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【60代ライフスタイル】愛しの老犬介護のお話「人も動物も年老いて介護が必要になるのは同じ。愛犬と過ごすこの時間はプレゼントのようなもの」【植草桂子の気分だけでも大人修行】

  • 2026.3.29

これまでのシニア層とはセンスも価値観も大きく異なるいまの60代。“新しい大人世代”としてどうありたいか、日々修行中のイラストレーター植草桂子さんのエッセイ。
今回は「老犬介護」のお話です。


夜中にガサゴソという物音で目が覚める。老犬が、壁とソファの背のすき間に鼻面を突っ込んでもがいている。

16歳を超えてくれた愛しの娘(ワンコ)。狭い所に絡まるように入り込もうとする老犬あるあるの行動だ。抱き上げて胸に包み込むと、まるで赤ちゃんのようにすぐ寝入ってしまう。目も耳もほとんど役に立っていない。でも私の腕の中はわかる様子が切なくて、切なくて。暗い部屋の中で涙が出そうになる。

朝起きればオムツがしっかり重たくなっている。ちゃんと食べてちゃんと排泄してくれれば、もうそれだけで上出来!

人も動物も年老いて介護が必要になるのは同じ。ゴハンは全てミキサーにかけてポタージュ状に、足先が冷たいと思えば足湯をし、歩行が少しでも楽になるよう床中滑り止めシートを張り巡らし……もうインテリアに合わないとか、どうでもいいと思える。だって、このコが今日も生きているんだもの。

14歳を過ぎたころから腎臓病にもなり、何度か危うい状態もあった。残された時間が長くないこともわかっている。だからこれから先の時間はプレゼントのようなものだ。

お口も臭い愛しの娘。それでも頬ずりをし、キスをする。薄く開いた目に私が映る限りずっと続ける。

イラスト・文/植草桂子
※素敵なあの人2026年4月号「植草桂子の気分だけでも大人修行 vol.30」より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人 植草桂子さん

主に暮らしまわりのイラストエッセイを女性向けに展開。近茶流で日本料理を10年習った経験から、最近では茶懐石や食のイベントも手がけている。ライフワークとして介助犬育成のボランティアとしても活動。

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