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漫画家を諦めアートディレクターへ転身。とんだ林蘭のキャリアストーリー

  • 2026.3.10
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現役学生がロールモデルに“リアル”を聞くキャリア連載!第15回は、アートディレクターのとんだ林蘭さんに、学生2人がインタビューを実施。あいみょんさんや木村カエラさんのCD・アルバムジャケットのディレクションやブランドとのコラボレーション商品を手がけるとんだ林さんのこれまでのキャリアの歩みから、仕事への向き合い方、アイディアの生み出し方など、未来に悩む学生に響くヒントがたくさん!

インタビューしたのは...
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RIRIKO/フランス語を専攻しているエディター志望の大学4年生。海外でのキャリアも視野に入れながら、「好き」を仕事にできるよう日々奮闘中。

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CHIKA/大学で被服学を学ぶ3年生。就活を目前に、自分らしい未来を描くヒントを探して情報を集めている真っ最中。

とんだ林蘭/1987年生まれ。高校卒業後、文化服装学院スタイリスト科に進学し、卒業後は販売員としてキャリアをスタートさせる。その後OLとして働きながら25歳でアート活動を始め、現在はコラージュやイラスト、ペイントなど幅広い手法を用いながらアーティストのジャケットやMVのディレクション、ブランドとのコラボレーション商品などを手がけている。 Hearst Owned
RIRIKO:アートディレクション業界に興味を持ったきっかけは何ですか?

もともと絵を描くことが好きで、文化服装学院を卒業後、仕事をしながら自分の作品をSNSに載せていたんです。それを見てくれた知り合いから「今度デビューするアーティストがいるんだけど、CDジャケットのデザインを一緒に考えてみない?」と声をかけてもらったのがきっかけです。それまでそういう仕事があることも知らなかったし、興味を持ったこともなかったのですが「面白そう」と思い、あいみょんのCDジャケットを担当することになりました。

お仕事をいただくうちに、クレジットに“アートディレクター”と書いていただけるようになり、気付けばそれが自分の肩書きになっていました。

“根拠のないワクワクを信じてよかった”

CHIKA:文化服装学院に入ったきっかけと、就職活動・転職活動について教えてください。

高校生の時はファッションや漫画など、自分が好きだと思えることに全力だったので、進学するなら好きなことが学べそうな学校に行きたいと思っていました。高校の先生に紹介してもらい、「スタイリスト科が楽しそう」と思って願書に丸をした覚えがあります。スタイリング科ではヘアメイクやカメラワークなど、スタイリングに関わるあらゆることを勉強する機会がありましたし、地元では出会えなかった人にも出会って、いろいろなファッションにも挑戦できました。高校を卒業してすぐ就職しようと思っていた時もありましたが、自分の根拠のないワクワクを信じてよかったと思っています。

文化では、ファッション関係の会社からの求人があったり説明会が開催されたりするんです。その中からいろんな会社の給与や雇用形態を見て、「洋服の販売をやってみたい」と思い、新卒でアパレルの会社に入りました。1年間販売のお仕事をして、たくさんのお客様に出会い、着ること以外のファッションの楽しさを知ることができてすごく楽しい時間でした。その後はずっと好きだったジュエリーのブランドに転職し、そこではアルバイトとして販売業をしていました。3年半経って「正社員にならないか」と提案をしていただいたんです。でも、販売業をしていると休みも少ないし一日の余白もほとんどなく、自分の好きなことをする時間がほとんど取れないので、一度定時のある事務職に転職して次にやりたいことをゆっくり考えようと思いました。

転職して事務職をスタートさせてからは時間の余裕が生まれたので、ずっと好きだった漫画を描き始めました。日中はOLとして働いて、夜は絵を描いて、生活が二軸になったイメージです。漫画家になる夢は諦めてしまったのですが、絵を描き続けていくうちに徐々にお金をいただけるようになって、OLとしての仕事を減らしながら最終的に28歳でフリーランスになりました。

とんだ林さんのキャリアを時系列でご紹介

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RIRIKO:転職や独立の際、迷いや葛藤はありましたか?漫画家を目指していてあきらめたことに後悔はありますか?

当時は転職することが今ほど当たり前ではなかったので、迷いも葛藤も毎回ありました。だけど、同じ仕事を続けながらキャリアを積んでいく良さも分かりつつ、自分の中では「やってみないとわからない」という気持ちがありました。うまくいかなかったらその時考えるとして、「挑戦しよう、飛び込んでみようという選択ができるタイプなのだと思います。

絵だけで生活できるようになるまで不安はありましたが、事務職を少しずつ減らしてアートディレクターの仕事を本格化していくという選択が自分には合っていたと思います。もちろん前の職場の理解と協力があったからこそ、二軸で頑張れていました。

漫画家を諦めたことに後悔はありません。当時は描きたいものはあるのにそれを形にできないストレスを感じていて、「漫画を描ける人ってすごいな」と思っていました。自分の絵のタッチに合った表現の仕方があると思いますし、前向きな気持ちで今の仕事にシフトしました。漫画は大好きなので機会があったらまた挑戦したいとは思っていますが、未練や執着は持っていないです。

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CHIKA:今のお仕事で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?アイデアの着想源は?

