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悪いのは自分…そう思い込みモラハラクズ彼氏との別れを決断できずに苦しむ女性が、自分の人生を取り戻すまでを描いた物語【書評】

  • 2026.4.6

【漫画】本編を読む

「彼が怒るのは、自分のため」――そんな思いが心に染みついてしまっていたら、相手のモラハラを疑ってみてもいいかもしれない。『モラハラ彼氏と別れたい 悪いのは私なの?』(チリツモル/KADOKAWA)は、モラハラ彼氏と向き合い続けた女性の内面を、ありのままに綴ったコミックエッセイだ。

物語の語り手である主人公・チリは、付き合っているマサキとの関係に疑問を抱きながらも、なかなか踏ん切りがつかない日々を送っていた。知り合ったころは、まめに連絡をくれて優しかったマサキだったのだが、付き合ってからは態度が冷たくなり発言も上から目線になる。そして都合のいいときだけ優しくしてくる典型的なモラハラ気質の彼にチリはモヤモヤしながらも、「彼氏がいて幸せなんだ」と言い聞かせるが……。

本作の特徴はモラハラ被害者の心の内側がリアルに描かれているところだ。マサキから受けるモラハラの描写の多くは「これは絶対に許せない」というラインを越えてしまっているが、その一方でチリがなかなか別れを決断できない心理は決して他人事とは思えない。象徴的なのは、マサキの浮気を疑ってチリが別れ話を切り出すも、結局元サヤにおさまってしまう場面だ。彼女が悩み、自分に言い訳し、自身を責めてしまう過程は、モラハラだと理解しているつもりでもハッとさせられる。

それでもチリは別れを決断する。「なぜ別れられなかったのか」を自分の言葉で振り返り、自分だけを責めることをやめ、自らの価値を再認識するプロセスは、チリと同じような状況にある人にとっては心の支えとなり、出口を見つけるヒントとなるのではないだろうか。パートナーとの関係に違和感を抱えていたり、苦しんでいたりしている人のもとに届いてほしい作品だ。

文=七井レコア

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