが“現在の時間”から一時的に離れている状態にあることが明かされた。彼女は23歳のときに結婚し、いまはその当時の自分に戻っているというのだ。母にとって「ミチ」という存在がどのような意味を持つのか、息子である自分にも分からず、あるいはあえて知ろうとしていないだけなのかもしれないと語る。象子と二人きりになったちひろは、ミチと過ごした日々を静かに振り返りながら、「好き」という言葉では言い尽くせない関係の尊さを語る。

学生時代に戻ったちひろの様子を、単なる記憶の混乱としてではなく、過去の大切な瞬間へと心が強く引き寄せられている姿として描いたのが印象的だ。名前を持たない感情であっても、自分の人生の節目にどうしても会いたいと思える人がいる。その記憶は時間が経っても心の中に残り続け、消えることはない。言葉にできない静かな余韻が、この回の核心となっている。

圧巻の演技と脚本が残した余韻

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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第5週目(C)NHK

ちひろを演じた筒井真理子の演技は、まさに圧巻という言葉がふさわしいものだった。一瞬で視聴者を物語の世界へ引き込み、現実と記憶の境界が曖昧になっていく感覚を見事に表現している。また、ちひろの状態は作中で明確に説明されることはなく、その背景も詳細には語られていない。ただ、そこにあったのは“ミチと過ごしたあの時代”へ心が戻っているような、切実で純粋な感情だった。今後、彼女がどう生きていくのか。そして、ミチと別れてからどんな人生を歩んできたのかも分からない。それでも、わずか2話の中で、その人物にとってミチがどれほど大きな存在だったのかは十分に伝わってくる。視聴者からも、「引き込まれる演技でした」「実際に学生に見えた」といった驚きと称賛の声が多く寄せられた。

また脚本への評価も高く、基本的には2話完結という短い構成の中で、毎回異なる人生の断片を丁寧に描き出す点が印象的だ。執筆を手がける兵頭るりは、現在29歳。その若さからは想像できないほど成熟した人間描写が、多くの視聴者を驚かせている。今回のエピソードは特に反響が大きく、「脚本が天才すぎる」「20代とは思えない」といったSNSの声も目立った。

短い物語の中に濃密な感情を凝縮し、登場人物の人生を想像させる余白を残す構成。その余韻こそが、この回が強く支持された理由なのかもしれない。


NHK 夜ドラ『ミッドナイトタクシー』毎週(月)〜(木)夜10:45~11:00
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri

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