チームでお仕事をしながら「いいものを作ろう」というエネルギーがぶつかり合う瞬間と、完成したものが世の中に出る瞬間にやりがいを感じます。今はアートディレクターとしてMVや広告の撮影に同席することもあれば、ブランドさんとのコラボ商品やデザインを1人で集中して作ることもあります。プロが集まってチームとしてお仕事をしているときに感じるやりがいは格別ですね。

アイデアの着想源はさまざまですが、アーティストのCDやアルバムのジャケットを作るときは収録されている曲のムードやタイトル、アーティストの雰囲気に合わせていくことが多いです。ブランドさんとのお仕事だと、先方の要望に合わせつつ自分の中の「こういうのがあったら可愛いかも」というイメージも伝えながら形にしていきます。基本的には一緒にお仕事をする方の希望やお題があるので、それをベースにしますね。

普段は作業をしようと決めた日までアイデアを考えないんです。いざ取り掛かろうとなった瞬間に浮かんだアイディアをもとに完成へと向かっていきます。瞬発的な思い付きとアイデアの新鮮さを大切にしています。

“自然体でいることを忘れないで”

RIRIKO:とんだ林さんは、人との出会いがきっかけでキャリアの広げ方に変化があったそうですが、学生時代にやってよかったこと、やっておけばよかったと思うことはありますか?

キャリアのためだけに人脈を広げていく必要はないと思っています。自分がそういう姿勢でいると、仕事のことしか考えていない人ばかり寄ってくる気がするんですよね。学生の方に「今のうちから人脈を作っておいた方がいいですか?」と聞かれたりしますが、そこまで考えすぎる必要はないと思います。

もちろん、出会って話していくうちにお仕事に繋がることはあります。私も人との出会いがきっかけで今の仕事にたどり着きましたが、純粋に自分が「楽しそう」と思って行ったところで広がった人脈なんです。だから、仕事やキャリアを抜きにしてたくさんの人と出会って仲良くしていく方が良いと思います。仲良くする理由って、仕事じゃなくてお互いが自然と一緒にいたいと思うから。自然体でいることを忘れてほしくないと思っています。

CHIKA:お仕事の日のスケジュールを教えてください。
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RIRIKO:お仕事の日のバッグの中身を紹介してください。
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  • 「ジバンシィ」バッグ
  • 「シャネル」サングラス
  • 「シャネル」ウォレット
  • 「コダック」カメラ「グッチ」リップ
  • 「ケイト」リップ
  • 「ナーズ」リップライナー
  • 「ディプティック」ハンドクリーム
  • スマホ、イヤフォン
  • スケジュール管理用のノート、ペン
CHIKA:ファッションルールはありますか?

お仕事の内容によって変えること。撮影がある日は普段はしないカジュアルな服装で現場に向かいます。撮影は長時間に及ぶことも多く、立っている時間がほとんどなのでスニーカーや楽なボトムスを選びます。

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RIRIKO:気合いを入れたいときに身に着けるジュエリーやコスメはありますか?
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〈左写真〉

  • 「シャランポワ」バングル
  • 「パソ」バングル

左手人差し指から

  • 「シャネル」リング
  • 「オーガスト」リング
  • 「アドリン ヒュー」リング

右手

  • 「カルティエ」リング

〈右写真〉

  • 「シャネル」チョーカー
CHIKA:仕事とプライベートの両立に難しさを感じますか?

仕事の両立に難しさを感じたことは、今の仕事になってからはあまりないです。働く曜日や時間が決まっているわけではないので、空いた時間はプライベートを過ごせていますし、仕事が立て込んでいても息抜きしたくなったら寝る時間を削ってでも無理して時間を作って友人と会うようにしています。打ち合わせや現場も多いので、息苦しさや孤独を感じることも少ないです。

RIRIKO:たくさんの人と関わりながらお仕事をされていますが、理想とする女性像はありますか?

自分がやりたいことをやっているのっていいなって思います。私の場合、それができるようになった30代の今がすごく楽しいんです。社会人になった時も「自分でお金を稼いで、好きなものを買えるって楽しい!」と感じていたタイプなんです。自由度が高まるとその分責任も伴うけれど、楽しいことが増えている感覚があるので、そうやって人生を楽しんでいる女性の先輩に憧れますし自分もそうありたいと感じます。

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“何かを始めるのに遅すぎることはない”

CHIKA:キャリアの選択に迷ったり将来に不安を抱えているELLEgirl読者世代の背中を押してくれるようなメッセージをお願いします。

何かを始めるのに遅すぎることはないと思います。私が絵の仕事を始めたのは25歳の時。当時はすごく遅いスタートだと思っていたけど、39歳を迎える今となっては全然遅くなかったと思います。今から何かを始めても何も問題ないと思うくらいです。

あと、私はアパレルとジュエリーの販売職や事務職を経て今のお仕事をしていますが、回り道だったかもしれないけど、それが遠回りだったとは決して思いません。やりたいことができていない、見つけられないと悩んでいる20代の方もいるかもしれませんが、若いときはそれが当たり前だし今しか悩めないことでもあると思うんです。やりたいことがあって、それに向けて行動するのと同じくらい、今目の前にあることを手を抜かずに頑張ることも大切な選択肢のはず。いつか本当にやりたいことにたどり着けるはずなので、焦らなくても大丈夫です。

今の時代、仕事の始め方は一つじゃないですよね。会社員・フリーランスという働き方の違いはもはや関係ないのかもしれないですが、私は一度会社に入ってよかったと思っています。会社でメールの送り方や目上の人との関わり方などを教えていただいて、今のお仕事でもかなり役立っています。自分に合うスタイルを見つけてほしいと思いますね。

【編集後記】インタビューを終えて

「自分が「楽しそう」と感じる場所へ積極的に足を運ぶことの大切さを、今回の取材を通して改めて実感しました。そこで生まれる人とのつながりが、価値観や選択肢を広げるきっかけになるというお話は印象的でした。環境を待つのではなく、自ら動く姿勢を大切にしていきたいと思います!」(CHIKA)
今のキャリアに至るまでの道のりを“遠回りではなかった”とお話しする姿が印象的でした。将来を模索していく中でも、目の前のことに真摯に向き合い、楽しむことの大切さを教えていただきました」(RIRIKO)

photo : RISAKO SUEYOSHI

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