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【篠原ともえ連載Vol.32】『ルネ・ラリック展』光を宿すガラスの花のドレスをつくる。

  • 2026.4.2

石川県の国立工芸館で開催中の『ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-』。このたび展覧会のアンバサダーとして参加させていただき、ラリックの作品をインスピレーションにドレスを制作しました。

追求された素材の魅力、自然の息づかい、そして光のきらめき。時を超えてなお新鮮な驚きと感動を与えてくれるラリックの世界。本展にも展示されている《花瓶 オラン》(1927年)をモチーフに選び、その立体感と光の揺らぎを表現しました。

「オラン」は、ダリアの花弁に厚みを持たせたガラスの造形が印象的で、植物の生命感と装飾のエレガンスが静かに共存しています。アール・ヌーヴォーからアール・デコへと移りゆく時代の美意識を、布という素材でどのように創作できるのかを考え、南フランスの伝統的な「ブティ」というキルト技法を取り入れ、少しずつかたちにしていきました。

時間の限り制作を続け、国立工芸館に常設展示されている木工家・黒田辰秋氏の長椅子に身を預けながら、ドレスの完成を迎えました。磨き込まれた木肌にそっと手を添えると、素材と誠実に向き合い続けてきた仕事の気配が、静かに伝わってきます。手を動かしていると、制作の時間を支えてくれているようでした。

ドレスに使用した素材は、石川県能美市で織られ、白山市で染められた生地です。この機会に織りの工場を訪ね、職人の方々とお話しする時間もいただきました。糸が布へと変わっていく工程には時間の蓄積とともに、現場の方々のものづくりへのまなざしが静かに息づいています。整然とした作業の中に、目に見えないつくり手の気配が宿っていることを感じました。

会場ではラリックのジュエリーやガラス作品だけでなく、当時のインテリアやポスターなども展示されていて、フランス装飾美術の華やかな世界を体感することができます。今回は会場で公開されている限定映像のナレーションも担当しています。

時代の美意識を体現し、ジュエリーとガラスというふたつの分野で花開いたラリックの創造力。その作品たちは、ものづくりの喜びと尊さを、静かに私たちへと手渡してくれます。

春の気配の中で創作の光に触れたあと、自分の手でも何かをつくってみたくなる、そんな余韻が残りました。この特別な空間で、ご来場の皆さまが本展覧会で心輝くひとときをお過ごしいただけますことを願っています。

『ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-』開催中~6/14国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)開)9:30~17:30(最終入館17:00)休)月、5/7※3/30、4/6、4/27、5/4は開館料)一般¥1,200ほかhttps://www.momat.go.jp/craft-museum/exhibitions/568

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