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1897年の復元フィルムに「映画史上初のロボット」を確認!

  • 2026.3.2
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

長らく失われたとされていたフィルムに、映画史上初となるロボット表現が発見されました。

このほど、アメリカ議会図書館(Library of Congress)にて、1897年頃にフランスで制作された短編映画『ギュギュスと自動人形(Gugusse and the Automaton)』が再発見されました。

45秒という極めて短い作品ですが、そこには「映画史上初のロボット」と呼び得る存在が登場します。

ロボットという言葉が誕生する20年以上前に、すでに「人造の存在が創造主たる人間に反撃する」という構図が映像化されていたのです。

実際の映像も観てみましょう。

目次

  • ガレージから現れた「約130年前のフィルム」
  • ロボットという言葉が生まれる以前の「ロボット」

ガレージから現れた「約130年前のフィルム」

発見のきっかけは偶然でした。

第一次世界大戦以前の古いフィルムリールが、地下室や納屋、ガレージを転々とした末に、議会図書館へと持ち込まれたのです。

リールは錆びつき、変形し、一部は硝酸フィルムが崩れ落ちていました。

フィルム同士が張り付き、慎重に剥がさなければならない状態でした。技術者たちはコマごとに丁寧に確認していきます。

すると、あるリールに黒い星のマークが描かれているのを発見しました。

これはフランスの奇術師で映画監督でもあったジョルジュ・メリエス(1861〜1938)が設立したスター・フィルム社の印です。

ジョルジュ・メリエス/ Credit: ja.wikipedia

映像を検証した結果、それが長年失われたと考えられていた無声映画『ギュギュスと自動人形(Gugusse and the Automaton)』であることが確認されました。

この作品は1897年頃に制作された45秒のサイレント映画です。

専門家の間では存在が知られていたものの、実際のフィルムは1世紀以上行方不明とされていました。

今回発見されたプリントは、少なくとも三世代以上複製を重ねたものと考えられています。

図書館の技術者たちは1週間以上かけてスキャンと安定化処理を施し、4K画質でデジタル化しました。現在ではオンラインで無料視聴が可能です。

実際の映像がこちら。

このフィルムを保存していたのは、19世紀末に巡業上映を行っていたウィリアム・デリスル・フリスビーという人物の家系でした。

昼は農業や教師として働き、夜は馬車で町から町へ移動し、映写機と蓄音機を使って人々に「動く映像」を見せていた興行師です。

当時としては驚異的な娯楽でした。

こうして、農家のガレージに眠っていたフィルムは、100年以上の時を経て再び光を浴びたのです。

ロボットという言葉が生まれる以前の「ロボット」

作品の内容は極めてシンプルです。

舞台は時計や自動人形を作る工房のような背景です。メリエス自身が演じる魔術師ギュギュスが、ピエロ姿の自動人形を台座の上でゼンマイを巻いて動かします。

巻き上げられた人形は歩行杖を振り回し、やがて魔術師を攻撃します。魔術師は巨大なハンマーで応戦し、叩くたびに自動人形は小さくなり、最後は消滅します。

ここで注目すべきなのは、この「自動人形(オートマトン)」が単なる動くオブジェではなく、創造主に敵対する存在として描かれている点です。

ロボットという言葉自体は1920年に、チェコの作家、カレル・チャペックの戯曲『R.U.R.』で初めて使われました。

しかしメリエスはそれより20年以上前に、人造の存在が暴走し、人間に反撃する物語を映像化していたのです。

カレル・チャペック(当時30歳)/ Credit: ja.wikipedia

もちろん、当時の「オートマトン(自動人形)」はゼンマイ仕掛けの機械であり、現代的な意味でのロボットではありません。

しかし、物語構造としては今日のロボット映画と驚くほど共通しています。

このテーマはその後の映画史に受け継がれます。

たとえば1919年のサイレント映画『The Master Mystery(ザ・マスター・ミステリー)』では、「人間の脳を持つ機械的存在」が人間を追い回します。

さらに20世紀を通じて、ロボットはしばしば巨大で制御不能な存在として描かれてきました。その原型が、すでに1897年の45秒間に凝縮されていたことになります。

ロボットへの不安は、すでに130年前から始まっていた?

人工知能や自律型ロボットが現実の社会に入り込みつつある現代において、「人間が生み出した存在が制御不能になる」というテーマはますます現実味を帯びています。

しかしその不安は、決して現代特有のものではありませんでした。

1897年、まだ映画という技術そのものが誕生したばかりの時代に、メリエスはすでにその恐れを笑いとスラップスティックの形で描いていたのです。

ガレージに眠っていた古いフィルムは、単なる歴史的遺物ではありませんでした。

それは、私たちがいま直面している問いが、実は130年以上前から繰り返されてきたものであることを示す証拠でもあります。

映画史上初のロボットは、未来を予言していたのかもしれません。

参考文献

Long-lost silent film depicts first ‘robot’ in cinema
https://www.popsci.com/technology/first-robot-on-film/

Lost 19th century film by Méliès discovered at the Library
https://blogs.loc.gov/loc/2026/02/lost-19th-century-film-by-melies-discovered-at-the-library/

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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