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新スキャン技術の試験中、古代エジプト都市の地下に「謎の構造物」を検出

  • 2026.3.31
※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

エジプトのフル・エル=シェイク大学(Kafrelsheikh University)らはこのほど、同国北部のナイル・デルタに位置する古代都市ブト遺跡で、最新のスキャン技術の試験を実施。

その結果、いきなり地下深くに謎の構造物が存在する可能性が浮かび上がりました。

しかも驚くべきことに、この構造物は約2600年前のサイス朝時代にさかのぼり、研究者たちは「墓」あるいは「神殿」である可能性を指摘しています。

研究の詳細は2026年3月10日付で学術誌『Acta Geophysica』に掲載されています。

 

目次

  • 地面を掘らずに遺跡を探す技術とは?
  • 実際に掘ってみると…予測は的中

地面を掘らずに遺跡を探す技術とは?

今回の発見の鍵となったのは、複数の先端技術を組み合わせた「非破壊調査」です。

まず研究チームは、ヨーロッパ宇宙機関の人工衛星「センチネル1」によるレーダーを用い、地表下の異常なパターンを広範囲に探しました。

これはいわば「宇宙から地下のヒントを探す」作業です。

続いて、興味深い地点が見つかると、今度は地上から電気抵抗トモグラフィー(ERT)という手法を使って詳しく調査します。

地面に電極を並べて電流を流し、土やレンガなど物質ごとの電気の通しやすさの違いを利用して地下構造を立体的に再現する方法で、「地下のCTスキャン」とも呼ばれています。

この2段階のアプローチにより、研究者たちは地表から約3メートルまでの浅い層にローマ時代やプトレマイオス朝の遺物層を確認し、そのさらに下、深さ3〜6メートルの位置に、明確な形を持つ大規模構造を検出しました。

【地下レーダー探査と、発見された構造物の想像図はこちら

従来であれば、この深さまで掘り進めるには大量の土砂の除去や地下水への対処が必要で、膨大な時間と費用がかかっていました。

しかしこの方法なら、掘る前に「何があるか」をかなり正確に把握できるのです。

実際に掘ってみると…予測は的中

とはいえ、スキャンだけでは確証にはなりません。

そこで研究チームは、約10メートル四方の小規模な試掘を行いました。

その結果、スキャンで示された位置から、日干しレンガの壁や宗教的な遺物が実際に見つかったのです。

つまり、衛星と地上スキャンによる「見えない地図」は、かなり正確だったことが確認されました。

ブト遺跡は数千年にわたり建設と破壊を繰り返してきたため、複数の時代の層が重なっています。

特に古い層は厚い泥や後代の遺構に覆われており、これまで十分な調査が難しい場所でした。

今回検出された構造物は、約2600年前のサイス朝時代に属する可能性が高く、その規模と形状から、研究者たちは墓または神殿の一部ではないかと考えています。

ただし現時点では完全な発掘が行われていないため、確定的な結論には至っていません。

それでも、この手法によって「どこに重要な遺構が眠っているか」を事前に特定できることは、考古学にとって大きな前進です。

参考文献

Scientists testing new scanning technology discover mysterious structure beneath an ancient Egyptian city
https://phys.org/news/2026-03-scientists-scanning-technology-mysterious-beneath.html

元論文

Multi-scale detection of buried archaeological elements across different occupation phases: an integrated approach using radar satellite imagery and electric resistivity tomography at Buto, northwestern Nile Delta of Egypt
https://doi.org/10.1007/s11600-026-01809-4

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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