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ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化

  • 2026.4.1

バイクの世界には、カタログには載らない“もうひとつの名前”がある。XJRが「ペケジェー」、GSXが「ジスペケ」と呼ばれる理由とは何か。そこには単なる略称ではない、日本語独特の読み替えやストリートの感性が色濃く反映されている。ライダー同士の会話の中で自然に生まれ、いつしか“当たり前”として定着していった呼び名たちを少しだけ紹介しよう。

ペケジェー(XJR)

ヤマハのネイキッド「XJR」を指して使われることのある俗称。アルファベットの「X」を「エックス」ではなく「ペケ」と読む日本独特の言い回しから生まれた呼び方で、XJ系から派生した呼称として広まった。なお、XJRについては「ペケジェイアール」と呼ばれることも多く、「ペケジェー」はややくだけた呼び方として使われる場合がある。

正式名称はエックスジェイアール。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
YAMAHA XJR400

ペケエス(XS)

同じくヤマハのXSシリーズに付けられた呼び名で、「X=ペケ」という読み替え文化のシンプルな応用例。XJやXJRと並び、“ペケ”という音がヤマハ車のイメージとして定着していった流れの中で自然に生まれた。こうした呼び方は単なる略ではなく、「わかっている人同士の共通言語」として機能しているのも特徴だ。

正式名称はエックスエス。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
YAMAHA XS 650

ジスペケ(GSX)

スズキのGSXシリーズを指す俗称。「ジーエスエックス」という無機質で長いアルファベット読みを、日本語的にリズムよく崩したものだ。「GSX-R」は「ジスペケアール」とも呼ばれ、特にスポーツモデルの文脈で頻繁に登場する。メーカーごとに独自の“読み文化”がある中で、スズキ=ジスペケというイメージはかなり強く根付いている。

正式名称はジーエスエックス。

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SUZUKI GSX-R1000R

ガンマ(RGΓ)

スズキRGシリーズに与えられた「Γ(ガンマ)」という表記が、そのまま通称として定着した例。アルファベットではなくギリシャ文字を採用したことで視覚的にも印象が強く、「RG」よりも「ガンマ」と呼ぶほうが自然になった。メーカーのネーミングがそのままユーザー文化に取り込まれた珍しいパターンで、言葉のインパクトがいかに重要かを物語っている。

正式名称はアールジーガンマ。

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SUZUKI RGV Γ

ゼックス(LiveDio ZX)

ホンダのスクーター「LiveDio ZX」を指す呼び名。「ゼットエックス」という表記をあえて崩し、「ゼックス」とすることで独特のストリート感が生まれている。90年代〜2000年代のカスタムスクーター文化の中で広まった言葉で、単なる略称ではなく当時の空気や価値観そのものを背負った呼び名といえる。

正式名称はライブディオZX。メーカー資料では「ジーエックス」とされた一方、俗称としては「ゼックス」が広まった。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
HONDA LiveDio ZX

ゼッツー(ZZ)

スズキのスクーターZZの呼び名。「ゼットゼット」ではなく「ゼッツー」と読むのが特徴で、旧車のZ2と同じ発音になる点も面白い。ストリートでは「ゼックス」と並べて語られることも多く、読み替えによって響きを変える文化が色濃く出ている。

正式名称はジーツー。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
SUZUKI ZZ

ダブワン(W1)

カワサキW1の俗称。「ダブリューワン」という正式読みを、そのまま縮めて「ダブワン」としたものだ。旧車界隈ではごく自然に使われる呼び方で、長い名称をテンポよく扱うための日本語的センスが感じられる。

正式名称はダブリューワン。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
KAWASAKI W1

ゼッツー(Z2)

カワサキZ750RSの通称。「ゼットツー」ではなく「ゼッツー」と促音を入れることで、語感に力強さが加わっている。単なる略称以上にブランドとして確立しており、「ゼッツー」と言えば特定の一台を指すレベルで浸透している。

正式名称はゼットナナヒャクゴジュウアールエス。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
KAWASAKI Z750RS

