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「いろんな人を巻き込みながら子育てしていっていい」育児困難に悩む保護者に伝えたい【著者インタビュー】

  • 2026.3.26

【漫画】本編を読む

「お母さんと2人でお父さんから逃げてきてん」。小学生の時、複雑な環境で育つ同級生・ナルミと仲良くなったカヨコ。しかしナルミは突然いなくなってしまう。大人になり、民生委員という地域を見守るボランティアとして活動するカヨコの前に、18歳の母親・アカネが現れる。アカネはナルミに瓜二つ。カヨコはアカネにナルミを重ね、民生委員の仕事範囲以上に彼女を助けようと奮闘する――。

自身も民生委員、そして子育て世代に特化した支援を行う主任児童委員として活動するきむらかずよさんが描く『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』(KADOKAWA)。無縁社会に落ちてしまった母と子どもを描いたセミフィクションエッセイだ。孤立した母親が育児困難に陥り、育児放棄・虐待などの事件を起こしてしまう場合もある。本作はそんなきっかけにもなり得てしまう、子育て中特有の孤独や不安に焦点を当てた一冊。本作について、民生委員として見つめてきた社会から孤立した子育てについて、著者であるきむらさんに話を伺った。

――主人公のカヨコが民生委員として関わる18歳の母親・アカネは人との距離をうまく取ることができなかったり、支援が必要とアカネ自身の母親から言われたりしています。最近は「大人の発達障害」という言葉も聞かれますが、きむら先生も現場で「小さい頃に支援を受けていればな」という保護者の方に出会うことはありますか?

きむらかずよさん(以下、きむら):支援の場所というより、私自身の横の繋がりの中で出会うことはあります。ただ、私自身も何もないわけではないと思うんですよね。悩んでいる方の中には本当に検査を受ける必要がある方もいらっしゃると思います。最初に子どもが児童相談所に保護されて、そこからお母さんの特性がわかって母子支援施設など行政の力を借りながら暮らしていらっしゃる方も多いと聞くので。ただ周囲の手助けがあればなんとか回していける人たちもいるんです。私のような立場からすると、みんな完全じゃないからこそ、人と繋がって補っていくことを考えてみてもらいたいなと思います。

――まずは繋がりを持つことが大切なんですね。

きむら:そうです。私自身も本当にいろんな人に助けてもらいながら子どもを育ててきたので「いろんな人を巻き込みながら子育てしていっていいんだよ」と伝えたい。人間を育てるというのはすごいことで、ひとり育てるだけでもう本当に一大事業。それは特性のありなしに限らずのことなので。

――民生委員のカヨコがアカネに母子支援施設に入ることを提案するものの、拒否されてしまうシーンがあります。実際このように提案しても拒否されることは多いのでしょうか?

きむら:こちらから提案しても、実際に使われる方は本当に少ない印象です。自分から「公的支援を受けたいです」と言う方はさらに少ないと思いますね。端から見て支援が必要なのではと思う状況でも、毎日しんどいと本人にとっては「どこまで困窮したら支援が必要な人間になるのか」という判断が難しいのかもしれないなと思います。「自分はそこまで大変じゃない」と思う方が多いですね。

取材・文=原智香

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