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偶然と積み重ねの先に立ち上がる形の輪郭

  • 2026.3.26

2026AW Collection Report|YOHEI OHNO

偶然と積み重ねの先に立ち上がる形の輪郭

2026年秋冬、東京の空気に溶け込むモードの断片。Lula Japan Webが、気鋭ブランドの感性を映した最新ルックをレポート。今回は、2年ぶりのランウェイショーとなった「YOHEI OHNO」のコレクションをピックアップ。

デザイナー 大野陽平が手がけるファッションブランド「YOHEI OHNO」。

今コレクションは、フランスの郵便配達員 Ferdinand Chevalが33年をかけて築いた「理想宮」の逸話を起点に構想された。
日常の中で出合う偶然や、言葉にならない衝動に突き動かされながら、1つずつ積み上げていく創作の営みが着想源となっている。

かつて大野自身が触れた「得体の知れない知性」への憧憬や、現実と空想の間を往復する感覚。
そうした個人的な体験と時間の蓄積が、コレクション全体の基盤を成している。

大野はChevalから着想を得た経緯について次のように語る。
「自分が積み上げてきたアイデアで1つの世界観を構築しようという思いがあり、大事にしてきたアプローチをアップデートさせていく中で、ふとChevalの話を思い出しました。コツコツとやり続けること、たとえ認められなくてもやり続けること。その姿勢に共感できる部分がありました。実際に『理想宮』にも足を運び、実物を目にしても予想を裏切られることがなかったのも大きかったです」

構成面では、映画監督 David Lynchの作品「Blue Velvet(邦題:ブルーベルベット)」から影響を受け、不完全でありながらも愛すべき人間像を多層的に描写。
均質ではない存在同士が同じ地平に立つ、どこか滑稽で包括的な世界観を表現した。

今回はブランドが追求してきたフォルムメイキングを軸に、クラシックなパターンの再解釈や、日常的な衣服の解体・再構築を通じて、多様なアイデアを取り込んでいる。
またニードルパンチやレーザーカットなどの手法を用いた、新たなテキスタイル表現にも取り組んだ。

コレクションの中で思い入れのあるルックについて尋ねると、
「歪な形をしたグレーとブルーの2着のコートは、元々あのようなフォルムにする予定ではなく、さまざまな偶然が重なって生まれたものです。結果的にChevalの宮殿のようなフォルムになり、印象に残っているルックです」と話してくれた。

また、アーティストやクリエイターとのコラボレーションを通じて、「未知の美しさ」への純度の高いアプローチを展開。
個人の営みとして積み重ねられた創造が、1つの世界を形作るという思想が、今コレクションを象徴している。

積み重ねの先に立ち上がる理想と、その過程に宿る強度。
静かでありながら確固とした意志を持つコレクションを堪能して。



YOHEI OHNO
yoheiohno.com

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