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夜の教室の幽霊、図書室から消えた生徒…… 学校の怪異に立ち向かう中学生の友情がまぶしい青春オカルトミステリー【書評】

  • 2026.3.18
青龍中学校 オカルト探偵部 神永学/主婦の友社
青龍中学校 オカルト探偵部 神永学/主婦の友社

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幽霊や妖怪、この世ならざるもの。科学では解き明かせない不思議なものたちは、きっとこの世界に存在する。そう思うと身の毛がよだつのに、中学生たちの友情の物語に、こんなにも胸が熱くなるとは思わなかった。

その作品とは『青龍中学校 オカルト探偵部』(神永学/主婦の友社)。推理と冒険、友情と感動がつまった青春オカルトミステリだ。著者は、『心霊探偵八雲』『怪盗探偵山猫』などで知られる神永学。本作は神永氏による初の児童書だが、その内容はかなりの本格派。じわじわ迫る不穏さにぞくりとさせられ、気づけば物語の中に引きずり込まれている。仲間と一緒に奇妙な体験をしているような気分に、ドキドキが止まらない。普段本をあまり読まない子でも、夢中になって読み進めてしまうに違いない1冊だ。

中学1年生の春菜は、ある夜、塾からの帰り道、誰もいないはずの学校の校舎に人影を見てしまう。教室の窓にたたずんでいた女子生徒。だが、偶然その場に居合わせたクラスメイトの冬弥も同じものを見ていたはずなのに、それを即座に否定した。翌日その話を聞きつけたのが、クラスの人気者でオカルト好きの夏彦だ。夏彦に半ば強引に誘われ、春菜と冬弥は夜の学校に忍び込む。さらに夏彦は「オカルト探偵部」を結成し、これまた無理やり春菜と冬弥を部に引き入れるのだ。

春菜は引っ込み思案。過去のある出来事をきっかけに友だちの輪に入ることができなくなってしまった女の子だ。そんな彼女の日常は慌ただしく変化していく。オカルト好きな夏彦と、異様なほどオカルトを毛嫌いする冬弥。まるで正反対のふたりの間に挟まれながら、「オカルト探偵部」としての日々を過ごしていく。おまけに、その仲間に加わったのは幽霊……?! 変わり始めた春菜の毎日から目が離せない。

図書室から消えた女子生徒、どんなに片づけてもボールが散らかる体育館、勝手に積み上がるパイプ椅子、美術室の大鏡から伸びる無数の手。春菜たちが目撃する怪奇現象は悲鳴を上げそうになるほど恐ろしい。ときに彼らはそれらと戦わざるを得なくなるのだが、いったいどうやって戦うの!? スリルあふれる展開に思わず手に汗を握る。そして、怪異の謎が解き明かされた時、気づかされるのだ。怪異が生まれる裏には誰かの悲しみ、言葉にできなかった感情があるのだということに。

背筋が冷える思いがしていたはずなのに、いつしか切ない思いが胸の中に広がっていく。怖さに引き込まれながらも、気づけば仲間たちの掛け合いに笑わされ、その絆に胸が熱くなる。彼らの優しさ、次第に育まれる友情がまぶしい。どんなに悲しい過去も、仲間となら乗り越えられる! ――あぁ、我が子のそばにもこんな素晴らしい仲間がいてほしい。そう思わずにはいられない。

文=アサトーミナミ

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