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「自分で通せば安上がり」の落とし穴…ユーザー車検で不合格になった車を待ち受けていた“想定外の出費”

  • 2026.4.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

「とにかく安く済ませたい」

車検のタイミングで、そう考える方は少なくありません。実際、インターネットや広告には魅力的な価格を打ち出した格安車検が数多く並び、選択肢のひとつとして定着しています。

一方で現場に長く携わっていると、「思っていたより費用がかかった」という声を耳にすることがあるのも事実です。ただその多くは、格安車検そのものが悪いというよりも、内容を十分に理解しないまま選んでしまったことが原因になっているケースが目立ちます。

安さ優先で選ぶと起きやすい“後出しコスト”

格安車検の魅力は、やはり価格の安さです。ただし、その多くは「最低限の検査費用のみ」をベースにした金額であるケースが少なくありません。

例えば、検査に通すために必要な整備や部品交換が発生した場合、それらはすべて追加費用として加算されます。結果として、最初に見た金額よりも大きく膨らんでしまうことがあります。

特に注意したいのが、「通すだけ車検」と呼ばれるタイプです。これは法定検査をクリアすることを目的としたもので、予防整備や消耗部品の交換までは基本的に行いません。一方、整備付き車検は次の車検まで安心して乗るための点検・整備が含まれており、費用は高めでもトータルで見れば安定した維持につながります。

一見すると前者の方が安く感じますが、整備不足による故障や再修理が発生すれば、結果的に“後出しコスト”が積み重なることになります。

ユーザー車検と格安車検業者の違いを正しく理解する

さらに混同しやすいのが、「格安車検業者」と「ユーザー車検」の違いです。

格安車検業者は、あくまで事業者として効率化や作業の分業化によってコストを抑えています。例えば、作業工程を標準化したり、交換部品をあらかじめパッケージ化したりすることで、無駄な時間やコストを削減しています。また、立地や設備投資を最適化することで低価格を実現しているケースも多く、「安い=悪い」というわけではありません。

一方、ユーザー車検はオーナー自身が運輸支局などに車を持ち込み、検査ラインを通す方法です。代行手数料がかからないため、最も安く済ませる方法のひとつですが、その分、事前点検や整備はすべて自己責任となります。

つまり、格安車検は「コストを抑えたプロのサービス」、ユーザー車検は「自己責任で行う検査」という位置づけであり、安さの意味合いがまったく異なるのです。

車検の安さを優先した結果、かえって高くなったケース

Cさんは、費用を抑えるためにユーザー車検を選択しました。普段から不定期ながらもメンテナンスはしており、「特に問題はないだろう」と認識していたそうです。ところが、いざ検査ラインに入ると、足回りの検査でブーツ(関節部を保護するゴム部品)の破れを指摘され、不合格に。結局、そのまま当店に来店されることになりました。

本来であれば、車検前の点検整備で発見できた不具合です。しかし、ユーザー車検で不合格となった後の修理は「車検整備」ではなく「一般整備」として扱われます。ここが重要なポイントですが、一般整備は車検整備と比べて工賃が割高になることが多いのです。

理由は、以下のような違いにあります。

・車検整備は事前に計画された作業であり、効率的に進められる
・一般整備は突発対応となり、作業の段取りや部品手配に時間と手間がかかる
・検査の再予約や再持ち込みなど、追加の工数も発生する

整備された車両を引き渡す際、Cさんは「最初から整備付き車検にしておけばよかった」と話されていました。まさに、安さを優先したことでコストが先送りされ、最終的に高くついた典型的な例です。

本当に安くするなら“理解して選ぶ”ことが前提

格安車検は、車の状態や使い方によっては、非常に合理的な選択になることもあります。

例えば、年式が新しくて走行距離も少なく、日頃から定期点検を受けている車であれば、大きな整備が不要なケースも多く、格安車検のメリットを活かしやすいでしょう。

大切なのは、「安さの中身」を理解することです。

・提示されている金額にどこまでの整備が含まれているのか
・追加費用が発生する条件は何か
・自分の車の状態に対して、その内容で問題ないのか

こうした点を事前に確認するだけで、後悔のリスクは大きく減らすことができます。

「安いかどうか」ではなく、「なぜ安いのか」「自分に合っているのか」。その視点を持って、車検整備費用の節約につなげていきましょう。


ライター:河野みゆき

自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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