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「日本人は“新しけりゃいい”と思い込みすぎ」偏見と毒舌の化身・ウエストランド井口が世間の『トレンド』を疑う理由

  • 2026.3.27
「日本人は“新しけりゃいい”と思い込みすぎ」
「日本人は“新しけりゃいい”と思い込みすぎ」

「Z世代に大流行!」「経済効果130億円!」「満足度98%!」……日々メディアをにぎわすトレンド情報の数々。でもそれ、本当に信じていいの?現場の“リアル”と合ってる?そんな世の中の「キラキラしたトレンド」に疑いの目を向ける男が1人。M-1王者にして、偏見と毒舌の化身・ウエストランド井口浩之さん。

本連載『エビデンス・ポリス』は、ウォーカープラス編集部が持ち込む「最新トレンド」について、井口さんが独自の“肌感覚”と“毒舌”で、そのエビデンスを厳しく取り締まる。実際、昨年末の「T&D 保険グループ新語・流行語大賞」でトップ10入りして話題になった『二季(にき)』について、井口さんは大いに言いたいことがあるようだ!

記念すべき連載第1回のテーマは、因縁の「二季」騒動から、130億円市場へ急成長した「eスポーツ」、そして激変する「学校教育」まで。

8年前「夏と冬しかない」は「トンチンカン」だと叩かれた…!

偏見と毒舌の化身・ウエストランド井口さん
偏見と毒舌の化身・ウエストランド井口さん

――昨年の「2025年 T&D 保険グループ新語・流行語大賞」でトップ10入りした「二季」についてです。井口さんは以前から「日本にはもう春と秋がない」と提唱されていましたが、今回受賞されたのは、気象データを分析した三重大学の教授でした。

【井口】実際、僕が言っていたとおりになりましたからね。僕は8年くらい前からずっと「夏と冬を繰り返してるだけだ」って言ってたんですけど、当時は「なんだそれ」って言われて、なんなら漫才のボケ扱いになってましたから。それが今じゃ、そんなの誰も笑わないわけじゃないですか。事実そうなってるんで。

――専門家の「エビデンス」が出た途端に、世の中の空気が変わったと。

【井口】ようやく世間が気づき出したんでしょうけど、遅いっすよ。僕が先に言ってて、早めに気づいてるだけで「トンチンカンなこと言ってる」みたいに叩かれることが本当に多いんですよ。あのとき僕をバカにしてた人たちには、本当に謝ってほしいですね。

――ほかにも、「前から言ってたぞ」というエピソードはありますか?

【井口】最近でいうと、駅のホームにあった「タッチパネル式の自販機」ですね。出た当初から「あれ何の意味があんの?」と思ってて。買うのもちょっと緊張するし、ディスプレイに「今日の天気は晴れ」とか出るじゃないですか。見りゃわかるだろ、外にいるんだからって。それが邪魔で商品も見えなかったりして。

――たしかに、顔認証などの最新機能も話題になりましたが、最近は減りつつありますね。

【井口】近づいたらカメラで顔を分析されて、「あなたへのおすすめミネラルウォーター」とか出てくる。「なめんなよ」って話じゃないですか。「なんだあれ」って言ってたら、案の定なくなった。結局、僕が合ってたんですよ。

――井口さんの肌感覚のほうが正しかったと。

【井口】日本人は本当に「新しけりゃいい」「新しいものはすごい」って思い込みすぎなんですよ。芸人の世界でもそうです。「なんか新しそうだからいい」「『ダウ90000』だったらすごい」みたいな(笑)。なんにもすごくないのに、「新しいからなんかすごい」と思い込んじゃう。あの感じが本当に嫌なんですよね。

YouTubeで偉そうに戦術とか語ってるYouTuberが嫌い

――続いては「eスポーツ」のエビデンスです。国内市場は161億円を超え(※1)、ファン数も約1000万人と拡大を継続。賞金1億円以上の大会もあり、夢のある職業になりつつあります。

(※1)日本eスポーツ協会が発表した「日本eスポーツ白書2025」より

【井口】数字はすごいですよね。そこは認めます。ただ……なんでわざわざ「スポーツ」って名乗るんですかね?僕はそこがずっと気になってて。ゲームはゲームで素晴らしい文化なのに、なんで無理やりスポーツの枠に入ろうとするのか。

――井口さんは元サッカー部ですが、ゲームが「スポーツ」と名乗ることに違和感がありますか?

