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「仏のような人」と思って結婚したのに!?「何も言わない夫」に苦しさを覚える…カサンドラ症候群になった妻の実態【作者に聞く】

  • 2026.3.27
ユーマはちょっと変わっていて近寄りがたかったけど、穏やかで優しい人。気づくとどんどん好きになっていった。結婚後、まさか「彼と心が通わない」と苦しむことになるとは…。 (C)アゴ山/KADOKAWA
ユーマはちょっと変わっていて近寄りがたかったけど、穏やかで優しい人。気づくとどんどん好きになっていった。結婚後、まさか「彼と心が通わない」と苦しむことになるとは…。 (C)アゴ山/KADOKAWA

真面目に働き、愚痴も言わず、物欲もない。何を出しても文句を言わず、妻に合わせて行動してくれる――一見すると理想の夫のように見える。しかし、意見を求めても返ってこない。喜びも不安も共有できない。育児にも関わらず、孤独だけが積み重なっていく。そんな関係の中で心をすり減らしていく女性の姿を描いたのが、コミックエッセイ『夫と心が通わない カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話』である。原案を手がけたアゴ山(@agoyama.okane)さんの実体験をもとにした本作と、その背景にある思いに迫った。

「理想の夫」のはずなのに、心は満たされない

「夫と心が通わない」プロローグ 01 (C)アゴ山/KADOKAWA
「夫と心が通わない」プロローグ 01 (C)アゴ山/KADOKAWA
「夫と心が通わない」プロローグ 02 (C)アゴ山/KADOKAWA
「夫と心が通わない」プロローグ 02 (C)アゴ山/KADOKAWA
「夫と心が通わない」プロローグ 03 (C)アゴ山/KADOKAWA
「夫と心が通わない」プロローグ 03 (C)アゴ山/KADOKAWA

夫は穏やかで、怒ることもなく、生活に不満を言うこともない。だがその一方で、何を考えているのかがわからず、会話は成立しない。すべての判断を自分が担い、子どものことも家庭のことも一人で背負い込む日々。不安や喜びを分かち合えない状態が続くと、やがてその関係は“安心”ではなく“孤独”へと変わっていく。周囲からは理解されにくい苦しみの中で、主人公は徐々に追い詰められていった。

カサンドラ症候群という“見えにくい苦しさ”

本作で描かれる「カサンドラ症候群」とは、パートナーとのコミュニケーションがうまく取れないことによって心身に不調をきたす状態を指す言葉だ。医学的な正式名称ではないものの、自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群を含む)の特性を持つ相手との生活に悩む人が一定数存在することは事実である。

アゴ山さん自身も、結婚前は夫を「仏のような人」と感じていたが、共に暮らすうちに「宇宙人と話しているかのような」感覚へと変わっていったという。その違和感は、やがて無視できないものになっていった。

「独りじゃない」と伝えたくて描いた体験談

離婚やカサンドラ症候群の苦しさを「誰かに聞いてほしい」という思いから、アゴ山さんはSNSでの発信を始めた。「どうにか発信したいと思いX(旧Twitter)を始めました」。その中で漫画家・鳥頭ゆばさんとのやりとりが生まれ、共感を得たことをきっかけに、作品として形になっていく。「あのとき勇気を出して声をかけてみて本当に良かったと思っております」と振り返る。

繊細なテーマだからこそ、言葉選びに細心の注意を

制作にあたっては、発達障害というテーマゆえに、どれだけ配慮しても傷つく人が出てしまう可能性を強く意識していたという。「できる限り言葉遣いなどに気を付けて制作しました」と語る一方で、それでも難しさは残ったという。

また、書籍化に際してはストーリーとしての構成にも苦労しながら、一つの作品としてまとめ上げていった。さらに専門カウンセラーにも相談し、夫婦の在り方について踏み込んだ内容も盛り込んでいる。

共感の声が救いとなり、視点を変えるきっかけに

発信を続ける中で、「同じように悩んで苦しんでいる」という声が数多く届いた。「それだけで心が救われます」と語るように、共感の存在は大きな支えとなった。また、漫画として描くことで、自分自身や夫婦関係を客観的に見つめ直すことにもつながったという。

すれ違いの先にある選択、それぞれの答え

夫とは学生時代のアルバイト先で出会い、10年後に再会して交際へと発展。1年ほどの交際期間を経て結婚した。当時は無口でぼんやりした性格も「天然でおもしろい」と受け止められていたが、結婚生活の中でその印象は大きく変わっていった。最終的に離婚という選択に至ったものの、養育費や面会の取り決めは守られており、現在も子どもとの関係は続いている。

同じように悩む人へ向けて、アゴ山さんは「独りじゃないよ」と伝えたいと語る。相手の特性を理解しながら関係を築いている夫婦も存在するからこそ、まずは状況を知り、必要であれば周囲に相談することが大切だという。カサンドラ症候群という言葉を知ったとき、「全てが腑に落ち、何かが浄化されたような感覚が体を駆け巡った」という体験は、多くの人にとってもヒントになるはずだ。

取材協力:アゴ山(@agoyama.okane)

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