ヨンフォア(CB400FOUR)

ホンダCB400FOURの俗称。「400フォア」を日本語的に崩して「ヨンフォア」としたもの。数字をそのまま英語読みせず、日本語に置き換えてリズムを整えるあたりに独特のセンスがある。旧車ブームとともに広まり、現在では世代を超えて通じるスタンダードな呼び名となった。

正式名称はシービーヨンヒャクフォア。

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HONDA CB400FOUR

ニダボ(CBR250RR)

CBRシリーズの「RR(ダブルR)」を「ダボ」と読む文化から生まれた呼び名。「250のRR」→「ニダボ」という変換は、一見強引ながら語感の良さで一気に定着した。こうした“音優先”の言葉作りはバイク文化特有のものといえる。なお海外では「two fifty RR」といったように排気量をそのまま英語で読むのが一般的で、日本のように短縮されることはほとんどない。

正式名称はシービーアールニヒャクゴジュウアールアール。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
現在のニダボは2気筒エンジンを採用しているが、90年に発売された初代CBR250RRは4気筒エンジンを搭載し45psを発揮。ちなみに写真のMC22は規制後に発売された後期型になるので40psに抑えられている

ロクダボ(CBR600RR)

CBR600RRの俗称で、「600」→「ロク」+「ダボ」という組み合わせ。ニダボと同じルールで作られており、排気量ごとに呼び名が変わるシリーズ化が成立している。単なる略称を超えて、ひとつの言語体系のようになっているのが面白い。海外では「six hundred RR」と呼ばれるのが一般的で、日本のような極端な短縮は行われない。

正式名称はシービーアールロッピャクアールアール。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
HONDA CBR600RR(PC37)一番最初のCBR600RRはなんと正立フォークを採用。倒立フォークの採用05年式から。

センダボ(CBR1000RR)

CBR1000RRの呼び名。「1000」→「セン」と読み、「センダボ」となる。ニダボ、ロクダボと並ぶことで初めて完成する“ダボ文化”の頂点的存在。ここまでくると、もはや正式名称よりも通称のほうが自然に感じられるレベルだ。海外では「one thousand RR」などと呼ばれ、日本のような語感重視の略し方は見られない。

正式名称はシービーアールセンアールアール。

ちなみに、RRは正式にはダブルアールなのかアールアールなのかあるときまでは公表されていなかったが、CBR1000RRのリリース当時の報道関係者向け説明会では「アールアール」と呼ばれていた。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
HONDA CBR1000RR(SC57)スーパースポーツのセンターアップマフラーブームの率役者。

セントリ(CBR1000RR-R)

ホンダCBR1000RR-Rの俗称。「1000」→「セン」+「トリプルアール」的な感覚から「セントリ」と呼ばれることがある。RR-Rという特殊な表記があるからこそ生まれた比較的新しい呼び名で、現行世代の通称のひとつとして使われている。

正式名称はシービーアールセンアールアールアール。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
HONDA CBR1000RR-R(SC82)

ニーゴーアール(Ninja ZX-25R)

カワサキ Ninja ZX-25Rの呼び名。「25」を日本語読みして「ニーゴー」とし、「R」を付けて「ニーゴーアール」と呼ぶスタイルだ。本来は「トゥエンティファイブ」と読むのが正式だが、日本語的なリズムを優先した結果、この呼び方が広まった。

正式名称はニンジャゼットエックストゥエンティファイブアール。

ペケジェー、ゼックス、ジスペケ…なぜこう呼ぶ?バイクの“俗称”に見るストリート文化
KAWASAKI Ninja ZX-25RR

こうした俗称は今回取り上げたもの以外にも数多く存在し、時代や地域、乗り手の世代によって新たに生まれたり、消えていったりしている。それでも共通しているのは、単なる略称ではなく、バイクの見た目やキャラクター、そして当時の空気感までも含めて表現している点だ。俗称を知ることは、そのままバイク文化の奥行きを知ることでもある。

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