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余命わずかな母のリクエストに応えたいけど…夜中に何度も呼ばれて寝られない。在宅介護中の「唯一の息抜き」から生まれた漫画『20代、親を看取る。』【著者インタビュー】

  • 2026.3.23

【漫画】本編を読む

母親の余命がわずかと知った瞬間から看取りまでを描いたキクチさんのコミックエッセイ『20代、親を看取る。』(KADOKAWA)。そしてその2年後、今度は一緒に母を看取った父が自宅で倒れ、緊急搬送されてしまう。なんとか一命は取り留めたものの、倒れた原因は不明。ICU(集中治療室)に即入院することが決まり、キクチさんはまたもやさまざまな対応に追われることとなる。介護の申請から延命治療の有無まで対応するのは自分ひとりだけ。そんな顛末をまとめた『父が全裸で倒れてた。』(KADOKAWA)が2026年2月に刊行された。

誰もがいずれは経験することになる親との別れ。この2冊には親の不調と付き合うことへのメンタルの変化から、普段離れて暮らす親に変事があった時の対応方法まで多岐にわたる事柄が描かれている。看取りや介護の中で大変だったことや役に立ったこと。そして、キクチさんにとって困難を漫画にしていくことにどういう意味があったのか話を伺った。

――『20代、親を看取る。』はどんなきっかけで描き始めたのですか?

キクチさん(以下、キクチ):母との最後の思い出を記録しておこうと思ったのがきっかけです。最初は日記を書いていたのですが、自分にとっては漫画の方が描きやすいスタイルだったので、最終的に漫画になりました。描き始めた時は誰かに公開しようとはまったく考えていなかったんです。

――お母さまが亡くなってからどのくらいの期間を経て漫画を描き始めたのでしょうか?

キクチ:実はちょっと被っていて。母の在宅介護が始まったあたりから日記をもとに過去のことを描きつつ、リアルタイムの出来事も描いていました。在宅介護中は大変なことの連続でしたが、だからこそ現実逃避できるものが欲しかったんだと思います。母の体が弱ってくるにつれて日中でも眠ってしまう時があったのですが、そこが唯一の自分時間で。今思えばその時に息抜きとして漫画を描くことが、私にとってのストレス発散でした。

――書籍では漫画の部分以外にコラムも掲載されていますよね。新しいスタイルだなと感じました。

キクチ:書籍化の際に担当編集の方が「キクチさんは文章を書くのも上手いから書いてみたら」と勧めてくださって。漫画に描き切れなかった心情やエピソードを書かせていただきました。

――漫画本編もそうですが、お話自体は悲しいんだけど全体にどこか明るい感じがあって。キクチさん自身が客観的に物事を見ているからなのか、情報としてもわかりやすく感じました。

キクチ:「メタ視点だよね」とは日頃からよく言われます。あとは「悲しいだけで終わらせたくない」というのが昔からあって。人を楽しませたり笑顔になってもらったりするのがすごく好きなんです。だからこれを読んだ人にも、気持ちが沈むというよりは前向きになってほしいし、もし誰かが私と似た状況になった時に「こうやってやればいいんだな」と参考になるようなものにしたいという気持ちがありました。

取材・文=原智香

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