1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 自分の飲み水を我慢して、子どもに食べさせるお米を炊いていた…「知識が人の命や生活を救う」東日本大震災を振り返って一番記憶に残っていること【著者インタビュー】

自分の飲み水を我慢して、子どもに食べさせるお米を炊いていた…「知識が人の命や生活を救う」東日本大震災を振り返って一番記憶に残っていること【著者インタビュー】

  • 2026.3.2

【漫画】本編を読む

2026年は東日本大震災から15年。話題にあがる機会も減りつつあり、当時のことを知らない世代も増えてきた。しかし日本のどこにでも、いつ起きても不思議ではないのが地震。あなたは「今日地震が起きても大丈夫」と言える備えをしているだろうか?

2025年12月に発売された『今日、地震がおきたら』(アベナオミ/KADOKAWA)は宮城県利府町で地震にあい、当時1歳7か月の長男と夫と共に自宅避難生活を経験した著者・アベナオミさんによる実録コミックエッセイ。3月11日から3週間の日常がリアルに、鮮明に記録されている。子どもにも当時のことが伝わるようにと漫画の漢字全てに読みがながふられるなど、アベさんの思いが詰まった一冊だ。

震災後、防災士の資格も取得したアベさんに、当時のことや本書のコラムの中でも特におすすめしたい防災術についてなどお話を伺った。

※『今日、地震がおきたら』は、著者が東日本大震災を経験した当時(2011年3月11日〜4月)の詳細なメモを元にまとめています。その中で津波など自然災害を想起させるシーンがございます。お読みになる際は、予めご留意ください。

――2026年、東日本大震災から15年が経ちます。振り返っていかがですか?

アベナオミさん(以下、アベ):私個人としては「あっという間だったな」という気持ちがまずあります。ただこれって人によってまったく違うところで。「まだ15年しか経っていないのか」という気持ちの方もいれば、当時のまま時間が止まっている方もいらっしゃると思います。

――本作では震災当日から3週間後までの日常が記録されています。今振り返って一番記憶に残っていることはなんですか?

アベ:作品にも描いているのですが、震災直後で水が出なかった時期に、道端でまったく面識のないママさんにお会いしたことです。時間にしたら10分あったかどうかくらいなんですけど、その間に「どこそこのお店は開いたらしい」とかものすごく濃密な情報交換をしました。そこでお米の話になったのですが、そのママさんは「お米を洗わないで炊いても大丈夫」ということを知らなくて。自分が飲む水を我慢して子どもに食べさせるためにお米を炊いていたんです。でも知識があればその我慢を最初からせずに済んだ。知識が人の命や生活を救うんだなと感じた出来事でした。

――それはのちに防災士の資格を取ったこととも関係していくのでしょうか?

アベ:確かにそれもあります。知識ってすごく大切なんだと当時の生活の中で感じて、そこからずっと自分の被災体験を発信したいと思っていました。でも最初の2年くらいは、そんなちょっとしたことを発信しても仕方ないかなという気持ちと、自宅で暮らせないような大きな被災をしていないのにという申し訳なさがあって。震災5年目くらいからようやくSNSにちょっとしたイラストと文章を書いて投稿し始めたんです。そしたらその1か月後くらいに熊本地震があって。私の投稿が注目されて、それをきっかけに「防災の本を作りませんか?」というお話をいただきました。そこで「本を描かせていただけるならしっかりとした知識を身に付けないと」と思って防災士の資格を取得しました。

――防災士としてはどんな活動をされているんですか?

アベ:オファーがあればどんなに小さい会場でも伺いますとお伝えしていて、北は秋田県の大館市、南は福岡県福岡市まで行ったことがあります。防災の冊子を作らせていただいたことも。今はやっぱり南海トラフ地震に注目が集まっているので、愛知県の方とご一緒する機会が多いですね。私自身、子どもと一緒に被災体験をしたということで、ママさんたちが作っている防災サークルに呼ばれてお話ししたりもしています。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる