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「もう絶対に鍵を渡さない」N-BOXを息子に占領された54歳父の悲鳴…待ち受けていた“想定外の誤算”

  • 2026.4.30
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

知人の54歳男性から聞いた愛車をめぐる体験談をご紹介します。夫婦の日常の足として合理的に選んだN-BOX ターボですが、大学生の息子さんが頻繁に乗るようになりました。息子の分のガソリン代や軽い傷の修理費まで親が負担し、自分の知らないところで車が消費されていくことに、彼は何とも言えない寂しさを抱きます。

車自体は気に入っている彼が下した決断は、夫婦専用の小さなSUVの購入でした。家族の成長とともに変わる車との付き合い方の実例を紹介します。

家計の味方だったはずの軽自動車が、いつしか遠い存在に

先日、知人のAさん(54歳・男性)から、愛車のホンダ・N-BOXについて少し寂しそうでありながらも、どこか微笑ましい話を聞きました。自宅の駐車場に停まっている自分の車を見つめながら、これは本当に自分の車なのだろうかとふと感じる日があるそうです。なぜ自分の車であるにもかかわらず、そのような違和感を抱いてしまうのでしょうか。その背景には、家族の成長とライフスタイルの変化が深く関わっていました。

Aさんの息子さんが野球をやっていた頃は、週末は泥だらけのチームメイトを乗せて、大きなミニバンで練習や試合の送迎をしていました。しかし、息子さんが無事に大学に進学したことで、あんなにも活躍していた大きな車は日常の中で不要になっていったそうです。そこでAさんは、夫婦の日常の足として、維持費が抑えられる軽自動車への乗り換えを考え始めました。

子育てが一段落した後の、身の丈に合った新しいカーライフの象徴として選んだのが、中古のN-BOX ターボでした。軽自動車とはいえ、ターボモデルであればある程度のパワーが期待でき、近所の狭い道でも取り回しがよく、扱いやすいと感じたようです。さらに税金が安く家計に優しいのはもちろんのこと、時には夫婦で遠出をするのにもちょうどいいサイズ感でした。これからの夫婦二人の生活に寄り添ってくれる理想的な選択だと、Aさんは購入当時に前向きな期待を抱いていました。

少しずつ変わっていく車の主役

そうしてAさん宅に迎え入れたN-BOX ターボですが、当初の想定とは少しずつ違う使われ方をするようになっていったのです。息子さんが運転免許を取りたてだった頃は、Aさんも「気をつけて運転しなさいよ」と声をかけながら、気持ちよく車の鍵を貸していたそうです。家族で車を共有するのは、ごく自然なことだと感じていたからでした。

しかし、息子さんの行動範囲が広がるにつれて状況が変わっていきます。友人との遊びや、夜遅くまでのアルバイトの行き帰りなどにも頻繁に使われるようになり、気がつけば休日に夫婦で買い出しに行こうとしても、すでに息子さんが車を使う予定を入れてしまっていることが増えてきました。

最初は家族だから使わせてあげようと思っていたはずが、いつの間にかAさん夫婦の予定よりも、息子さんの都合が優先されるのが当たり前になってしまったのです。少しずつですが、確実に車の主導権が夫婦から息子さんへと移り変わっていく日常に、Aさんは言い知れぬ戸惑いを感じるようになっていきました。

想定外の出費と、すり減っていく愛着

車の使われ方が変わると、それに伴って想定外の問題も発生するようになりました。Aさんが軽自動車を選んだ大きな理由は、毎月の維持費を節約することでした。しかし、息子さんが頻繁に乗るようになったことで、ガソリン代が当初の予想を遥かに超えてかさんでしまいます。しかも、息子さんが使う分のガソリン代まで親が負担していたため、家計に優しいはずの軽自動車の意味が薄れてしまいました。

さらに、ホイールの擦り傷やちょっとしたバンパーのへこみなど、まだ運転に不慣れな息子さんが作ってしまう小さな傷も増え、その修理費用までAさんが負担することになったそうです。

お金の問題だけでなく、精神的な部分でも少しずつ変化が現れ始めました。以前のAさんは、週末になると自ら丁寧に洗車をし、きれいな車を保つことに喜びを感じていました。しかし、車内の空きペットボトルや泥のついたフロアマット、そして自分がぶつけたわけでもないのに増えていく小さな傷を見るたびに、何とも言えない複雑な感情が湧き上がってきたと言います。

自分が大切にしたかったものが、自分の目の届かないところで少しずつ雑に扱われ、消費されているように感じてしまったそうです。それは決して息子さんに対する強い怒りではなく、自分の管理外で愛車がすり減っていくことへの静かな寂しさや虚しさでした。その結果、徐々に洗車への意欲も薄れていき、これは果たして誰のための車なのだろうかという違和感だけが残ってしまいました。

車は最高!だからこそ生まれた新たな野望

すっかり息子さんの車のような扱いになってしまい、愛着が薄れてしまったとはいえ、AさんはN-BOX ターボが悪い車だったと言いたいわけではありません。むしろ、実際に乗ってみると走りは驚くほど快適で、室内空間も広く、夫婦で乗るにも十分すぎるほど優秀な車であることは間違いないようです。

車そのものに罪はなく、あくまで家族の形が変わっていくスピードに合わせて、車の使われ方が変わってしまっただけなのだとAさんは静かに振り返ります。息子さんが自由に移動できるようになったのも、親としては本来喜ばしい成長の証でもあります。

この冷静な気づきは、Aさんに新たな考えをもたらすことになります。N-BOX ターボ自体はとても気に入っているからこそ、自分と妻が気兼ねなく、いつでも自由に使える車が別に欲しいという思いが日に日に強くなってきたそうです。維持費の節約のために車をダウンサイズしたはずが、気がつけばもう一台車が欲しいと思っている自分に驚きつつも、Aさんの心の中には新しいカーライフへの野望が芽生え始めていました。

次は小さなSUVを…でも息子には乗せない!

現在、Aさんは夫婦のための新しい車を本気で検討しています。夫婦でのドライブや温泉旅行などを改めて楽しむために、取り回しの良いコンパクトなサイズのSUVが気になっているそうです。休日のたびにメーカーのホームページを眺めたり、カタログを取り寄せたりして、次はどんな色にしようか、どのオプションをつけようかとワクワクしている様子が手に取るように伝わってきました。

そして、話の最後にAさんは今後の目標を語ってくれました。次の新しいSUVは、絶対に息子には鍵を渡さないつもりだと、いたずらっぽく笑いながら語るAさんの表情は、とても晴れやかで楽しそうでした。

家族の成長に合わせて車が増えたり、それぞれの車が持つ役割が変わったりするのも、また豊かなカーライフの一つの形なのかもしれません。ライフスタイルの変化に合わせて車との距離感を見直していくことで、きっと新しい楽しみが見つかるのではないでしょうか。車という存在は、ただの移動手段ではなく、家族の成長や関係性の変化を映し出す鏡のようなものだと言えそうです。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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