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17年前にタイムトリップ。ドリス ヴァン ノッテンが呼び起こす、青春時代のノスタルジー【2026-27年秋冬 ミラノコレクション】

  • 2026.3.5
Dries Van Noten - Paris Fashion Week Fall 2026 - Ambiance

ある年代のドリス ヴァン ノッテンDRIES VAN NOTEN)のファンなら、2009年ごろにリセ・カルノーで行われたメゾンのショーを覚えていることだろう。ジュリアン・クラウスナーは今季、パリの17区にあるこの高校を再び舞台に選び、ランウェイの端には、約17年前のショーにあったのと同じような、床から天井までの高さの鏡を設置した。

ブランドの過去を振り返り、初期のころの特色を再考するのは、新任クリエイティブ・ディレクターの間で定番の行いとなっている。そして多くの場合、かれらが手がけるコレクションには昔のデザインを直接準えたかのようなルックがいくつか登場する。だが、繊細で洗練された感性の持ち主であるクラウスナーは、そのようなあからさまな表現を織り込まない。

彼が今回表現しようとした過去へのノスタルジーは、私たちの多くが青春時代に対して抱くようなものだった。前回のウィメンズショーから程なくして、クラウスナーは自身が率いるチームとともにリセ・カルノーを訪れた。「チャイムが鳴ると、何百人ものティーンエイジャーが一斉に流れ込んできたんです」と彼は振り返る。「その瞬間、中高時代を思い返すときのあの感覚が、いかに普遍的で世代を超えるものかを実感しました。どこか気恥ずかしくて、むず痒くあると同時に、一種の喜びを覚える。そして服は、そんな青春時代という自己発見の時期において、とても重要な役割を担うのです」

コレクション自体に、気恥ずかしさを覚えるようなところは一切ない。むしろその真逆だ。クラウスナーは徐々にボルテージを高めながら、ルックを展開していくことを好む。そのため、まずは端正な仕立てのダッフルコートシャツにネクタイ、プレッピーなブレザーという、王道の正しい学生スタイルを披露した。だが、それらはすぐにグランジ風のプラッド柄、17世紀の静物画のプリント、スタジャン、分解されたデニムピースに転換。自分のアイデンティティを模索する10代の若者のように、クラウスナーはあらゆるスタイルを探求した。

ヴァン・ノッテンに似て、クラウスナーには思いもよらない組み合わせを見事に調和させる才能がある。カレッジジャケットと刺繍リボンで飾られたスカート、煌びやかなブロンズのジャカードコートとリブニットの袖、デニムジャケットとシルク糸、スパンコール、ガラスビーズで表現したピクセルプリントといった具合に。ショーのクライマックスには、これまた刺繍リボンがランダムにあしらわれたジャケットが2着登場した。

これらはすべて、ランウェイに豊かで魅惑的なモザイクを織り成し、その魅力は、19歳のジャズシンガーのガラ・ドラゴットが歌うサウンドトラックによってさらに引き立てられた。「これが、本当に私の思っていること? 周りを見渡してみて。私は庭に、言葉に包まれている。彼女はあらゆる色彩に満ちていて、私のポケットは言葉であふれている」──10代の心の葛藤を表現する楽曲とルックの組み合わせに、酔いしれずにはいられない。

ドリス ヴァン ノッテンの過去の印象的なショー同様に、今シーズンの魅力は、装飾やぶつかり合う柄、重なり合う模様、静物画をピクセル化したプリントにあるのではない。ジャケットや厚手のセーター、ブーツなど、手持ちの服に合うリアルクローズが展開されるから、多くの人の心に響くのだ。

※ドリス ヴァン ノッテン 2026-27年秋冬コレクションをすべて見る。

Text: Nicole Phelps Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

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