1. トップ
  2. おでかけ
  3. 岡本太郎、NIGO®ら“陶芸家ではない”アーティストが作った器を、内田鋼一が展示する理由

岡本太郎、NIGO®ら“陶芸家ではない”アーティストが作った器を、内田鋼一が展示する理由

  • 2026.4.9

藤田嗣治、猪熊弦一郎、白洲正子、岡本太郎、杉本博司、奈良美智、皆川明、NIGO®、黒河内真衣子……錚々たるメンバーだが、これでも出展者のたった一部でしかないというから驚きだ。三重県四日市市の〈BANKO archive design museum〉で開催中の展示『The Other Ceramics―日本人アーティスト&クリエイターによるやきもの―』。展示を企画した陶芸家の内田鋼一さんが、陶芸家ではないアーティストの陶芸に見出した面白さとは。

photo: Kiyoshi Nishioka / text: BRUTUS

内田鋼一
BRUTUS

“陶芸家ではない”からこそ滲み出る、プリミティブな表現

陶芸家・内田鋼一。その作品は国内に限らず海外での人気も高く、日本を代表する陶芸家の一人である。そんな内田さんはアートディレクター、キュレーターとしての顔も持つ。

世界中を渡り歩きながら、各地の古美術に触れてきた内田さんは、古美術を中心としたコレクターでもある。そこで養われた視点で、毎年2回、〈BANKO archive design museum〉で企画展を行っている。今回は開館10周年を記念し、その審美眼、人脈、編集力が遺憾なく発揮された展示だ。

では、なぜプロではない芸術家やデザイナーたちの陶芸に注目したのか。

「30年ぐらい前ですかね。画家や彫刻家のような芸術家が作った陶芸に興味が湧いて、個人的に集め始めたんです。海外だと、ピカソとかも作ってますね」

そんな個人的興味から、陶芸のプロではない日本のアーティスト、クリエイターに絞って展示をすることにしたという。

「焼き物の常識とは全然違うんですよね。潔さというか、子供が作ったもののような奇の衒(てら)ってなさが僕には魅力的に感じたんです。一方で共通するのは、その人の世界観がしっかり表現できていること。例えば、彫刻家の舟越桂さんが焼き物を作ると、やっぱり舟越さんの彫刻のようになるんです」

染色工芸家・柚木沙弥郎の作品
染色工芸家・柚木沙弥郎の作品。タイトルは「おひなさま」
展示の図録
展示に併せて制作・出版される図録も。6,600円。ミュージアム横のショップで購入可。
右上から時計回りに、ファッションデザイナーのNIGO®、洋画家の山口長男、難波田龍起、現代美術作家の杉本博司の作品
右上から時計回りに、ファッションデザイナーのNIGO®、洋画家の山口長男、難波田龍起、現代美術作家の杉本博司の作品が並ぶ。作品の横には作者の書籍も並ぶ。
現代美術家・奈良美智に よる「花頭花瓶(初代)
現代美術家・奈良美智による「花頭花瓶(初代)」。

展示では、物故の芸術家もいれば、現役のアーティストも多い。しかし一つだけ制限を設けたという。

「今回のために作ってもらったものはないんです。これまで作ったことがあったというのが面白い、その趣旨はずらしたくないなと。例えばほしよりこさんは、うちの窯でも作ったことがあるんですが、展示しているのはその前に作ったもの。立体は初めてだったそうですが上手なんです。すごく写実的に作るんだけど、ほしさんの絵の感じに近いんですよね」

普段から内田さんの自宅には様々なクリエイターが出入りする。そんな友人たちに窯を使って焼き物を作ってもらうと、みな共通点があるという。

「素人なんですが、素材とファーストコンタクトした時に悩みがないんですよね。技術がある、ないは関係ない。最初は不自由そうだけどすぐに摑(つか)む。やっぱり普段からものをよく見ているから勘所がすごくいいんです」

展示は5月25日まで開催されるが、次の展示も控えている。四日市市で10年、ミュージアムを続けてきたが、思うことは昔も今も変わっていない。

「まだまだやりたいことはたくさんあります。僕にとっては焼き物を作ることと、展示を企画することってあまり変わらないんですよ」

考えることと、作ること。内田さんの仕事は、これからもその2軸が互いに影響しながら続いていくのだろう。

BRUTUS

Information

『The Other Ceramics ―日本人アーティスト&クリエイターによるやきもの―』

三重県四日市市にある〈BANKO archive design museum〉の開館10周年記念で開催される特別企画。会期は5月25日まで。
住所:三重県四日市市京町2-13 1F
営:11~18時
休:火曜・水曜
入館料:一般500円
HP:banko-a-d-museum.com


profile

内田鋼一

うちだ・こういち/1969年愛知県生まれ。陶芸家、造形作家、アートディレクター。世界各地を旅しながら陶芸の修業を重ねたのち、92年、三重県四日市市に開窯。三重県多気町の博物館〈KATACHI museum〉の監修も務める。

元記事で読む
の記事をもっとみる