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「3万kmより10万kmの方がいい」中古車プロが明かす、意外と知らない"走行距離の大誤算"

  • 2026.4.27
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

中古車選びで、多くの人が真っ先に条件とするのが「走行距離」でしょう。

5万kmよりは3万km、3万kmよりは1万km。走行距離が短ければ短いほど、消耗が少なくコンディションが良いと考えがちです。

しかし、数多くの車両を分解し、整備してきたプロの視点は少し異なります。実は、短距離の街乗りばかりを繰り返して「シビアコンディション」で酷使された3万kmの個体よりも、高速道路を中心に快調に距離を伸ばしてきた10万kmの個体のほうが、エンジン内部の状態が良好であるケースも少なくないのです。

今回は、走行距離というフィルターを一度外して、「本当にコンディションが良い車」を見抜くためのプロの豆知識を紹介します。

「数字」よりも「履歴」と「愛着」を見る

なぜ、距離を走っている車が魅力的な選択肢になり得るのでしょうか。それは、車が「機械」だからです。

適度に動かされ、熱が入り、オイルが循環している個体は、各部の固着が少なく、ゴム類やパッキンの状態が保たれやすい傾向にあります。

中古車選びで大切なのは、前のオーナーがどのような意識でその車に接していたかというメンテナンスの密度です。

走行距離はあくまでひとつの目安に過ぎません。外装の美しさだけでなく、機関系の健康状態を雄弁に物語る「4つのサイン」をチェックすることで、長く付き合える一台に出会える可能性が高まります。

プロが現場で実践する、真のコンディション判別術

現場の整備士が、査定や身内へのアドバイス時に密かに確認しているポイントを紐解いていきましょう。

・タイヤの「製造年」と「銘柄」から読み取る整備姿勢:
タイヤは車の部品の中で唯一路面と接する重要部品です。溝の有無だけでなく、サイドウォールの製造年週をチェックします。製造から5年以上経過しているかといった点や、銘柄の選択基準は、前オーナーが消耗品への投資をどの程度優先していたかを推測するひとつの手がかりになります。大手メーカーのタイヤや、その車の性格に合った適切なグレードのタイヤを履いている個体は、ほかの油脂類や消耗品も適切に管理されていた可能性が高いといえるでしょう。

・オイルフィラーキャップ裏の「鏡」:
エンジン上部のオイル注ぎ口にあるキャップを外して裏側を覗いてみてください。ここにドロドロとした黒い汚れが付着していたり、マヨネーズ状の白い付着物が見られたりしなければ、定期的にオイル交換が行われ、内部の清浄性が保たれていたと推測できます。これは、エンジンという心臓部の健康状態を測るための、非常にわかりやすい指標となります。

・「走行距離」と「内装・ペダルの摩耗」の不一致:
走行距離が少ないはずなのに、ステアリングに光沢が強く出ていたり、ブレーキペダルのゴムが極端に摩耗していたりする場合、短距離での頻繁な乗り降りや、渋滞でのストップ&ゴーが多かったことを示唆しているかもしれません。数字上の距離よりも、実際の使用感に目を向けることで、その車が歩んできた環境・歴史が見えてきます。

・「電装系フル稼働」テストによるリスク回避:
エンジン音に気を取られがちですが、パワーウィンドウ、エアコン、電動ミラー、ルームランプなど、すべてのスイッチを実際に操作してみることが推奨されます。とくに、パワーウィンドウの作動音が重苦しくないか、異音が混じっていないかを確認することで、モーター交換などの出費を未然に防げる可能性が高まります。

納得の一台を選ぶために

中古車選びは、いわば前のオーナーとの対話でもあります。整備記録簿が残っていれば理想的ですが、記録簿がない場合でも、今回紹介したような各部の状態を丁寧に観察することで、その個体が大切にされてきたかどうかを感じ取ることができるはずです。

「距離を走っているから」と選択肢から外してしまうのは、少しもったいないかもしれません。プロの視点を取り入れ、機械としての本質的なコンディションを見極めることができれば、予算内でワンランク上の満足度を得られる一台に巡り会えるのではないでしょうか。まずは実車を前に、今回紹介したポイントを参考にしてコンディションを確かめることから始めてみてください。


筆者:岡本 修
自動車業界の川上から川下までを網羅するカーライフアドバイザー。輸入車ディーラーの営業職としてキャリアをスタートし、接客の最前線を経験。その後、カーディティーリング会社にて車両美装の技術を習得し、自動車部品メーカーの海外営業としてグローバルな流通機構にも携わる。現在はこれら「販売・施工・製造・輸出入」の多角的な経歴を活かし、中古車買取店のオーナーとして独立。業界の裏表を知り尽くしたプロの視点から、中古車の本質や市場動向、メンテナンスの重要性など、ユーザーに寄り添った信頼性の高い情報発信を行っている。


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