【井口】ありますよ。たぶん子どものころ、運動できる子がチヤホヤされて、ゲーム好きな子は日陰にいた……そのコンプレックスの裏返しに見えちゃうんですよね。「僕たちもスポーツです」って主張してる感じが。

――最近のゲームは戦術面などもリアルに作られています。

【井口】ゲームも進化してますけど、実際やるのは“人”なわけじゃないですか。なのに何もわからず、YouTubeで偉そうに戦術とか語ってるYouTuberみたいなのも増えてて……本当に胸糞悪いですね。あのへんはすごく嫌です。“リアルへのリスペクト”が欠けてるというか。ゲームは「eゲーム」として誇りを持ってやればいいのにって思いますね。

――一方で、こんなデータもあります。高齢者がeスポーツを継続すると、認知機能が向上したという実証結果です。

【井口】今の高齢者の方にはいいと思いますよ、新しい刺激になるから。ただ、僕ら世代が老人になったときどうなるんでしょうね?もう息をするようにゲームできるじゃないですか。『ぷよぷよ』なんて脳みそ使わずに脊髄反射でやれるんで(笑)。僕らが老人ホームでゲームしても、たぶん脳の活性化にはならない。そこは今から心配ですね。

『桃鉄』『マリオパーティ』を1人でプレイしていた理由とは

――次は教育現場のエビデンスです。いま、小学校5年生向けにプラモデルを通じてものづくりの楽しさを学ぶ授業パッケージ『ガンプラアカデミア』があり、参加校数は累計1万2378校、参加児童数は累計85万172人にのぼるそうです(※2025年9月1日現在)。

また、ゲームの『桃太郎電鉄 教育版』は、教育(Education)と娯楽(Entertainment)を組み合わせた「エデュテイメント」教材として、およそ6800校以上の小学校(※2025年3月時点)で、難読地名の書き取りや収益率の計算など、幅広い学習に活用されているそうです。

【井口】(絶句して)……はあ。すごい時代になりましたね。僕らのころなんて「ゲームは勉強の敵」「ゲームをするとバカになる」って言われて、学校に持って行ったら即没収でしたよ。家でもコード隠されて。あの苦労は何だったんですかね?教育委員会が折れたんですか?

――SDGsや地理を学ぶための「生きた教材」として評価されています。ちなみに教育版の『桃鉄』では、貧乏神(ボンビー)のような要素は外されているそうです。

【井口】なるほど、ボンビーがいないんですね。それは逆にいいかもしれないです。僕、ゲームでけんかになるのが本当に嫌いなんで。

――ゲームの勝敗ってリアルなけんかに発展しがちですよね。特に『桃鉄』なんて、キングボンビーのなすりつけ合いで友達とガチのけんかになった苦い経験があります……。

【井口】そうなんですよ。勝っても相手が不機嫌になるし、負けても腹立つじゃないですか。だから僕、ゲームは好きなんですけど、対戦は絶対しない派なんです。『ウイイレ』(※現eFootball)もずっと1人でコンピューターと戦ってましたし、『マリオパーティ』も1人でやってて……さすがに虚しくなって「何がパーティなんだよ」って思いましたけど(笑)。

嘘みたいなトレンド社会を生き抜くには「疑う目」も必要

井口さんが出演するTV番組「ウォーカープラスTV」が2026年3月27日(金)24時30分からスタート
井口さんが出演するTV番組「ウォーカープラスTV」が2026年3月27日(金)24時30分からスタート

――最後に、AI技術の進化やフェイク動画の問題についてどう思われますか?

【井口】みんな「新しいもの」や「国が推奨するもの」を盲信しすぎだと思います。NISAとかも、国が勧めるってことは「国にもう金がないから自分で何とかしろ」って裏返しじゃないですか。AIもそう。便利だけど、思考停止になっちゃいけない。

――データやトレンドをうのみにせず、一度疑ってみる。

【井口】そうですね。エビデンスは大事ですけど、それ以上に「なんか嫌だな」「俺はこう思うな」っていう自分の肌感覚を信じること。この嘘みたいなトレンド社会を生き抜くには、そういう「疑う目」を持つことが一番大事なのかもしれません。

取材・文:有賀俊澄

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